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【AIR】令和の昭和レトロブームで「ドライブイン」がまさかの静かなるブームに

ブームは形を変えて繰り返すと言いますが数年前からZ世代の間で流行っている「昭和レトロ」もまさにそれですね。1990年代中盤以降に生まれたZ世代の間では、例えば昔ながらの純喫茶で出されるようなクリームソーダがブームになっていたりします。

・「昭和レトロ」 Z世代が魅力を感じる昔のカルチャーhttps://mag.sendenkaigi.com/hansoku/202203/8-featured-keywords/023255.php

・ギョーザ店なのに看板商品は「クリームソーダ」 若者ヒットの謎
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00019/00022/

「無印良品」が2020年3月に発売したメロンソーダを使ってお家で純喫茶風のクリームソーダを作り写真を撮影しシェアして楽しむことが流行り、思いがけないヒット商品が生まれたりも。

・完売続き! 無印良品「cafe&meal muji メロンソーダ」は見かけたら即買いがおすすめ
https://marche.otoriyose.net/article/33037

飲食チェーンの「PRONTO」はリブランディングも兼ねて新たに展開を進めている新業態の「キッサカバ」もどこか昭和レトロを感じさせる要素を入れながらZ世代を意識した店づくりを行っていたりします。

・「キッサカバ」
https://www.pronto-kissakaba.com/

新たな世代にとって「昭和レトロ」が一つのキーワードとなりそこに新しいビジネスチャンスを見つける動きがある中で、先日の読売新聞にこんな記事を見つけました。

・昭和のドライブイン、「1周回って新しい」とSNSで話題…「こんな日来るとは」店員も驚く
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220918-OYT1T50170/

昭和の高度経済成長期、全国の一般道路沿いに建てられた食事や休憩のできる商業施設「ドライブイン」が、人気を呼んでいる。高速道路の登場で長く苦境にあったが、最近は高速のサービスエリア(SA)や「道の駅」とは異なり、個性的で昭和レトロな雰囲気がSNS映えすると話題に。車離れが言われる世代には、目新しく映るようだ。(黒川絵理)

( 引用元:読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220918-OYT1T50170/ )

国土交通省が全国各地に整備する道の駅ができるはるか以前、昭和の高度経済成長期、急速に日本が自動車社会へと変化を遂げ始めているところに新しい商機を見い出し、国道をはじめとした街道沿いで個人商店的に次々と誕生したドライブイン。道の駅はもちろんサービスエリアもコンビニも無い時代、長距離移動のトラック運転手や長旅の途中のドライバーが、一休みしながら腹ごしらえや休憩できるスポットとして重宝されていた訳です。

それが時代の進展と共にロードサイドにはコンビニ、ファミレス、ファーストフード等の飲食チェーン、漫画喫茶、道の駅等、様々な競合となるサービスが溢れ、いつしかドライブインは昭和遺産の絶滅危惧種的な存在になっています。

ちなみに余談ですが、ライターの橋本倫史さんという方が『ドライブイン探訪』という本を書かれています。まちづくりの世界にいると建築好きな方が多く、看板建築マニア、団地マニア、廃墟マニア等、建物のジャンルだけでも世の中には一つの物へこだわりと愛着を寄せ続け探求していくと新たなカテゴリーができるものだと知ってはおりましたが「ドライブイン」とは面白いものに着眼される方がいるもんですね。

『ドライブイン探訪』橋本倫史 著(ちくま文庫)
https://amzn.to/3rsV1v6

姿を消しつつあるドライブインですが「昭和レトロ」を感じさせるコンテンツとして新しい文脈で紹介され、その写真がSNSでもシェアされたりし始めたことで、わざわざそこを目指す目的の場所となるドライブインが出てきています。

先ほどの記事の中では、ドライブインの例の1つ目として香川県さぬき市の国道11号線沿いにある1964年開業の「大川オアシス」が紹介されています。検索してみるとこんな紹介記事も見つかりました。

・昭和映え!香川「大川オアシス」はレトロさが本気すぎるドライブイン
https://www.travel.co.jp/guide/article/45283/

建物の外観、店内の球体のオレンジ色の照明、提供している食事メニューと昭和感満載。そして海岸線に立地しているため瀬戸内海が一望できる抜群のロケーションということもあり、海を背景に昭和レトロを感じさせる写真を撮ってInstagramでシェアしたくなるというのもわかる気がします。いわば映え系のドライブインですね。

・瀬戸内海を一望できるレストラン
https://sanuki-kanko.jp/sightseeing/gurmet/post-775.html

「大川オアシス」の人気の影響なのかさぬき市の観光協会もおすすめスポットの一つとして掲載していました。

冒頭の読売新聞の記事でもう一つ紹介されていたのが、京都府舞鶴市の国道178号沿いにある1971年開業の「ドライブインダルマ」です。こちらも検索してみるとまた違ったスタイルのドライブインだということが分かります。

・自動販売機の聖地! ドライブインダルマに行ってみた
https://www.kyotoside.jp/entry/20170318

こちらのドライブインは、昭和の時代にあったラーメンやうどんの自動販売機の他にカップラーメンやハンバーガー、瓶のコカコーラ自動販売機と、昭和の懐かしい自動販売機が今も現役で稼働しているという珍しさがウケ、わざわざこの自動販売機を体験しにくる場所になっているようです。

現在ロボットやAI技術等のテクノロジーを駆使し自動化された無人タイプの飲食店舗開発が注目されていますが、フード自動販売機を揃えた「ドライブインダルマ」はその先駆けなのではないかとさえ思えますね笑。こちらは昭和の自動販売機というもの珍しさが売りのレア系なドライブインですね。

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