あなたの創作はどこから?

私は小学三年から!らんむろである。

友人に「小学校中学年の頃、小説書くの流行らんかった?」と訊くと、皆首を横に振った。俺の友達はもう少しイエスマンになれ!という感じである。

さて、そんな私がどうしてその頃に小説(といっても、形にもなっていなかったが)を書くようになったか。
退屈な図書の授業で運命的な一冊と出会ったから――とかなら格好もつくがまったく違う。

単純にゲームボーイカラーを取り上げられたからである。

ポケモン大好き短パン小僧・らんむろにしてみれば一大事だ。スマホがネットに繋がらないレベルで日常に支障が出るというもの。
さらにもう一つ悪夢のような追い打ちが。

「娯楽品買いませんよ令」が出た。

つまりゲームボーイに限らず、その頃集めていたポケモンカードやマンガ、ファンシー小物、等々が一切禁じられた。突如として罪人のような暮らしを強いられることとなったのである。
その日は私の誕生日が近いこともあり、母親が私をデパートに連れていき、「なにか欲しいものある?」と訊いてきた。

で、でもおもちゃ買えないんでしょ~~?!なんで訊くの~~?!でももらわないわけにはいかな~~い!誕生日だから!

根は真面目の鼻タレらんむろ、つらそうにこう言った。

「……キャンパスノート五冊セットがいいな……」

取り上げられるまでゲームをしていた子供が一体どうしたというのだろう。あのときの母親の驚いたような申し訳ないような目は未だに覚えている。

わたしは欲しかったノート五冊を学習机の上にドンッ!と置き、これでなにをするか考えた。泣いてなんかいない。

まずはじめに、絵を描くことにした。絵は前々からの趣味で、オリジナルキャラクターも何人かいる。飼い主への愛が原動力となって人間に変身できるようになった、動物の女の子たち。ウサギはツインテール、ネコはふわふわパーマ、カメはおかっぱのメガネっ子。顔はみんな同じだ。
落書きしているうちにストーリーを作りたくなった。動物から人間になった女の子たちが小学校でドタバタするラブコメとなった。

それが決まれば後は形にするだけである。
しかし、創作をかじったことのある方であれば必ずやわかっていただけるであろうが、想像をアウトプットするのが一番難しい。
はじめは漫画にしようと思ったが、自分の絶望的な画力にやっと気づき、すぐ飽きがきた。私は種村有菜先生にはなれやしないのだ。

それならば、文章しかない。当時の私がそこまで正確に腹をくくったとは思えないが、とにかく、絵がダメだから文にしよう、と決めたのは確実だ。

そこから私は小説(のようなもの)を書くようになった。特にハリー・ポッターが大ブームだった高学年くらいの頃に、ひとりデルトラ・クエストにハマってからは立派な趣味となった。このへんの黒歴史についても改めて書けたらと思う。
それから今に至るまで、少しずつ形を変えながらも変わらず小説を書くのが好きだ。筆力もずいぶん上がったと思う。思うだけならタダ。

ゲームボーイを禁じられたのは全然いいこととは思えないが、それのおかげで新しい遊びを自分で作り出せたのは実りがあったといえよう。

しかしゲームを取り上げるついでに私のコレクションであったポケモンカードを捨てられたことについては未だに少しも許していない。
私のひかるミュウを返してくれ。マジで。

そんな昔のことを思い返しては勝手に腹を立て、そのやり場のない怒りを創作への意欲に向けるのだった。燃費がよろしいということで。

***

おまけ

一年後。ゲームボーイを返してもらった私は、トレーディングカードを集めるのをやめ、欲しいソフトを一本買ったのだった。実物がなくともカードゲームをプレイするために……。(つづく!)