【短編コラム】負けヒロインはなぜかくも魅力的に映るのか。
私は恋愛作品において、俗に言う「負けヒロイン」や「当て馬」が何よりも好きなのだが、これはひとえに彼ら彼女らの生き様からしか摂取できない栄養があるからだ。
古くは「ストロボエッジ」の安堂拓海や「化物語」の羽川翼から「とらドラ!」川嶋亜美、「俺妹」の新垣あやせ、最近では「俺ガイル」の由比ヶ浜結衣や「僕ヤバ」の南條パイセンなど、考え始めれば枚挙にいとまがなく、結末は告白してフラれる者や潔く身を引く者など様々だが、それぞれ最後まで主人公への恋心を貫いている点で共通している。
彼ら彼女らが失恋して涙を飲みながらも主人公を想って散っていく様は、さながら敵地に特攻し主人への忠誠を尽くして命を散らす戦国武将のようであり、そこには古来より日本人の心を熱くしてきた「諸行無常の儚さ」や「一瞬の命の煌めき」が確かに存在するのである。
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