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データでわかる  2030年 地球の姿 要約

8つのメガトレンド

・気候変動
・農業
・森林
・水産
・水
・感染症
・パワーシフト
・労働・人権

気候変動

気候変動によってもっとも被害が起きるのが異常気象である。
自然災害は人的被害と経済的被害という大きく二つの損害をもたらす。
・人的被害は縮小している
人的被害という面では防災意識や災害時の対応のレベルが上がり、世界の災害死者数は東日本大震災のあった2011年の3.5万人から2.5万人を上回ることなく、2018年は1.1万人ほどになっている。
・経済的被害は拡大している
自然災害による被害額は東日本大震災があった2011年で4500億ドルだったのに対し、アメリカで巨大ハリケーンが2回発生した2017年では3500億ドルであった。ここから台風、ハリケーンによる損害が地震の被害に肉薄してきていることがわかる。

この経済的被害に対してもっとも影響を受けるのが保険会社、再保険会社である。また、その影響で再保険会社を支えていたキャットボンドと呼ばれる債券も人気がなくなり経営基盤が揺らいでいる。

そのため、保険会社もSDGsになっていない事業からは投資を引き上げるというような事態が起きている。結果として事業者もSDGsを意識した事業を展開していないと融資、投資を受けられなくなるリスクを認識するようになってきている。

農業

人口の増大に加えて、発展途上国での食生活の変化で一人当たり消費量も増えいていくことが予想される。特に経済成長とともに増えるのが「肉・魚介類」「乳製品・卵」といった動物性タンパク質と「砂糖・油類」である。

気候の変動で植物にとっての適地が変わってしまうので今までとは異なる農業環境になることが予想される。

一般的に食料自給率が低い国では食料価格が上がるが、日本では「食糧管理制度」があり、主要品目の食料価格のコントロールをしているため、自給率の変化を感じにくい。「食糧管理制度」では米、小麦、大麦、乳製品に関して商社が海外から輸入してきたものを政府が一元的に購入し、政府の統制価格で国内の食品メーカーに販売する制度が導入されている。

以上から、大手企業では仕入れの源流にある農場の場所や経営者まで特定し食糧生産の将来影響を分析できる体制を構築しつつある。「スマートアグリ」や「精密農業」を用いて提供し、生産を支援している。また、改善を行なった有望な農家から切られるリスクを減らすため生産者の所得に配慮した価格設定が行われるようになっている。

森林

森林伐採の多くは家畜に与えるための大豆の生産のために行われている。

森林が減ると二酸化炭素の固定量が減る
森林に生息する樹木は樹高が高いものも多く、面積あたりの炭素吸収量が非常に大きい。特に天然林では異なる樹木や草木がそうをなして生息しているため、吸収量が多くなる。

肉食から草食へのシフト
牛肉、豚肉、鶏肉の可食部を1キログラム生産するにはそれぞれ20、7.3、4.5Kg必要で同じタンパク質を得るために非常に効率の悪い変換が行われている。(飼育や加工、流通まで含めるともっと大きい差がつく)
それでも肉を食べたい人はいるので代替え肉(タンパク質の等量交換)へのシフトも起きてきている

ただ、木を切らないことだけが正しいことではない。人工林ではメンテナンスが必要であるからだ。かつて日本は天然林を活かす形で林業が営まれていた。しかし、戦争で各地が焼け野原になり木材の確保が急務となり日本中の森林を人工林に変えた。(現在、4割が人工林)人工林では不要な枝を切り落とし、一本一本の杉を育成しなければ、痩せ細った杉だけになり根が土壌に十分にはらず、土砂崩れが起きやすくなる。

水産

現在は水産の多くは養殖である。さらにそのほとんどが中国で養殖されたものになっている。漁獲量が頭打ちになった理由は資源量の低下で90%以上の魚類が乱獲状態になっている。最近ではさまざまな規制がつけられ保護されるようになってきてはいる

養殖の不安要素
同種の生物が密集している場所では当該生物が感染する病原菌が生まれるとたちまち感染が拡大してしまう。ここで感染症を恐れ、抗生物質を使うと薬剤耐性を獲得した病原体が生まれてしまう可能性がある。こうなると人類は全く太刀打ちできなくなってしまう。また、養殖用の飼料で主要なものは他の魚の身を粉末状にした「魚粉」で結局天然ものが存在しなければ成り立たなくなっている。(養殖用に昆虫を増殖させるスタートアップは見たことあります。これも有望かも?)

利用可能な真水のうち何%を利用しているかが「真水利用率」で日本はかなり高い利用率になっている。また、バーチャルウォーターという指標もありこれは輸入した小麦を生産するために利用された真水などを計算したものである。これを計算すると日本のバーチャルウォーター輸入量は世界最大で輸入元はアメリカ、オーストラリア、カナダだけで70%にもなる。

以上のようなリスクがあるため淡水化に注目が集まっている。海水の淡水化には大きく2種類ある。一つが海水を水蒸気にして冷やすことで真水に変える方法でこれは化石燃料の利用が必要になるので最適とは言えない。もう一つが「逆浸透」を利用するものだ。この方法では浸透圧を利用する。海水の層に人口的に圧力をかけることで水分だけが真水の層に移動する。(日本でも福岡市と沖縄に逆浸透法を利用したプラントがある)ただ、残った塩分をそう処理するかという課題は残る。

感染症

感染症では社会活動が阻害されること、物流、雇用への影響が懸念される。ワクチンに関してもいまだに開発されていないものもある。(ペストなどは昔からあるがいまだにワクチンがないため、ノミネズミを駆除するという対処しかない。これはワクチンを生産することに企業として経済的メリットが少ないということもあると考えている。)

感染症の危険度は大きく「基本再生産数」と「致死率」が重要になってくる。「基本再生産数」とは一人の感染者が何人に感染させるかという数である。

ウイルスには「DNAウイルス」と「RNAウイルス」があり後者は変化を起こしやすい。

また、温暖化によって永久凍土から新たにウイルスが出てくるなどの事例もあり今後感染症リスクはますます増えていく。

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