着物&浴衣レンタルOne 京都店
公開日は2017年11月1日、2019年8月5日に株式会社サニーデイサービス コーポレートサイトより移設。
着物&浴衣レンタルOneの京都エリアは、2017年12月24日に河原町店を閉店。同年12月26日より本社所在地のサニーデイビル1Fで、京都店としてリニューアルオープンすることになりました。
「競合他店が増えて競争が大変やろ」、「価格競争が凄いらしいな」などなど、よくご質問をいただきます。確かに市場(需要)の広がりよりも同業他店(供給)の増加が上回ったため、ここ最近の売上は昨対ベースで厳しくなりつつあったことも事実です。ただそれ以上に2015年頃から著しい伸び方をしてきた観光着物レンタルの需要が、ここに来て一段落しつつある気配を感じています。
着物や浴衣のセルフィーをインスタグラムに投稿する一大ブームが落ち着きつつあり、海外のお客様が日本の観光地で着物を着るというアクティビティを楽しむ流れも一巡した感があります。「一過性で終わる」、「長く続くビジネスではない」、「あんなペラペラの着物を貸して、恥ずかしくないのか」などなど、ありとあらゆる方面から様々なご意見をいただいてきました。その場その場では「いやー、どうですかねぇ」と受け流すような対応をしてきましたが、本音は全く違います。
観光着物レンタルが一過性で終わるかどうか、長く続くビジネスとして存在出来るのかどうか、(我々はポリエステルを素晴らしい素材だと思っていますが)ポリエステル素材だけではなく正絹も含めた幅広い商材・価格帯での着物レンタルを提案出来るかどうか、全てはレンタルサービスを提供する事業者の努力次第ではないでしょうか。
(ここからは炎上しないためにも書かない方が良いと分かってはいるのですが、誇りを持って働いてくれているOneスタッフのためにも書きます。)
そもそも、1970年代前半をピークに着物小売市場規模・全国の着物産地の出荷額が現在まで落ち続けてきたのは、生活様式の変化に伴いお客様が着物を着なくなったからではないと私個人は考えています。あらゆる要因が挙げられてきていますが、端的に言えば和装産業全体としてお客様に着物を着ていただくハードルをひたすら上げ続けてきたことも、大きな一つの要因ではないでしょうか。価格のことや販売手法、コンプライアンスの問題も世の中から厳しく指摘されてきました。しかし本質的には、今から着物にチャレンジしたいと思っているお客様、あるいは一度だけ着てみたい、体験してみたいというお客様に対して、正絹着物フルセット(安くて)15万円~20万円という金額をご提案することがどれだけ一般的な消費感覚と乖離した行為であるのかということが、問題視されて来なかったことが最大の問題ではないでしょうか。
Oneは「Oneで着物も好きになる」というミッションを掲げています。Oneにご来店くださるお客様は皆さん洋服姿でお越しになり、Oneで着物に着替えてお出かけされます。そしてお戻りになられたら、洋服に着替えてお帰りになられます。当たり前のようですが、大切なことは洋服が主体であるお客様の日々のワードローブの中に着物や浴衣が入ってきたという事実です。洋服が好きなように、着物も好きになっていただきたい。毎日着るのは現実的ではないけど、特別な日やハレの日には着物を着て楽しんでいただきたい、我々サニーデイサービスの根幹の考え方でもあります。
元々Oneは製造卸業の急激な売上減少に伴い、3点ビハインドで9回裏2アウトまで追い詰められてから叩き出したサヨナラ逆転満塁ホームランみたいな事業でした(例えが古い)。スタッフの数に対して予約をお受けしすぎたことでお客様を長時間お待たせしてしまったり、それにより私がスタッフから総スカンを食らうのは良いとしても、結果的に店内の空気が荒れてしまったりなど、色々なことがありました。ですが、お客様からお金をいただいた上に「お世話になりました、ありがとうございました」と御礼の言葉をいただくことは、この上ない喜びでありました。
サニーデイサービスとしてはOneを「初めて着物を体験するお客様に、着物も好きになっていただく入り口としてのサービス」として位置付けています。
河原町店に比べて京都店の立地は決して良い場所ではありませんが、立地や価格だけで勝負するフェーズはもう終わっていて、Oneにしかない商品・サービス・接客・着付け、ヘアセットのクオリティ・ホスピタリティを磨き続けない限り、ブームが一段落した観光着物レンタル市場で勝ち残ることは不可能だと考えています。
主たる事業内容も社名もガラっと変わってしまいましたが、昭和30年創業の(元)着物メーカーだからこそ提案できる着物レンタルサービスを、これからもお客様にお届けしていきたいと思います。
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