物語plot.2020.0108

・プロローグ

炎に包まれた城内、外では荒々しい声と地鳴りが響き渡っていた。多くの血が流れ、また人が無数に倒れている風景。空は灰色に染まりつつ黒煙がそれを手助けするように辺りを暗くしていた。ディドルフ王国の王位継承の間。一人の若者が傷をわずかに負いながら駆け込んできた。

「陛下。お待たせいたました。しかしこの最中、急用とは何事ですか」

王は背を向け剣を天に差し向けていた

「第8代王権者・ヴェルナード・ヴァイラントに告げる。その手でこの剣を持ち我が命を絶て。さすれば、その手に力を宿し王位継承を終えるだろう」

「父上、何をおっしゃっているのか、よくわかりません」

「時間がない。早くするのだ。ヴェル」

「今はそんな場合では継承の儀は今でなくても、、、今は戦いを終わらせることが先決ではないですか」

「ヴェルよ、よく聞け、これは王家に伝わる大事な儀式だ、そなたの選択によって、この国の未来が変わる。今ここで自らの意志で選択するのだ」

「でも、父上を殺すことによって継承が終わるとは何を」

「早くしろヴェル、まもなく そなたの意識が、、、」

王は少し激昂したように叫んだ。それは見たこともない顔つきで

「父上?」

ヴェルはほんの一瞬、瞼を閉じた。次の瞬間、自ら手に剣を持ち、目の前には倒れこむ、血が流れだす王の姿があった。

「父上?僕は何を」



遠くから声が聞こえる。

「であるから、このヴァイラント家に伝わる王位継承の剣が代々受け継がれてるのであります。王位継承は王とその継承、、、こら殿下、聞いてますか。殿下、ヴェルナード様」

「んん、、父上?」

「何を寝ぼけたことを今はわたくしアーベル・オイケンの教養の時間ですぞ、どうなされた殿下」

少しばかり間があったがすぐ様に先の王の姿を思い出し身を案じた

「王は、父上はどこですか」

「は?陛下ならば、玉座にいつものように謁見の最中ですぞ」

「え、、あぁ、、そうだよな、、、すまない少し夢を見ていたようだ」

「殿下。あなたらしくもない」

「そうだな・・・すまないことをした」

夢とはいえ鮮明すぎて、現実ではないと知り少し安堵したものの、まさに悪夢といってもいいもので、その不可解さが気になってしまった。

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