遊牧 (代表 清水伶 /元主宰 塩野谷仁)
№149 2024 R6 2月号
いつも玉誌「遊牧」をご恵送賜りありがとうございます。
「特集『素描』を読む」、読み応えがありました。
№149号の中でわたくしが好きな句です。
鳰潜る星の寂しさ見るために 塩野谷 仁
いもうとの狐火探す闇がある 清水 伶
枇杷の花二階はまるで無菌室 堀之内長一
烏瓜からから鬼の抜殻に 岡 みずき
秋光のかさなっている未完の皿 関戸美智子
草の芽のひかり転生とは違ふ 川森 基次
直なるはみんな逆光黄落す 伊藤 淳子
言葉からはなれるたびに茶が咲けり 久野 康子
花梨の実落ちて備忘録を増やす 黒澤 雅代
本流と別の色して冬の川 佐々木幸子
影のない人と頒け合う日向ぼこ 長井 寛
15
0号は創刊25周年記念号。
わたしが好きな句。
芙蓉咲くもう戻れない距離に咲く 塩野谷 仁
十二月八日黒鍵炎(ほむら)立つ 清水 伶
種袋振って地球をやさしくす 相澤 泰子
記紀よりのことばの集い青葉騒 池田 博臣
太陽系に落ちる音して残り柿 石川 行也
散る花の密なるときの東歌 石橋 翠
蝉の穴こんなところに螺子回し 片山 蓉
草いきれ老いて何かの亜種となる 工藤 俊雄
奈良に霧まくらことばに灯を点す 黒澤 雅代
日本海みたいに缶を開けて冬 関戸美智子
ふと開く沈丁花とか好意とか 高野 礼子
彼の世との幽かなあわい障子貼る 長井 寛
箱庭に方舟ひとつ乾きけり 浪岡はるか
ラ・カンパネラ耳から溶ける冬の星 本間 睦美
先頭の少女振り向く広島忌 村上 麦
白夜とう翼の中の家族葬 茂里 美絵
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