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Screenplay Of『CONFUSED?』「Brotherhood/ブラザーフッド」

Screenplay Of『CONFUSED?』

「Brotherhood/ブラザーフッド」



「plot」

ジュニアスクールの作文コンクール。転校してきた兄弟。学校に馴染めない二人。作文コンクールであっといわせて兄弟二人で全校集会の時に揃って壇上に上がろうとする。それは二人のささやかな復讐だった。兄弟はお昼の長い休み時間を学校の端の校舎の廊下で過ごす。兄弟はこの場所で作戦会議をする。

弟には友達がいないと思わせている兄。実はクラスの人気者になっている。彼は絵を描くのが上手で、漫画のキャラクターを友達の文房具にペイントしてあげている。最近では彼が作り出したペンギンのキャラクターが人気でクラスのみんながこのキャラクターを自分の文房具に書いてもらっている。このキャラクターはこのクラスのマスコットのような存在になっていて、他のクラスの子どもからは羨ましいとすら思われている。
対して弟は本当に学校に馴染めていない。いじめられてはいないが、ただの一人も心を許せる友達がいないのだった。

弟は兄が発案した作文コンクールの案に最初は恥ずかしがって賛成しなかったが、昔、なかなか眠れなかった夜(それは彼らの両親が離婚する寸前の時期の毎晩のことだった)二段ベットの上下で、弟が空想の話をひたすら語り、兄がそれをノートにイラスト付きで書き起こすという遊びをしていたことを思い出してなんだか自分にもできそうな気がしてくる。
弟は毎日、兄が部活が終わるまでの間図書室で作文を書いて過ごす。
兄がクラスメイトに描いているペンギンのキャラクターは昔二人でストーリーを作っていた時に生まれたキャラクターだった。

学校でペンギンのキャラクターが有名になりすぎたことで、兄が実はクラスの人気者だということがバレて兄弟は言い合いの喧嘩をする。弟は作文をビリビリに破いてしまう。その中で、馴染めているように見える兄も本当は自分に無理して学校に馴染んでいたことを告白する。母親に心配をかけたくなかった彼は、なんとかしてクラスに馴染もうと、唯一の特技であるイラストを使ってみんなの注目を集めていたのだった。涙する二人。二人はここじゃない場所から自分の力の及ばないことでここにきて。ここじゃない場所に帰りたいと思っている。この場所は自分の場所じゃない。居心地が悪い大きな部屋の中。離れ離れになったお父さんのことは二人とも嫌いだけど、それでもこの町のことはもっと好きになれない。でもそれはまだ大人には程遠い二人にとってはどうしようもないことだった。もっと大きくなって車が運転できるようになったら?この町を出て元いた町に戻るのか?それは二人にもわからなかった。

エンディング(AプラスC?)
A

学期末の表彰式のシーン

作文コンクールの受賞者が祭壇に上がり表彰状をもらっている。それをそれぞれの場所から見ているふたり。

B

場面が切り替わって西日が差す図書室の机の上。くしゃくしゃになってテープで貼られた、つぎはぎだらけの原稿用紙と、隣に開かれたノートには漫画のようにコマ割りされたイラストが描か
れている。

C 二人がよく話していた廊下のカット(誰もいない)。図書室(弟の姿はない)。ざわざわと騒がしい廊下、友達と三人並んで廊下を歩く弟、大所帯というわけではないが弟よりは大人数(会話のムードも少し明るい)で歩く兄。すれ違いざまに少し目配せをするが、何も話さずにそのまま素通りしていく。休み時間が終わり誰もいなくなった廊下のカット。

D 表彰される弟。兄はそれを見守る。兄はノートに切れ端にペンを走らせて、壇上の弟の様子を描いている。


「screenplay」

舞台は学校
兄弟はアジア系?

学校の風景(室内の)。人がたくさんいる廊下のロッカーの周り。ワイワイ話し声が響くトイレ。教室の中でディベート?のようなことをしている生徒たち。

あまり人がいない階段のカット。
人がいない階段のカット。

人がいないガランとした廊下。

その隅で座り込んで1人で本を読んでいる弟。西日。

「日が差して読みづらくないの?」
兄がやってくる。
弟「遅かったね。」
「四年生にもなると色々あるんだよ」
「何読んでたの?」
「図書室で借りてきたやつ」
「図書室で読んだらいいのに」
「途中までは図書室にいたよ」
「あそっか、遅くなってごめんな」
「お腹すいたな、早く帰ろ」
「そうだな」

騒がしい昼休みの食堂

いつもの廊下

床に弁当を置いて食べる2人
弟「お母さんまたこのおかず入れてる」
「そんなこと言うなって。お母さんは悪くないよ」
「僕らも悪くない」
「俺たちも悪くないよ」
「でもお母さんは悪くない」

