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平野耕太先生の「進め!!聖学電脳研究部」レビュー「ゲームで感動した時」。

漫画「進め!!聖学電脳研究部」は平野耕太先生が昔の言葉で言えばアスキーの隔週発行のゲーム情報雑誌「ファミ通PS」誌に1997年2月7日号から1998年6月26日号まで全27話連載されていた漫画です。
「ファミ通PS」の「PS」はプレイステーション(PlayStation)の事でプレイステーションから出てるゲームの情報誌ですね。
平野先生はエニックスとくっつく前のスクウェア社に好感を持たれておらずPSのゲーム「ファイナルファンタジータクティクス」の事を「アレってタクティクスオウガじゃん」とかスクウェア社を「他人の褌で相撲を取る大横綱」とかズバッと描かれたので,ゲーム雑誌の本質はゲーム会社の御機嫌を伺う太鼓持ちですので本当の事を言う道化師・平野先生が目障りとなり27話で打ち切り,単行本化もしませんでした。
そんな平野先生に救いの手を伸ばしたのがアーケードゲームの情報誌「ゲーメスト」を出していた新声社で本作の最初の単行本が1999年4月25日に発売されました。
しかしその直後に新声社は倒産。
折角念願の単行本が出た平野先生だったのですが印税の約3分の1が未払いという有様。
印税収入が止まれば漫画家は収入が途絶します。
極貧生活されてた平野先生を今度は角川書店が名乗りを上げて2003年10月1日に2度目の単行本化が成った訳です。
但しコレには注釈が必要です。
1998年に少年画報社の「ヤングキングアワーズ」誌で連載開始された「ヘルシング」が「少佐の大演説」で大化けしたのが2001年ですから,それまでは本当に苦しかったのは本当だと思います。
2003年には世界が一変していて平野先生が2度目の「聖学」に
「大陸軍(グランダルメ)は」「世界最強~ッ!!」
と走り書きされた台詞は「ヤングキングアワーズ」誌で連載開始当初の長谷川哲也先生の「ナポレオン 獅子の時代」の台詞の引用なのですが,
少年画報社はその走り書きを見逃さず「ナポレオン 獅子の時代」の新刊第3巻の帯に
「「ヘルシング」の平野耕太氏狂讃!!」
と謳い文句を書いたのです。
この頃の平野先生は「ちょっとした走り書き」にも値千金の意味があったのです。
勿論角川書店が「聖学」の2度目の単行本化を申し出たのも
「ヘルシング人気にあやかりたいかやつりたい」
作戦ですね。
平野先生的には触る物が皆黄金になる王様の心境だったのではないかしら。

2003年の2度目の単行本化に当たって
「聖学」の新作が描き下ろされました。
もう西新井も女性キャラも一切登場せず,
寺門が聖学電脳研究部の顧問になってます。
寺門は入部試験と称して「好きなゲーム」を生徒に尋ねると
「FF7」「FF8」「FF6」
と答える生徒に腹を立て
ファミ通で(スクウェア社の)「ベイグラントストーリー」が
40点満点評価を取った事を是非を生徒に問うのです。

ヒラコー先生は昔から変わっておらず,
ずっと「とんがってた」って話。
変わったのは周囲の先生を見る目で,
この描き下ろしを圧力かけて潰せなくなった。

でもね。呆れて入部希望者が皆帰る中,
たったひとり残ったデブのゲームオタク君の
「ゲームで感動した時」ってお題に対する「答え」が素晴らしんです。

自国の辺境都市に迫る蛮族の騎兵軍。
防衛隊は既に全滅。
新造した防衛ユニットの完成まで,どうしても1ターン足りない。
だが近くで開墾してた開拓団ユニットが蛮族の進路上に立ち塞がり
その僅か1ターンを稼ぐ為に全滅した。
「その彼等の決意を思う時」だ。

スクウェア社のゲームとリーフ系ゲーム以外のゲームを
熱く語るオタク君が寺門を糞人間と呼び「お前もな」と返して話は閉じる。


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