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自宅のリビンで使える木製箔押し機の制作現場report5.5

本体部分の制作が全て終わった山下様に聞いてみました。

村田金箔(以下M): 校了お疲れ様でした!「当社から160周年の原点回帰の箔押し機」のご相談をさせていただいたのが、2019年だったと思います。本体の設計からトライアンドエラーを繰り返し、実に4年間お付き合い頂き、本当にありがとうございました!

山下様(以下Y): こちらこそ、ありがとうございました。たくさんの歳月がかかりましたが、村田金箔様のお気持ちに答えたいという思いから、あきらめず、今の作品を作り上げることができた。無事に完成を迎えることができて、私も本当に嬉しいです。

M:ご相談から完成までの4年間、どのような困難や課題がありましたか?
Y: 本体の設計において、トライアンドエラーを繰り返す中で、さまざまな困難や課題が生じました。具体的には、何度も設計を見直し、改良を加える必要がありました。また、技術的な問題や材料の選定に関する検討も時間を要し、新しい技術や材料の導入を検討も行い、最良の結果を出すために努力しました。

M: 完成を迎えた木兵衛をご覧になられて、山下様はどのような感想をお持ちですか?
Y:まず、木兵衛の完成を迎えることができて本当に嬉しいです!本当に長い歳月がかかりましたが、その間に困難を乗り越えてきました。村田金箔様のお気持ちに応えることができたことに大きな喜びを感じています。

M:今回のお仕事で苦労されたところはどこでしょうか?
Y: 御社からご相談があったとき、「箔押し」についての知識が全くない状態でした。箔押し機の原理や構造が分からなかったことから、完成形をイメージしにくかったところがありました。ただ、そのような状況でも、機械設計担当の川上様から箔押し機の詳細な説明を受け、理解を深めることができました。川上様が機械の事について豊富な知識をお持ちであることには感心しました。

技術的な部分では、木材の特性により同じものを作り出すことはできませんが、機械としての精密さは要求されました。木の表情を1台ずつ確認しながら本体を制作する作業は苦労しました。木材の風合いや特性を最大限に活かしながら、機能的で精密な仕上がりを実現するために、細心の注意を払いました。

また、木材と機械の相性や耐久性についても考慮しなければなりませんでした。木の自然な特性や経年変化に合わせて、機械の性能や構造を調整しました。そのため、材料選びや設計において、試行錯誤を繰り返しました。木と機械の融合によって、美しさと機能性を両立させることに注力しました。

全体として、技術的な理解や木材の取り扱いにおいて苦労しましたが、それを乗り越えることで、要求に応えることができる作品を生み出すことができました。


M:本体制作にあたりこだわったところを教えて下さい。
Y:お客様が「あっ、私いま箔押ししてるぞ!っ」と感じてもらえる「臨場感」にこだわりました。具体的には、本体内部に設置されている「スプリング部分」に重みのあるスプリングを採用しました。このようにすることで、箔押しした瞬間の臨場感をより強く感じていただけるようになりました。

また、全体的なフォルムに関しては、「機械っぽくなく、ご自宅やオフィスのインテリアとしても楽しんでいただけるようにしたい」という要望がありましたので、可能な部分は全て木製にこだわりました。木製の素材は暖かみや風合いがあり、経年変化によっても味わいが増すため、お客様に長く愛されるアイテムになると考えました。

なお、木製のパーツは1台1台異なる木目を持っていますので、それぞれの箔押し機の木目の表情を楽しんでいただければと思います。木の自然な美しさと個性が、製品の魅力となることでしょう。

私たちはお客様の要望に応えるため、箔押し機の制作において細部までこだわりました。臨場感と木の温かみ、個々の箔押し機の個性が融合し、特別な体験を提供することができることを願っています。

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