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俳誌「青麗」髙田正子主宰 2024(平成6)年

 三月発行の第三号は、髙田主宰の師、黒田杏子特集号である。
 最後の句集『八月』と、髙田主宰が過去に発表した黒田杏子評と最後の追悼文までを収録している。
 黒田杏子ファンには永久保存版の座右の書となる、充実した編集である。

 
 髙田正子主宰の掲載句「さきがけて」から

   高らかに高らかに画眉鳥春を告げ始め

   応へけり向こうの山の小綬鶏も

   さきがけて恋の鴉となり騒ぐ

 この冒頭の三句には高揚感を感じる。主宰としての
「青麗」誌を創刊して、師の遺志の継承の総括をこうして一応終えることで(もちろん、それは今後も続くだろうことだが)、改めて新しい門出に向かう思いが背景にあるのではないだろうか。
 同時に、師なき後、自分がここに集う人たちを牽引してゆかなばならぬことへの、孤独感と、微かなとまどいと不安が、次の句に顕れているように感じる。(誤読かもしれないが)

   極楽も地獄も霞む日とならむ

   佇めばこの世いよいよ朧なる

   先生の桜に逢ひにゆく朝(あした)

   花よりも冷たき指とおもひけり

 継承と新機軸の創造で、これからは髙田主宰のカラーを打ち出して進んでゆかれることになる。
 ますますのご活躍と「青麗」誌のご発展をお祈り申し上げる。




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