民法改正で再婚禁止期間をなくなるらしい
2022年10月16日(日)、くもり
引きこもり生活2日め。飯食って風呂入って寝るだけの日だった。……まあそれだけで終わらせるのも虚しいので、少しおもしろそうなニュースについて語ろうと思う。
近年、民法典の改正が著しいわけだが、またぞろ改正が検討されているという。今度は「嫡出推定」の制度が大幅に変わるとのことで、その影響で女性の再婚禁止についての規定も廃止される模様。そのほかにも「嫡出否認の訴え」を提起できる者や申し立て期間など細々としたところで変更点があるらしい。14日に閣議決定され、今臨時国会で成立を目指す方針だという。
このニュース記事だけではピンと来ない人もいるだろうから「嫡出推定の改正」と「再婚禁止期間の廃止」について細かく説明しようと思う。現在、子どもが嫡出子(法律上婚姻している男女を父母として生まれた子)の身分を取得するためには以下の3つの要件が必要とされている。
母が妻の身分を有していること
母の婚姻中に懐胎したこと
母の夫の子であること
このうち2と3については証明することがなかなか難しいので、一定の条件のもと推定規定を置いた。すなわち「母が結婚してから200日経ったあと」から「母が離婚等してから300日経ったあと」までに生まれた子は母の結婚中に妊娠したことにしようと考えるのだ(上記2の推定)。さらに母が婚姻中に懐胎した場合、その子どもは母の夫の子であるともされる(上記3の推定)。これにより小難しい証明などしなくても子どもはすんなり嫡出子の身分を取得できるというわけだ。
この規定には一定の合理性があって、だいたい妊娠期間は10か月と言われているので、大雑把に計算すると10×30で300日となる。つまり結婚中に妊娠した場合は「母が離婚してから300日以内」に、離婚後に妊娠した場合は「母が離婚してから300日以後」に出産予定となる。わざわざ妊娠時期を科学的に証明しなくても、これである程度の判断が可能となるのだ。
とはいえこの推定規定にも問題がないわけではない。仮に母親が離婚した直後に不倫相手と再婚、その後すぐ妊娠した場合を考えると、「前の夫と離婚してから300日以内」かつ「今の夫と結婚してから200日経過後」に子どもが産まれるというケースが生じる可能性がある。
この場合、前の夫と今の夫で結果的に二重の推定が生じてしまい、どっちが父親か判断するのが困難になってしまうのだ。そのため現在は、女性が離婚したあとは100日間再婚できない(300日から200日を引くと100日なので)と規定されており、これにより先述の問題を回避しようした。
ただ現在は医療技術の進歩により早産の場合でも助かる可能性が増えたことから、「離婚後300日以内の子どもなので、きっと結婚中に妊娠していたのだ」との決めつけは実情を反映しているとは言い難い。さらにはDNA検査によって誰の子どもか高精度で調べられるようになっているので、手間さえかければ簡単に嫡出推定を覆すこともできる。つまり上記の推定規定は、正直言って時代遅れの産物なのだ(そもそも規定されたのが明治時代!)。
というわけでこの「嫡出推定」の部分を今風にアップデートすべく、以下のように改正されるという。
離婚後300日以内に出産しても、すでに再婚している場合は今の夫の子どもだよと推定する
これにより前の夫と今の夫のどっちが父親かわからなくなることがなくなったので再婚禁止期間も廃止する
ぶっちゃけ100日の再婚禁止期間については抜け道も用意されていたので、いっそのこと廃止するというのはいい判断かもしれない。そもそもこの規定、女性にだけ定められていたので、男女不平等という声も強かった。昨今は民法を現代の実情に合わせるべく改正する流れができているので、その一環としてはいい改正ではないかと思う。ただ法律を勉強している学生にしてみたら覚え直すことが多くて大変だよなぁ、と元法学部生としていらぬ心配もしてしまう。
と、ここまで解説してきて気付いたのだが、童貞で無職のおっさんである自分には何の関係もない話だよね、これ。どうせ結婚なんかできないし、子どもをつくることもないし。何かすごく虚しくなってきたので、そろそろ横になって現実逃避しようと思います。サヨウナラ。
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