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『ライツ・カメラ・メモリーズ』


 2019年の春にイギリスをツアーで周った時、せっかくだからとメンバーそれぞれがインスタントカメラを持っていって思い出や風景を写真に撮った。ロンドンのソーホーという街でみつけた(オアシスのアルバムのジャケットで有名な通りがある大きな街)レコード屋さんやgosh comicというグラフィック・ノベルの専門店、心底感動したチェリーパイ、ジャケットポテト、ハルというなかなか訪れることがない小さな街のアイスクリーム屋さんととても美味しかったフィッシュアンドチップスのお店、そこで働く店員さん。あっと思った瞬間にポケットからカメラを取り出してぶれないように慎重にシャッターを切る。そうして残った思い出はスマートフォンのカメラでぱちっと撮るのは違う記録のされ方で、心の大事な部屋の壁にしっかりと貼り付けるようなそんな気がした。すっかりフィルムカメラの魅力に取りつかれてしまった僕はその年の誕生日に自分へのプレゼントとしてカメラを買った。konicaのc35efというそのカメラを持って僕は京都の街の好きな場所を自転車で撮ってまわった。カメラの使い方も説明書の読み方もよくわからなかったので、みようみまねでレンズを覗いてシャッターを押した。いつものまちの表情が変わった気がした。

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