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映画「ゴールデン・チャイルド」レビュー「天使の住む町の聖剣を装備出来る男」。

吹雪が吹き荒れるチベット山中の寺院。
そこには千世代に一度生まれる「完全なる子供」…。
「ゴールデン・チャイルド(J.T.リアート)」が鎮座している。
チャイルドが手を触れれば命を失った生命に再び命が宿り
悪の心に満たされた人間に触れれば悪の心は浄化される。
チャイルドは世界を浄めるために生まれてきたのだ。

しかしチャイルドの存在を疎むものがいる。
悪魔だ。
サード(チャールズ・ダンス)を首魁とする悪党共が
寺院になだれ込みチャイルドを奪う。

チャイルドは唯一の例外を除き,あらゆる外部からの物理攻撃を無効化する。だが不浄な食物を口にすると
チャイルドの「内部」が傷つき神通力は消え失せ世界は地獄と化す。
サードはチャイルドを監禁し空腹に耐えかねて
不浄な食物を口にすることを何ら慌てる必要なく待っている。

一方ではチャイルドを外部からの物理攻撃で絶命させる唯一の方法…。
「アジャンティの宝剣」を捜している。
宝剣は心正しきものが使用すれば悪魔とさえ互角に戦え
心悪しきものが使用すればチャイルドを絶命させることが可能となるのだ。
だが宝剣を入手するには「試練」を乗り越える必要がある。
サードはそのことをまだ知らない。

チベットの寺院の予言書によれば「天使の住む街」に住んでいる
「選ばれしもの」だけがチャイルドを救い宝剣で悪魔を滅ぼせるという。
「選ばれしもの」を捜し「宝剣の試練」を乗り越えさせるために
チベットの寺院より武道の達人キー・ナン(シャーロット・ルイス)という
若き尼僧が「天使の住む街」…ロサンゼルスに向かうのであった…。

「選ばれしもの」がロサンゼルスで失踪した子供の捜索専門の
私立探偵をしているジャレル(エディ・マーフィ)であるという時点で
ある種の「出落ち感」が満載であるが
サードが西洋人でありながら正座して周囲の風景が
次第に人間界から魔界へと変貌し高位の悪魔と「魔界通信」を行う場面や
サードが悪魔としての本性を現わし人間の姿から
ガーゴイルを彷彿とさせる有翼の悪魔に変貌する場面や
悪魔サードが縦横無尽に暴れまわる場面の特殊撮影は一見の価値がある。

これらの場面での特殊撮影にはCGが一切使用されておらず
手作り感満載な点も大いに評価したい。

宝剣を構えたジャレルとチャイルドとが力をあわせて
悪魔サードと戦う姿は多分にTVゲーム的で思わず涙目になる。

見所が全てサード絡みなのは御愛敬といったところだ。
エディ・マーフィといえば脊髄反射で
「48時間」「ビバリーヒルズ・コップ」
の人と思われがちだが,
こんな佳作もあることを知って欲しい。

僕の人格形成は1970年代で,ほぼ完成していて
本作品の「MTV感覚」には抵抗を覚えるが勿論減点はしない。

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