AIを企業法務で活用!そのメリットと導入ステップ、システムの種類まで大解説
企業の法務の仕事はAIでなくなるのか?
法務部門は重要な役割を担っていますが、人手不足や業務量の増大により、効率化が求められています。
そんな中、AIの活用が注目を集めているのですが、果たして法務の仕事はAIに奪われてしまうのでしょうか。
結論から言うと、法務の仕事が完全にAIに置き換わることは考えにくいです。
なぜなら、法務には高度な専門知識とコミュニケーション力が求められるからです。
複雑な法的判断や、依頼者の悩みに寄り添うことは、現状のAIでは難しいでしょう。
しかし、だからといってAIが法務に役立たないというわけではありません。
定型的な業務や、大量のデータ処理など、AIの得意分野は確実に存在します。むしろ、AIを適材適所で活用することで、法務の生産性は飛躍的に向上すると言えるでしょう。
AIを企業法務で活用するメリットとは
それでは、具体的にAIを企業法務で活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは5つのメリットを紹介します。
法務AI活用メリット その1.正確性と迅速性を高めることができる
企業法務では、契約書のチェックや判例調査など、正確性が求められる作業が多くあります。
しかし、人手で行うとミスが生じる可能性があるほか、膨大な時間を要してしまいます。
その点、AIであれば24時間365日休みなく働くことができ、ミスもほとんどありません。
例えば、契約書のチェックであればAIが自動で行い、リスクのある箇所を洗い出してくれるサービスも登場しています。これにより、正確性と迅速性を高めることができるでしょう。
法務AI活用メリット その2.業務効率化が可能
企業法務の業務には、定型的な作業が少なくありません。そのような単純作業は、AIに任せることで大幅な効率化が見込めます。
契約書管理を例に挙げると、契約書のデータをアップロードするだけで、AIが自動で内容を読み取り、管理してくれるサービスがあります。
有効期限が近づいた契約書を通知してくれたり、目的の契約書を瞬時に検索したりと、今まで時間が取られていた作業時間を別の業務に当てることが可能になります。
法務AI活用メリット その3.データドリブン
AIの活用によって、今まで可視化できなかったデータが明らかになります。
例えば、契約書のテンプレートが本当に最適なのか、過去の判例からどのようなリスクがあるのかなど、データを根拠に判断することが可能となります。
従来の勘と経験だけでなく、客観的なデータに基づいた意思決定ができるようになるのは、大きな強みと言えるでしょう。
法務AI活用メリット その4.リソース不足の解消
多くの企業で、法務部門は人手不足に悩まされています。
期待される役割の大きさに対して、リソースが追い付いていないのが実情です。
しかし、AIを活用すれば、少ない人数でも効率的に業務を回すことができます。AIに任せられる定型業務を切り離すことで、人は付加価値の高い業務に専念できるようになります。
限られたリソースを有効に活用する一助となるでしょう。
法務AI活用メリット その5.リスク予防
法務に求められる重要な役割の一つに、法的リスクの予防があります。
例えば、契約書のチェックを入念に行い、トラブルの芽を事前に摘むことなどです。
AIを活用すれば、そのようなリスク予防を自動化できます。過去の判例やデータから、リスクとなり得るポイントを洗い出し、未然に防ぐことが可能となるのです。
企業法務をAI活用で効率化する際のステップ
メリットが大きいとはいえ、AIをいきなり全面的に導入するのは難しいかもしれません。
そこで、段階的に導入していくことをおすすめします。
AIによるアウトプットイメージを正確に把握する
まずは、AIを導入した際にどのようなアウトプットが期待できるのかを正確に把握しましょう。
各業務において、どの程度自動化でき、どこまで効率化できるのかを見極めることが重要です。
また、実際にAIを動かしてみて、アウトプットの精度を検証するのも良いでしょう。
思ったよりもAIの判断が優れている、逆に実用レベルにないなど、手応えを掴んでおくことが肝要です。
AIへのインプットの範囲をちゃんと理解する
一方で、AIにインプットする情報の範囲も、事前にしっかりと定義しておく必要があります。
機密性の高い情報をインプットする際は、マスキング(機密性が低いデータに変換すること)を行うのが一般的です。
また、インプットした情報の中で、学習に使う部分と使わない部分の線引きも大切です。情報の取捨選択を誤ると、かえって精度が落ちてしまう恐れがあるからです。
法務のAIシステムの種類
法務AIシステムその1.法律業務の支援
リサーチや文書作成など、法律業務全般を支援するAIシステムです。
判例データベースと連携していたり、文書の自動生成機能を備えていたりと、汎用性の高いシステムが特徴です。
法務業務をトータルにサポートしてくれるため、小規模な法務部門におすすめです。
法務AIシステムその2.契約書業務を効率化
AI契約書レビュー支援
契約書をアップロードすると、自動でリスクのある条項をチェックしてくれるシステムです。
修正例の提示や、条項の不足の指摘もしてくれるため、契約書の精度を高めることができます。
AI契約書管理システム
契約書をデータベース化し、効率的に管理できるシステムです。
契約書の検索や、有効期限の通知など、煩雑な管理業務を自動化してくれるため、大量の契約書を扱う企業に最適です。
法務AIシステムその3.リサーチを効率化するAI
判例データベースと連携し、求めるキーワードに関連する判例を一瞬で見つけ出してくれるシステムです。
関連度の高い順に判例を表示してくれるため、リサーチ業務の効率化が期待できます。
リーガルテックの今後と問題点
AIの進化とともに、法務分野でもさらなるAI活用が進むことが予想されます。定型業務の自動化は当たり前となり、より戦略的な業務にシフトしていくことになるでしょう。
ただし、AIの判断を全面的に信頼するのは危険です。あくまでも人間の判断が最終的には必要不可欠です。AIをうまく活用しつつ、時にはAIに頼りすぎない姿勢も大切と言えます。
また、AIの利用に際しては、セキュリティ面や、個人情報保護の観点からの配慮も必要です。デメリットにも目を向けつつ、バランスの取れた活用を心がける必要があります。
この記事をご覧のあなたも、法務の効率化を実現すべく、AIの導入を前向きにご検討されてはいかがでしょうか。
適材適所でAIを活用し、法務の付加価値を高めていくことが、企業の競争力強化につながるはずです。
ぜひ、AIをうまく味方につけて、法務DXを推進していただければと思います。
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