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人を大切にするいい会社とは何か??

今回は2/21(水)-2/23(金)の3日間で
2人の学生と共に「人を大切にするいい会社とは」について
考え、話し、アウトプットを行いました!
私の言葉はここまでにして…
ここから先は学生たちが自分で考え、言葉を紡ぎ、
書き上げたnoteとなります。
ぜひ、「どんな考えや思いを持っているのか・持ったのか」を
思う存分味わってもらえたらなと思っています。
by 花粉と戦うナカノヒト



静岡県と公益社団法人ふじのくに地域・大学コンソーシアム主催
静岡県キャリア教育プログラムの一環として書かせていただきました。
静岡大学農学部応用生命科学科1年 土岐壮史

 私が「人を大切にするいい会社」とは何かを考えるにあたって大きなヒントを与えてくれた話がある。日本理化学工業株式会社とその社長である大山さんにまつわるエピソードだ。ある日、大山さんは近くにある養護学校の先生から、障害を持つ2人の生徒をここで働かせてほしいと頼まれた。最初は断り続けたが、社員の後押しもあり、勇気の決断でその2人を雇うことにした。彼らは毎日、幸せそうに一生懸命働いた。なかなか言うことを聞いてくれず、ミスしたときなどに「施設に返すよ」と言うと、泣きながら嫌がった。大山さんはそんな彼らの気持ちが理解できなかった。「毎日会社で働くよりも施設でのんびり暮らした方が幸せではないか。なぜ働きたがるのだろう。」そんな疑問をお坊さんに尋ねてみると、「そんなことは当たり前だ」と返ってきた。「幸福とは、①人に愛されること、②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人に必要とされることである。そのうち②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人に必要とされることは施設では得られないことであり、働くことを通じて実現できる幸せである。だから彼らは働きたいのだ。」この考え方に大山さんは衝撃を受けた。そして、「それなら、そういう働く場を提供することこそ、会社にできることではないか。企業の存在価値であり、社会的使命なのではないか。」という考えに至った。大山さんは、量りのメモリが読めない人のために重りと天秤を用意する、時間を計りやすいように砂時計を用意する、材料を入れる容器に色を付けることで分類を分かりやすくする、などの工夫をすることで障害者の方が働ける環境を整えていき、働きたいという障害者の方を積極的に迎え入れていった。現在、日本理化学工業株式会社の障害者雇用率は、社員の7割に及んでいる。

 私が考える「人を大切にするいい会社」とは「出勤したいと思える会社」である。大山さんは障害者の方が働きやすい環境づくりをした。それは働く社員のためである。上記のエピソードの彼らは、大山さんの彼らのためにとった行動により、「ここなら自分たちも十分働ける。ここに出勤して働きたい」と思うようになっただろう。「出勤したいと思える会社」は「社員のことを大切にしたい」という思いから作られるのだ。私は上記のエピソードの彼らのように働きたいという思いがある。それは、働くことで、今まで自分が幸せを与えられた分、多くの人を幸せにしたいからである。それを実現することができる、働く場である会社が「出勤したい」と思える場所なら、どれほど素敵だろう。

 ここで、私の中に「働くことで、今まで自分が幸せを与えられた分、多くの人を幸せにしたい」という思いが生まれたときの話をしたい。
 その思いが生まれたのは大学受験期のこと。当時は受験勉強に必死で家族ともよく衝突していた。どの大学に第一志望を出すかで言い争いになった時、親はいつも「壮史のために言ってるんだよ。私たちは壮史が幸せになってくれればいいんだから。」と言った。毎日「自分のため」、自分が大学に受かるために勉強をしていた私は、自分でない他人の幸せを願うその言葉はきれいごとだと信じられなかった。親は「社会で働いている大人はみんな、自分でない誰かを幸せにしたいと思っているよ」と言い加えた。その言葉はさらに信じられなかった。
 親はそんな衝突があっても、私のために弁当作りや塾の送り迎えなどをしてくれた。「あんなことがあってもここまで力を貸してくれる。あの言葉は本当なのかな。けどもしあの言葉が本当だったなら世界は素敵すぎるな。」と思った。そこで当時の私は、今まで他人にしてもらったことを思い出してみたのだ。すると、数えられないほど思い浮かんで驚いた。家族からだけでなく、地域の人や先生、友達、たまたま入ったお店の人・・・すべての人が私を幸せにするために行動してくれていた。今考えるとなんでずっと気づけなかったのか不思議だ。もしかしたら受験期で初めて、本気で「自分のため」に行動したからこそ、そのとき「他人のため」の行動に気づけたのかもしれない。
 このことに気づき、あの親の言葉を信じられるようになってから、私も誰かのためになることをしたいと考えるようになった。今まで与えられてきた分、その人に返したい、誰かに届けたい。そして、その方法として働くことが思いついた。だから私は働きたいと思う。


今回、「人を大切にするいい会社とは何か」というテーマについて考えてみて、自分なりの答えを見つけ、それを言葉にすることの難しさを感じました。私は働くことにお金を稼ぐこと以上の意味を見出していますが、お金が稼げればそれでいいという考えの人もいます。その人にとって、私がいい会社だと考える「出勤したいと思える会社」は、いい会社ではないかもしれません。みんながいい会社だと思える会社はどんな会社なのか、これからも考え続けたいです。悩むところはありますが、自分なりのいい会社を考え出せてよかったです。