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夢の自宅サウナ生活 -その後- [前編]ムロタ式サウナを作ったひとたち


お久しぶりです。ムロタです。

1年半も前、「勢いで自宅に安く手軽にサウナをつくったら、思いのほかいい感じになったからみんなにオススメしたいぞ」と気軽に書いたnoteが、今や「自宅サウナといえばムロタ式」レベルに、謎の影響力を持つ記事となってしまった。

なんの話?って方は、とりあえずこのマガジンを①から読んで


……正直、震えている。


だって、サウナにハマって1年足らずの、DIYすらど素人の妊婦(でした)が書いた記事を読んで、みんなが次々に自宅サウナをはじめてる。みんな大丈夫? 正気の沙汰じゃないよ?



最初は嬉しいと思っていたけれど、次第に「なんかあったらどうしよう」って気持ちが膨らみはじめていた。私のサウナ記事、ほんとに大丈夫なんだろうか。プロからみたらまだまだ足りない部分や、笑っちゃうような無駄なんかも、ほんとたくさんあると思うんだけど。


そんなムロタの心境とは裏腹に、知名度は加速していく。

「私、サウナテントに電気ストーブ入れてサウナしてるんですよ」

「え、もしかしてムロタ式?」

「……えっと、私が、そのムロタです」

てな会話が起こるほどもしばしば。まじでしばしば。


サウナで偶然してつい話しかけた、MORZH MAX所持者な某16万フォロワーライターさんにも「読んだことありますこれ」って言われたときにはどうしようかと思ったよ。


サウナイキタイアドベントカレンダー2021にもこの広がりについてはダイジェスト的に書いている。どうやらこの記事、面白いみたいよ。


noteを読んだ人がたまたま宿のプロデュースをされている人だったため、いたるところの宿にMISAを設置しはじめたり。とある施設が記事の影響でサウナ室にMISAを導入したり。ムロタ式にヒントを得ただろう施設もじわじわ増え、Youtuberまで登場したり……。

多分、私がいちばん稼いでない。ストーブのアフィリエイトもないし。このnoteもそんだけ影響力あるくせに、投げ銭なんてちっとも飛んできやしないぞ

まあ別にいいんだ。1人でも多くの人が自宅でロウリュを楽しむようになれば。それにこれはあくまでも日本に一つでも多くのフィンランド式サウナを増やす、日本フィンランドサウナ補完計画の序章に過ぎないのだ……ククク……


……などと思っていた。ちょっと前までは。


事の起こりは2021年夏。

フィンランドから230VのMISAストーブを直輸入し、業者でもない人が内部を勝手に改造した電気安全法の違法ストーブが、メルカリやヤフオクにつぎつぎと出品されるようになったのだ。それも、あきらかに私のnoteを意識したタグや説明つきで。


「なんかあったらどうしよう」どころじゃない。下手したら死人が出る。フィンランド化計画の以前に、日本のサウナが終わる可能性がある。


そこから半年が経過し、看過できない事案が発生し始めたので、追加でnoteを書くことにした。


まず、いかにムロタ式サウナを安全に楽しんでもらうか。すでに導入している人たちの工夫を例としながら、前編で紹介。

そしてムロタ式の場合はどこでストーブを買うべきなのか。最低限守って欲しい、大事な話を後編に、それぞれ記したいと思う。


例によって長いよ!


● ムロタ式の定義

今回の問題を鑑み、"ムロタ式" とはこれだと定義をきっちり定めたい。


"ムロタ式" とは……

サウナ用テントに、泉興産のMISAストーブを入れたサウナ

である。


ムロタがそう決めたからそうなのだ。なぜなら私はムロタだから。(小泉構文)

ムロタ式の亜種としては、泉興産MISAストーブを入れたDIYサウナや、泉興産に施工してもらったサウナ室にMISAを入れているサウナ、などがある。

……って、これらはもうムロタ式でもなんでもない、ただのMISAがあるサウナ室だよ!!!

