「当たり前の徹底」はホントにホントにホントにホントに難しい、って立脚すべき理由 #ターゲットは長万部 第38号
今、ドラッカーの本を読み返している。
ユニクロ、マジですげぇなぁと思っていろんな記事や書籍をあさっていたら、柳井さんがドラッカー を死ぬほど読みまくっていると知り、改めて読んでみている。
創業者や経営者の自伝をよく読むと言っていたので、自分もそういう本にアンテナを強くはるようにもなった。ソニー・盛田さんとかホンダ・本田宗一郎さんパナソニック・松下幸之助さんとか。他には経営コンサルの一倉定さん、ユニクロの再生にも携わった大久保恒夫さんの本も。
で、ドラッカー の話に戻すと、昔に読んで付箋を貼ったりアンダーラインを引いてる箇所と、今読んで付箋を貼りたくなることは全然変わったのが自分でも驚いた。同じ本でも、読むタイミングによっても学びは違う。
書かれていることは、言われてみればどれも当たり前だなと思えることなのだが、それを愚直に行動に移し続けることはとても難しいことだらけだ。
理論でわかっていることと、実践できることには大きな隔たりがある。
その代表が、「局所最適、全体最悪」だ。
「合成の誤謬」という言葉がある。
こんな言葉が世の中にあるくらい、組織のみんなが全体最適になるように行動することが難しいのだ。
SEOはわかって、マーケがわからないとどうなるか
マーケティングはわからないけど、デジタルマーケティング ならわかる人。もっと細分化して、インスタやSEOやWEB改善やPRならわかるひと、こういう人はたくさんいる。世間のDXの過熱で、ここのデジタル人材はどこも必要としていくだろう。
ただ、HOWは恐ろしいもので、人が飛びつきたくなる強烈な引力がある。手に職な分野で、夢中になって取り組める。それが目的になる。
人は易きに流れるのだ。
例えばプロモーションに関わる者なら、創造力を働かせて、面白そうなアイデアがどんどん思いつく。自分の能力を示そうと、どんどん試したくなる。本来の解決したい課題を忘れて。試行錯誤のプロセスは、デザイン思考的な感じでいい問いや答えを導き、それはイノベーションの萌芽となるかもしれない。しかし、ひたすらタコツボでは、ただの失敗に終わる。局所最適だから。
SEOならひたすらコンテンツ作って検索順位を気にしたり、PRならとにかくパブリシティ命でメディア掲載をひたすら追ったり。ターゲット層が違っていても気にもせずに。
HOWはよくても、WHOとWHATがおざなりになってるかもしれない。で、それってどのターゲットの話?そのターゲット設計は投資効率としてどうなの?今はそのターゲットを狙うべき?とか、確かに伝え方は面白いけど、何を伝えるかは全然磨かれてないよねとか。そもそも「なんの狙いでその施策やってるの?リソースはめちゃめちゃ限られてるのですけれどもー」なWHYも。
人は易きに流れる。それに逆らう必要がある。本質と全体での統合的思考。商売からのブレイクダウンを行う必要がある。
本質を掴み、全体から観る
目的をぶらさないことだ。マーケティングは商売。経営です。
と言っても、腹落ちしにくい人がほとんど。知らないものは知らないですしね。今まで自分の今の専門領域しか磨いてこなかったら、想像しろと言われても、想像できないものは想像できない。
こういうとき、歯医者や料理などの身近で誰しもが体験があるようなアナロジーだと腹落ちの感覚を得やすい。
歯医者なら、診断して治療する。日々の歯磨き大事。習慣にすること。クライアントへの問診や、顧客のアンケート調査結果、GoogleAnalyticsでのアクセス解析データなど、あらゆる情報を集めて吟味して、問題を特定するプロセスと全く同じだろう。GoogleAnalyticsだけを見て、お客様の全てがわかるなんてことは決してない。得意な診断方法は各持ってるかもしれませんが、あくまで目的はそのツールを振り回すことではなく、問題を特定することですから。
料理なら、鍋の中身みながら火加減とか味を見ながら作りますよね。「どのフライパンを使おうかなー」とツールありきの発想はないはずです。うまいものを作るためにどう手段を使い分けるか、組み合わせるかの話。
なんでそんな変なKPIを追ってるんすか?
