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戦争を知らない子供たち

 「ここで問題。あの偉大なジョン・レノンが射殺された、辛い事件は12月8日、では旧日本軍が赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴の6隻の空母でハワイの真珠湾攻撃を行ったのは、何月何日だ? よーく考えろ」

「ジョン・レノンが亡くなられたのが12月8日ということは、12月8日ではないということだな、ハッピーニューイヤーで浮かれている1月1日だな」 

「いやいや、意表をついて、クリスマスイブかもしれませんよ」 

 会社の後輩に問題を出したときの彼らの会話だ。彼らは20代後半と30代前半である。

(おいおい、まじかよ)

正直、びっくりした。歴史に興味がなくても、歴史的大きな事件は常識として、知っているものと思っていた。

 12月8日、8月6日、9日、8月15日は、何が起きた日なのか、今の若い人は知っているのだろうか?

「私、まだ生まれてないから、わかんなーい」

という言葉が帰ってきそうだ。

 勿論、知っている若い人も多いだろうが、知らない人も、かなりの比率で存在するような気がする。

 今もなお、原爆被爆者で、いつ倒れるか、わからない人たちが居るのである。

 ピカドン三悪、爆風、熱線、放射能。

 前者二つを免れても、放射能が、たち悪い。

被爆直後の急性原爆病、免れたとしても、10年後位に発症する白血病、免れたとしても、その人が70代の高齢になってから発病する悪性腫瘍の数々、1年間に10回くらい、癌になるという。一生が闘いになる。

 戦争とは言え、アメリカはなんと惨い事をしたんだ。

 それでも私の両親はアメリカに対しては好意的だ。

 「アメリカは戦後の日本を平和な国にしようと色々整備してくれたんだ」

 「弱い国をアメリカが庇ってあげて世界をまとめてくれたら良いのにねぇ」

 でも、数十年前、アメリカは湾岸、イラク戦争など、横柄な戦争をひき起こしている。

 10年以上前、沖縄の米軍基地が大きな問題になったが、安全保障条約の存在意義は、どうなのだろうか。

 私の中学時代、世界は冷戦真っ只中である。

 「ソ連は日本をやりたくてやりたくて、うずうずしているんだ。安保条約を廃止しようものなら、ドカーンとミサイルで日本はおわりだよ」

 「一寸、お父さん、やめてよ、怖くなっちゃうじゃない」 

 両親の当時の会話だ。

 戦後80年間、戦争が起きないのは、安保条約も、かなり貢献しているような気もするし、他国の土俵で戦争しようとしているアメリカの魂胆も垣間見えるので、安保の存在は非常に微妙である。

 生前、父は予言した。  

「人は一生に一回は必ず戦争を経験する。どんなに平和を望んでも、過去の歴史がそれを物語っているのだ」

ロシアのウクライナ侵攻は現在も続いている。

核兵器なんか、いい加減無くなればいいのに。使えないのだから。使ったら世界が終わってしまうのだから。

 それでも、世界の皆が戦争を知らない子供たちであって欲しいと願わずにはいられない。平和を願ったジョン・レノンのためにも。


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