でも、ムロタに相談したからとか、ムロタのnoteを読んで泉興産を知ったからと、それらを "ムロタ式" と言ってくださる方がいるのはちょっと面白い現象。でも、それはほんとに昔からある、ただのサウナ室だと思うよ。


● ムロタ式のはじまり

そもそもこの"ムロタ式"って名前はなんなのか。

私のnote経由で泉興産MISAを導入した方がある日Twitterでそう呼び、定着したもの、それがムロタ式。

初出は多分この方。2020年冬、DMでたくさん相談をいただき、年明けに、泉興産よりMISAを入手。ご自宅のお庭でテントサウナを楽しまれている。

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このころは、自宅サウナは絶対にサウナ室を作らないと不可能──誰もがそう思っていた時代。でも、サウナ最大手メトスでは1〜2人用でさえ施工費も含めると200万はかかる。新品の軽自動車より高いサウナ。そう簡単に手が出せない。

それを、サウナテントに電気ストーブを入れる方法なら、大掛かりな木工工事もなく5〜60万くらいで自宅サウナが手軽に実現できる! ていうか作ったよ〜などと、ムロタがうっかりnoteに書いたから、みんながそれに飛びついた。

これが日本の自宅サウナの歴史、Beforeムロタ式と、Afterムロタ式となってしまった、っぽい。


……でも実は、作るまで私も知らなかったけれど、私より4ヶ月も前に全く同じ方法を考えて実現させていた人がいたんだよ!と、ここにあらためて紹介しておきたい。

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広いバルコニー最高〜!

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リプが来て超びっくりするムロタ。この後、彼には部屋テントに驚かれる。びっくりしあう2人


● さまざまなムロタ式

そのnoteから1年半。今ではいろんな家や施設で、ムロタ式を見かけるようになっている。

サウイキ2021アドベントカレンダーでは匿名でふわっと書いていたけれど、noteなのでTwitterを引用。みんな面白いひとたちなので、フォローするといいよ。

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おそらく彼がムロタ式サウナ第一号。自宅ガレージでテントサウナ。風の影響も受けないし、床の汚れも気にならない、かなり利便性高めのムロタ式。なお、彼の影響で今の我が家のサウナもベンチがこれに。情報交換しながら影響しあうのがムロタ式。

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これは最近の我が家、元祖ムロタ式。2年近く経ち、ベランダのデッキがだいぶ薄汚れてきた。たまに木の子ならぬサの子が生えてしまう。ベンチには20cmほどの足を履かせているけれど、不安定なため改良が必要。日々試行錯誤。


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この方も早かった。アウラドームでムロタ式。アウラドームはサウナ用ではないため、天井に天板をつけるなど熱に対応するカスタムをしていたが、保温性がものたりなかったとかで最終的にサウナ小屋をDIYしてしまった北の強者。冬は自宅サウナの雪ダイブが当たり前なのが羨ましい限り。

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部屋のなかにサウナテント張っちゃった人、第一号。ムロタに次いで2人目だが、私はベランダサウナーになっちゃったから、部屋テントサウナーを貫いているのは現在彼が古参。彼は自宅サウナに関するnoteも書いてくれた。TwitterではHUKKAのサウナ噴水を置いたり、アロマ氷のキューゲルを作ったり、座面をどうやって高くできるかとか、ずっとサウナの研究ばっかりしてる。

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時々自宅サウナに #ムロタ式 のタグを入れてくださるcalicoさん。まじのサウナ室を泉興産に施工してもらったひとなので、もはやムロタ式ではない、普通にサウナ室! めちゃくちゃ羨ましい。

彼女は私同様、妊娠中にサウナをしまくっていて、ムロタと同じく超安産。もちろん安産とサウナについて、因果関係の断定はできないけれど、私たちの妊娠中のさまざまな不安や、産後の不自由な時間を包み込んでくれたのは紛れもない、ロウリュができるMISAサウナだった。


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なんと、施設にまでムロタ式が登場。角形MISA in MORZH MAX、つまりムロタ式MAX。この荻窪安心お宿は男性専用だけど、年末にできたばかりで全然知られてない超穴場なので、男性は行くといいと思うよ。(私ここ入る権利あると思うんだけどな!)


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とうとう2022年には、ムロタ式整骨院サウナまで登場する始末。彼とはイベントで「ムロタ式?」「私がムロタです」のやりとりをしたのち泉興産を紹介してからが早かった。ここでは80代の患者さん(女性)が「ホカホカして気持ち良いー」と満足されるとか。最高すぎる。


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今でも定期的に、DMやら何やらで、サウナに関する問い合わせはしょっちゅう来てる。

でも、私は泉興産じゃない、ただのファンだ!