「友達できた?」
「うーんあんまりだな、友達できた?」
「できない。なにが違うのかはわからないけど、やっぱり前の学校とは違うね」
「そうだな」
「別に嫌な奴がいっぱいいるわけじゃないけど、好きな奴もいないな」
「お兄ちゃんはなにが違うかわかる?」
「わかんないな」
「壁の色も、トイレの形もロッカーの場所も全然違うし、先生の怒り方も全然違う。
「でもここはなんとなく前の学校の匂いがする」
「そうだな」
「図書室はどう?放課後によく行ってるだろ?」
「ある本はあんまり変わらないから好きだよ。でもちょっとうるさい奴らがいて嫌だ」
「前の学校でもいたろ?」
「いたけど、違う。今はそいつらの話してることが全部耳の中に入ってきてすごくうっとおしい」
「そっか」
「だからあんまりいたくない」
「うん」
「今日も遅くなる?」
「うーん、昨日よりは早く帰れるようにするよ」
「ここは4時半になると日が差して本が読みづらいんだ」
「オッケー、急ぐよ」

放課後 
廊下で本を読んでいる弟、挿す西日

「遅かったね」
「昨日よりは早かったろ」
「これ配られた?」
作文コンクールの案内の紙
「うん。でも宿題じゃないみたいだよ。別に絶対書かなきゃいけないってわけじゃないって」
「優秀賞に選ばれたら表彰されるってさ」
「お前物語作るの得意だったろ昔」
「覚えてない」
「嘘つけよ。そんなに昔じゃないだろ」
「あんまり覚えてない」
「お父さんに一回だけ見せたことあったろ」
「あいつのことは覚えてない」
「そっか、でもまぁお前は得意だったんだよ。俺は覚えてる」
「このコンクールで優勝したら賞状もらえるしお母さんも喜ぶぞ」
「そしたら前みたいに戻る?」
「あぁ戻ると思うよ」
「少なとも今よりはな」
「うーんそうかぁ」
「それにここのやつらにお前の才能を見せつけられるしな」
「そんなことしてなんか意味なんてあるの?」
「あるんだよ、ちゃんとな」
「それにおまえだけじゃないぞ。おれもやるのさ。ふたりして全校生徒の前で表彰される。これってクールだろ?兄弟そろって未来の作家さ。」
「お兄ちゃんは変わってるね。普通は恥ずかしいんじゃないの?そういうの。」
「そうかもな」
「考えてみるよ、やるかどうか」

立ち上がって歩き出す

後日 朝ふたりでバスに乗って登校するふたりのシーン

兄の教室の休み時間

席に座る兄を何人かのクラスメイトが囲んでいる

「今度はこのケースに書いてよ!」
「眠ってる姿も描いてほしい!」
クラスメイトの文房具にやメモの切れ端にペンギンのキャラクターのイラストを書く兄
ざわざわ
「ほんとに絵上手いよなー」
「他のクラスの子に羨ましいって言われちゃった」
楽しそうに笑顔を見せる兄

弟のクラスの休み時間

弟はじっと椅子に座って本を読んでいる
ざわざわ 
騒がしいクラス
  
 

放課後の図書室

弟は昔のことを思い出す

母と父が喧嘩している場面

二段ベットの下には兄、下には弟。下の段の方が実は広いんだぜ、と兄はいった。

ドアの向こうから両親の喧嘩の声が漏れ聞こえる。
真っ暗な子供部屋。ふたりとも寝付けないでいて、暗闇に目が慣れていく。
「起きてる?」
「起きてるよ」
「さっきまで真っ暗だったのに、なんだか部屋が明るくなったみたい」
「目、ずっと開けてただろ?」
「うん」
「目が慣れるんだよ」
「へんなの」
「寝れないの?」
「最近ずっとこうだね」
「そうだな」
「どうなるとおもう?お父さんとお母さん」
「大丈夫だよ」
「そうかな」
「大丈夫大丈夫」
「そっか」
静かな部屋の両親の声だけが響く
しばらく間が空いて

