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【AIR】接客レス化に向けた試行錯誤が進む小売店舗

小売店舗における商品説明や試着等の試用、会計時の決済、いずれも対面で行われ接客スタッフが客に付いて対応するというのがこれまでの常識ですよね。高額商品や上顧客であれば1人に対して複数の接客スタッフが付いたり、時間をかけてじっくりと商品選びに付き合い手厚く対応することが店舗の存在価値でもありました。でもこの常識が新型コロナウイルスの感染拡大により大きく変わりはじめています。

その一つの現われとして「非接触エコノミー」という言葉が登場してきているのをご存知でしょうか?人と人との接触を避けつつ生活やビジネスを継続して行っていく姿を表した言葉です。

・新しい日常に求められる非接触エコノミー
https://air2.areaia.jp/main/article/detail/29633

キャッシュレスや非接触技術自体は、既に以前からあり省人化のために実社会で利用されていますが、昨年の新型コロナウイルスの感染拡大を受けてもう一つ非接触による接客レス化と点にも注目が集まっています。店舗で顧客と対面で触れ合うことは小売において大事な価値の一つだった訳です。それが新型コロナウイルス感染拡大という状況を受けてその価値観が180度転換し、有人による接客を無くした状態でも顧客に商品価値を感じてもらえるサービスをいかに創造していくか、という方向へと向かっています。(もちろん店舗での接客が突然、全く無くなる訳ではありません。)そのために実店舗でデジタル技術をテスト導入してみる動きが出てきています。最近話題のデジタル・トランスフォーメーションの小売店舗版ということですね。

技術の一つとしてスマートミラー(あるいはデジタルミラー)というものがあります。コンピューターとディスプレイを使って鏡の機能を提供する技術です。身近な例ですと自動車に取り付けられたタイプのもので通常のルームミラーでは見えない領域までも運転手が確認できるようにできたり、ドライブレコーダーとして機能したり、後続車の動きを検知したり、と安全に資する技術として利用されてきています。

この技術を接客に応用する試みが小売店舗の現場で始まっています。例えば、店頭での商品試用体験が大きな価値を持っており接客レス化が非常に難しそうな化粧品や美容関連商品の分野で実験導入が始まっています。

多機能のデジタルミラーを提供する米国の企業、MemoMi社はファッションやコスメ業界においていち早くデジタルミラー技術の提供を開始しています。

・多機能デジタルミラーでファッションやコスメ業界に革新をもたらすMemoMi
https://techblitz.com/memomi/

顧客がデジタルミラーに向かうと自分の顔が鏡のようにディスプレイ上に映し出され、試したい化粧品を選び、口紅やファンデーションを指定するだけで、それを付けた自分の顔が表示されます。自分の顔の画像をスマートミラーが分析して、似合う色を提案されたりします。スマートミラーにはカメラが搭載されており、カメラが顔を撮影し画像処理のAIとAR機能を使って化粧品を試した様子を画像合成して鏡のようにディスプレイ上に映し出したりもできます。

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