何か聞きたかったら、泉興産に聞いてくれ。


● 部屋テントサウナーの注意点

部屋の中にテント立てるひと。

まじで床の防水だけはちゃんとして

前のnoteでもプロから見たら妙なことやってるなーと思われる部分もあるかもしれないけど、素人なのでと書いている通り、私のnoteが全てではない。工夫できる限りはいろいろやってほしい。建築系の知り合いに聞くとか。

部屋で、床それで本当に大丈夫? という部屋テントサウナーを時々みかける。いうて私もいまだに自信はあまりないけれど……。


メールでやりとりをしていた部屋テントサウナーさん。私やおつろうさんのnoteをめちゃくちゃ読み込んで作った、と言っていた。彼は、私がnoteに書いていたころにはまったく知らなかった、200V 3.6kwのストーブ(泉興産でちゃんと取り扱いがある)を導入。クーラーのコンセントを軽く工事しただけでかなり手軽に部屋テントサウナを楽しんでいる。床は珪藻土を敷く新しいスタイル。

ほんと、いろんなやり方があると思う。ストーブの下に水が垂れても大丈夫なよう、受け皿を敷くとかでもいいかもしれない。MISAは構造上、どうしてもロウリュすると多少の水が下に漏れる。それも、熱くなった水が。なので本当に床だけはしっかりやってほしい。

絶対これはいい!って方法があったらシェアして!


ほか、壁や天井にカビが発生しないかと聞かれたこともある。泉興産の設計士さんに尋ねたところ、

「セルフロウリュタイプのサウナは、加湿器みたいにずーっと加湿されているわけではないので、部屋自体のカビの心配は少ない。でも木造サウナみたいに壁が湿気を吸わないのでテント内に湿気がこもるのが難点

なので、使い終わったらなるべくテントを開け、窓も開けて換気をしたほうがいい。それは庭ムロタ式やベランダムロタ式、というかすべてのテントサウナーに言えるかもしれない。


● ストーブの台座も売ってる

私がまでにnoteで書いてたりんご箱はとうに壊れて、今はそのまま置いてます。

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下の台座は空間を開けるのがおすすめらしい。だいぶ使い込まれてきた

でもこれ、正直不安が拭えない。一応自立するものではあるけれど、サウナ中に地震がきたら、結構やばい気が……!

で、これも泉興産さんに相談してみたところ、最近ムロタ式サウナが増えたことをうけ、それ用の台座を作っているとのこと。

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この方は最近現れたムロタ式。この台座、私も早くほしい!


● ストーンの詰め方と、お手入れ方法

ストーンの詰め方は、より熱効率が上がるコツなどあります。MISAストーブは他に比べて特殊な形状をしているため、購入した人だけが知っていればいい話。詳しくは買ったあとに泉興産にきいて!


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ストーンは時々洗ってよく干す。汚れや埃もとれるから、ロウリュの効率が上がる、気がする。

また、ストーンはロウリュによってじわじわ目減りしていく消耗品。こうやって洗うと中のストーンは結構小さくなってたりする。足りなくなったら、追加で買うべし。泉興産はストーンを1kgから量り売りしているよ。


なお、「MISAのストーブは20kW以上の大型ストーブ以外でのケルケスストーン(麦飯石)は使用禁止」なので、気をつけて。(泉興産情報)

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ケルケスって、こういうやつね

20kWは業務用サウナにしかありえない数字。自宅サウナーや普通のテントサウナーでケルケスを使ってる人がいたら、即刻使用の中止を。


● テントどれ買えばいい?

もし今テントを買うとしたら、私は日本企画のものを購入する。あの記事を最初に書いたころから、かなり状況も、そして情勢も変わったし。

今は日本企画のサウナ用テントは種類豊富で、テント単体での販売をしているブランドもある。これまでの輸入サウナ用テントに比べると、極めて良心的な価格帯といえよう。

なお、今のところ私がいいなと思えるサウナ用テントは、Iamsaunanoppa sauna あたり。

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Iamsaunaはテント単体6万切ってる

Iamsaunaは、サウナブームの前からずっとテントサウナをされている好事家たちがこだわって試作を重ねて作ったテント。noppaに関しては商品開発に際して、泉興産に助言を受けにいったらしい。

また、MORZHはテントの下側20cmほどがスカスカなので、足元が全然温まらない欠点があるけど、これら日本企画のものはどれも全体が3層の生地でできているのが普通に機能としてよさそう。

どう、ちょっと気になるでしょ?