弟が唐突に話し出す
「100年前の夏の日に、男のコは部屋から抜け出して町から出ました」
「うん」
「家族が嫌いになったわけでも、なにか用事があったわけでもありませんでした」
「うん」
「彼はどこかの違う町に行ってみたくなったのです」
兄がカーテンを開けると月明かりで少し部屋が明るくなる
「そこで暮らすのはどんな風なのか知りたくなったのです」
「うん」
「彼は毎日が退屈でした。だから町を出たのでした」
ノートをびりっと破く音
「途中で彼は大きな森で迷子になりました」
「ちょっとまって、その男の子はどんな男の子?」
「えーっと、髪は赤くて小さくも大きくもなくて、うーんと、えっと、、」
「オッケー、なんとなくわかったよ」
紙にペンが擦れる音
「彼はコンパスを部屋に忘れてきていたので今自分がどこにいるのかも分からなくなってしまいました」
紙にペンが擦れる音
「彼がはやくも怖くなって泣きそうになりながら森を歩いているとそこにある動物がいました」
「ある動物って?」
「うーんとね、うーん、、森にいないような動物かな」
「森にいないような動物か、」
「うーんでもかわいい動物」
「意外と難しいな」
「二足歩行で」
「あ、オッケーオッケーこんなのは?」
上の階の弟が少し起き上がって下を眺める
「うん、いいね」
「その動物は彼を森の中の色々な場所へと案内してくれました」
「でもどこへいっても彼には友達がいる様子がなかったので男の子は質問してみました この森にいて楽しい?彼は答えました、僕も他のところへ行ってみたいんだ。それでふたりは一緒にどこか違う町を探しにいくのでした」 
「うんうん、それで?」

回想シーン終わり
図書室で作文を書いている弟
兄は新しくはじまったクラブ活動でいつもより遅くなっている。

二段ベットでよなよなお話を考えて、兄がそれをノートにイラストにして書いていたときのことを思い出している弟
(回想のカットをいくつか)

なにげなく作文用紙のすみっこにあのとき兄が描いていたイラストのキャラクターを描いてみる。それはあのペンギンのキャラクターだった。

兄の教室

いつものようにみんなに囲まれる兄
「ねぇ今度の体育館のイラストコンテスト、うちのクラスはあなたのこのキャラクターにしようよ」
「えっ、うーんそれはどうかなぁ、、」
「いいじゃん!いいじゃん!超クールだよ!」
「いやぁでも、、、」
「絶対選ばれるって!」
「うちのクラスの絵が体育館に飾られるなんて超いいじゃん!」
「あ、でも、、うんいいね」

図書室で作文を書く弟

数日後

学校の体育には兄のキャラクターがあしらわれた旗が飾られている

いつもの廊下

弟と兄が言い争いをしている
「なんであの絵なんだよ!」
「ごめんって」
「っていうか友達いるんじゃん」
「いや別に、、」
「楽しそうにしてるんじゃん」
「そういうんじゃなくて、、」
「なんであの絵なんだよ!」
作文をびりびりに破いてしまう弟
廊下に散らばる作文

沈黙

「友達なんていないよ」
「うん」
「友達なんてひとりもいないけど、母さん、心配するだろ」
「うん」
「俺にはこれぐらいしかできることないんだよ、絵がうまく描けたら友達はできなくてもクラスでずっと隅っこにいなくてすんだ」
「うん」
「無理してでも馴染まないと、母さんが心配するんだよ、母さんああみえてそういうのすごい気にしてるから」
「うん」
涙を浮かべるふたり
「だからあの絵を使ったんだよ」「大事な絵だから、こいつに助けてもらいたかったし、お前と二人で作ったキャラクターが体育館に飾られて、お前がそこで表彰されたら、このつまんない学校の奴らにちょっとは復讐っていうかさ」
「うん」
「だけどごめんな」
「ううんいいごめん」
「なんでこんなとこに来なきゃいけなかったんだろってムカつくこともあるよ、俺達はなんにもしてないのにさ。今でもあの学校の奴らは俺たちがいた頃と変わらずに毎日を過ごしてるんだ。でも、母さんだって色々大変なんだよ。俺たちと同じかもっとな。」
「うん」
「寂しいって思うか?おれはすごく思うよ寂しいって、多分母さんもそうだ。でも寂しいって言わないんだよだから俺も言わないし本当はお前にも母さんにもそんな風に寂しいなんて思ってほしくないんだよ」
「でもやっぱりここは僕らの場所じゃないね」
「そうだな」
「父さんのところにいきたいか?」
「ううん」
「そうだよな」
「ここじゃないところにいきたいけど、それがどこかはわかんない」
「そうだな」
「もう少しして運転できるようになったらさ」
「うん」
「この町を出ていく?」
「どこにいく?あの町にもどりたい?」
「わかんないや、今は」
「そうだな、、」
「でも多分、、、」

西日の中にふたりの影

体育館で表彰式

壇上には秀才そうな男の子と女の子
それをそれぞれの場所からながめる兄弟

その上には兄が描いたキャラクターのイラストが書かれた旗

二人がよく話していた廊下のカット(誰もいない)。図書室(弟の姿はない)。ざわざわと騒がしい廊下、友達と三人並んで廊下を歩く弟、大所帯というわけではないが弟よりは大人数(会話のムードも少し明るい)で歩く兄。すれ違いざまに少し目配せをするが、何も話さずにそのまま素通りしていく。休み時間が終わり誰もいなくなった廊下のカット。

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