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3Dダンジョン探索RPG「ウィザードリィ」レビュー「文化の殺人者」

「ウィザードリィ」は3Dダンジョン型RPGであるが
1.方眼紙等に精密にマッピング(地図作成)してゆくストイック要素と
2.お笑い・パロディ要素
が混在している。
「ウィザードリィ」シリーズ第4作目の「ワードナの逆襲」の
ノベライズをされた手塚一郎氏は「後書き」で次の様に語られている。

「(小説化するに当たって)当然「パロディ要素」は
切り捨てなければなりませんでした」

しかしながら何故「パロディ要素」を切り捨てるのが
「当然」なのだろうか。
PC版「ワードナの逆襲」の攻略班がゲームの佳境で
ホークウインドという事実上のラスボスと戦った際,
ホークウインドが戦闘中に寿司を注文した事に激昂し,こう叫んだ。

「ふざけるな!真面目に戦えホークウインド!」

ホークウインドが戦闘中に寿司を注文した行為は
「ふざけてる」が故に糾弾されたのです。

手塚一郎氏が「パロディ要素」を全割愛されたのは
「真面目じゃないから」なのです。

この「真面目であること」が唯一絶対の至高の価値であって
ゲームに求道者的に取り組んでいる「俺達真面目なゲーム攻略班」
の求道的努力をバカにし・軽んずる事は一切合財許さないと言うのである。

何と言う思い上がりであろうか。

「真面目であること」に至高の価値を認め「他の価値観」を一切認めず
「自分達のみが正しい」「自分達が一番偉い」と
胸を張る連中に僕は吐き気を覚える。

「ウィザードリィ」が「硬派なファンタジー」と思われるのは
「末弥純氏のキャラクターデザインが関与してるかも?」
とのSNSの言説に「ハア?」と思わず声が出た。
末弥純氏の
角(ツノ)にリボンのついた可愛らしいデーモンロードのイラスト。
アレは一体何だと言うのか。

確かに「ウィザードリィ」は「硬派」な一面はあるが
同時に「不真面目」でもあるのだ。
日本の「真面目な」ゲームファンが
「ゲームは真面目でなければならない」
と「ウィザードリィ」に 「真面目であること」を強要してるだけです。

実に嫌だねえ。

ゲームに対し「求道的に取り組む」のは
プレイスタイルの一形態に過ぎないのに
ゲームに対しても「求道的であれ」と要求するのは
「求道的な」プレイヤーのエゴに過ぎないのだ。

「真面目であること」が絶対唯一の正義であるかの如き
価値観のもとでは文化は窒息する。
求道者は「文化の殺人者」なのだ。
「違う価値観」を一切認めようとせず
「自分のみ正しい」と胸を張る
「文化の殺人者」の増上慢に僕はムカツキを覚えるのだ。


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