● ロウリュはなるべく専用アロマで

完全に自分の店の宣伝だけど、本当におすすめしたいからついでに。

ロウリュはなるべく専用アロマを使って。

というのは、専用アロマはサウナストーブを傷めないように作られているから。

ふつうのアロマオイルを使うと、ストーンにオイルが付いてべたべたになったり、下手するとエレメントまで傷めてしまう。香りも飛びにくいから、しつこく部屋に残り続ける。ほかのアロマの邪魔になることもしばしば……。

熱波師さんは施設のストーブを傷めないための必需品。

お茶やヴィヒタでのロウリュも、本当は茶渋や残渣などが付着するので、自宅の小さな電気ストーブでは、あまりしょっちゅうは使わないことをおすすめする。たまには私もやるけど。

香りの質を重視するなら、やはり以下2つのブランドかなと思う。

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ドイツのKemitronは、ドイツで30年続くサウナアロマの老舗。名前こそ「ケミ」だけれど、中身は天然エッセンシャルオイルを使用。作り置きはせず、オーダーごとにひとつひとつ手作業でボトリングされている。

1本200mlで5,280円(税込)と高価に思えるが、2ℓバケツ40杯分は使用できるため、サウナ1回100円〜150円ほど。アルコール類(危険物の液体)なので輸入がかなり大変だが、それでも価格はかなり抑えられたと自負している。ちょっといい入浴剤感覚で考えてもらえるとうれしい。

これでロウリュをすると、香りが綺麗にたちのぼり、そしてふわりと消える。サウナ室にいつまでも残ったりしないので、ロウリュごとにいろんなアロマを使い分けることも可能だし、サウナのお手入れも簡単。

ケミトロンは100種類以上のアロマがあるのに、日本に来ていない香りが多すぎてもったいない。いろいろ紹介したいし使ってみたいから、輸入してる。


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OSMIAは、フィンランドのアロマの老舗。こちらは2ℓバケツだと25杯分くらい。3,080円(税込)なので、サウナ1回、やはり120円ほど

ちなみにこのアロマは「白樺」ではなく白樺のヴィヒタ。腐葉土みたいな森の匂いがする。日本ではまだ扱っているところがほとんどない、初輸入商品だ。

前述のとおり、ヴィヒタのエキスを毎日電気ストーブで使うのは積極的にはオススメできないし、コストもかかる。そんな時にこのアロマがちょうどいい。


ムロタ式を作ったひとが「なんでも使ってロウリュしよう」とならないためのオススメでした。


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ついでにオススメすると、サウナ室に敷くマットも、せっかくならフィンランド式にパイル地じゃなくてリネンのものを選びたい。リネンにはコットンの4倍の吸水力がある。清潔感のあるさらりとした感触のマットの上に、寝転がるととても気持ちがいいので、ムロタ式所持者には強くオススメ……。あの感触、ぜひ味わってほしい。


自宅サウナを作ってから、本当にほしいサウナグッズを輸入したいと思った。だったらもっといろんな人とそれを共有したくて、いっそショップにしてしまったのが私の店、sinäである。

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自分がほんとうに使いたい、自分のサウナを長く楽しむためのサウナグッズだけを販売中。覗きにきてね


● 泉興産以外のサウナストーブはテントNG?

さて。

なぜ今回ムロタ式の定義に泉興産のMISAだけを限定したか。

それは、ただ単に泉興産以外、テントサウナでの動作確認をしているサウナメーカーが他にないからである。


個人的には、TTNEから最近Bergmanが総代理店になったフィンランドのHARVIAに期待しているけれど……ムロタ式で使っていいかについては、ついてはまだなんとも言えないところ。


実際スウェーデンのサウナストーブtylohelo(ティーロヒーロ)の代理店・オストコーポレーションのWEBサイトには、電気ストーブはテントサウナでは使えない、と、今までなかった注意書きが登場。

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ストーブ単体で買える数少ないサウナストーブ代理店ゆえ、ムロタ式の質問や相談がやたら来たのだろう。しかしあまりにイレギュラーすぎるのと、屋外テントサウナでtyloはおそらくパワーが足りないからこう記載したのかなと予想

そのため、tyloのストーブでムロタ式を名乗られていた方がいたけれど、ムロタの名でtyloを使用されると、公式が否定している使い方をムロタが推奨しているように捉えられかねないため、申し訳ないけれど削除していただいた。


そんな感じで、ムロタ式がちょっと拡大解釈されはじめてきたな……と懸念していたころ、ついに問題が勃発するのである。


そう、フリマアプリでの違法サウナストーブの販売である。



つづく。



つづきです。





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