KPIマネジメントもその代表だ。変なKPIを追うよりも、本質的な存在意義や、顧客への価値提供に集中すればいい。KPIはそれをわかりやすく管理するためのツールにすぎないから。
売上との相関や因果を無視して、ただ単に目立ってるフォロワー数を目標にして、意味不明な擬人化したSNSアカウントのキャラ設定を作って、丁寧に運用ガイドラインを作って、毎日のように「今日は〇〇の日ぴょん!今日も一日元気に頑張るぴょん! #〇〇の日」と一生懸命に今日はなんの日フッフーン原稿を考えて投稿して、どれがimpやエンゲージメントが高かったのか丁寧に分析してレポート作って、定期的にフォロー&リツイートキャンペーンをしながらPDCAを回し続けるとかマジで意味わからん。こういう提案してる会社あるらしいが、純粋な世界でフォロワー数だけを追求すると、こう最適化されていくのかと。で、それをやって儲かるのかと。商売はどこに行ったのかと。
目標達成の上流工程の知識・思考はマジで頭に叩き込んでインストールしておきましょ
初心者ほどこうなりがちだと思うが、売上方程式のようなビジネスの骨格を常に頭にいれておくと忘れにくい。いくらインスタに詳しくても、商売に詳しくなかったら、目標達成につながる技術の活用が難しいからだ。複雑なビジネスモデルや、世間と違った特性を持っているなら尚更。
インターネット完結型なら CV = UU × CVRとかあるし、
小売なら、こういう風に分解できる。
この施策は客数にきいてるのか?買い上げ点数に聞いているのか?頭にあるとないとでは迷わない感じが全然ある。言われてみれば当たり前 of 当たり前なのだけれど、真の目的を忘れて手間の部門ミッションや、自分の役割の貢献だけを狭い視野で捉えると忘れてしまう。
変にKPIをこねくり回すくらいなら、定性的で全然いいので目指す姿や状態を皆でイメージできるように仕立てたらいいと思う。
「お客様の旨いのために!」とか。KGI/KPIとかMBOとかも目標達成の技術の一つであり、魔法の杖じゃないので。
あと変化が激しすぎて数ヶ月後には進む方向も変わるのに、なぜか年間目標をガチガチに固めて、MBOで縛って、「達成しなければ降格、減給」のゲームは始まるととても辛い。マネジメントツールもただのツール。
変わるところ、変わらないところ
という言葉をよく覚えています。
「普遍的」だからこそ、どんな時代でも、どこの国でも、誰でも当てはまるので、多くの人に刺さる。「時代的」だからこそ、まさに今の私そのものだと共感を得られやすくなる。時代性とは、その時代における顧客に刺さるものです。優れたものごとには、普遍性と時代性を併せ持っていると思います。
例えば、マーケティングフレームワークの、WHO/WHAT/HOWは普遍的だ。誰に、何を、どのように伝達するか。
顧客にとっての価値や、戦術(メディアのつかいかた、メッセージのつくりかた、)はいくらでも進化するが、この骨格はそうそう変わらない。骨太でありたい。かわるところ、かわらないところを峻別。
全体最悪が許される組織システムにしないこと
「局所最適、全体最悪」これが許されるインセンティブ設計はなおそう。人間の痛覚はなんのためにあるのでしょうか?痛みを感じなかったから危機から脱せられず、怪我の治療の必要性を感じなかったり、火傷に気づかないなど、知らず知らずと命を落とす可能性が高いです。
全体を観れるのはトップマネジメント。トップのアジェンダです。
ポイントはいくつかあるだろう。
・職務分掌の段階で、全体最適に関わらせる
・評価に全体の業績を組み込む(多くが賞与がこれかも)
・目的を口すっぱく伝える
などなど。
もちろん、組織が大きくなる過程で高度に分業が進んでいき、「まずは自分の持ち場を意識せよ」と方針は変わるかもしれない。ただ、マネジメント層しかり、全体最適への貢献を考える役割のものは、ここを肝に銘じて、日頃の行動を見つめ直す必要があると思う。
人間とは何か、我々の存在意義は何か、世界をどうしていきたいか、何を提供していきたいのか
人間とは何か、この世界をどう変えていきたいのかっていう根源的なところから考えるようにすると、この辺はブレない。
ブレないために、一度、突き詰めて考えておくのがコスパいいと思う。オーバーアナリシス、オーバープランニングでは、実行してないのでダメですけどね。
骨太、基本の徹底。当たり前で大切なことはどれも難しい。この「当たり前で大切なこと」の実行なんて簡単だよねと思っていたら、徹底なんてできない。「当たり前で大切なことって難しいことなんだ」とわかってはじめて、徹底できるような創意工夫に満ちた行動を取れるようになるのだと思います。
骨太でありたい。
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