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【温泉旅行】眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー第30集解題と読者アンケート

(校正前です。諸々アレな点があったらご容赦下さい。)

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( ー.ー)「コンニチハ、ゴートゥートラベル、シテマスカ?」
(ー.ー )「イキタイケドネ、仕事アルカラ」

( ー.ー)「何処イキマシタカ」
(ー.ー )「話聞コウゼ、行ッテネエヨ」

( ー.ー)「トラベルトイエバ殺人」
(ー.ー )「飛躍的ニ物騒ダナ、ドラマノ観過ギ」

( ー.ー)「アッアー♪ウィアー・イン・トラベル」
(ー.ー )「アア、90年代ノ誰ニモ分カラナイボケ…、ソレハトラブル、ネ」
            **********
( ー.ー)「実ハ、ワタクシ既ニ死ンデマス、ココダケノ話。」
(ー.ー )「マサカノ火曜サスペンス」

(アッアー♪ウィアー・イン・トラベル!みんなで温泉に行こうぜ!)

            ***********

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーは第30集を迎えました!毎月飽きもせず2年半です!(暇ではないです)

ええ、皆様におかれましてはそんな半壊の企画にお付き合い下さいまして誠に有難う御座います。これも偏に皆様のお陰と深謝致します。毎月新鮮な気持ちでアイラブユーでございます。この度のテーマは「温泉旅行」、風呂と不倫と殺人事件。おっとそれでは火曜サスペンス。ゆったりお風呂と美味しいご飯にご案内。

( ー.ー) ババンバ、バンバンバン
(ハーア、ビバビバ)
( ー.ー) ババンバ、バンバンバン
(ア、ビバビバビバビバ…)
それでは今月も宜しくお願い致します。

アンソロジーはこちらから。

目次

01イラスト「海沿いの列車」Auzenismo(羽雲けむ)
02コラム「東京発、1泊2日の温泉旅行。『箱根か熱海』以外の選択肢を全力で提案する」ながち
03音楽「防波堤の上で」ヤチダモの幹には、空の卵が4つ
04小説「夫婦十年水入らず」海亀湾館長
05小説「人妻小説」みこちゃん
06漫画「熱湯いっぽん / 1本目」コーポ学び屋
07エッセイ「あこがれの『常連さん』」平沢たゆ
08小説「私を熱海に連れてって」りりかるん
09朗読 「私を熱海に連れてって」りりかるん
10写真「赤い色情」さかもツインねね
11官能小説「足の指の思い出」みこちゃん
12短編小説「いとやはらかに温泉まんぢうがありまして」ムラサキ
13音楽「大正浪漫漂う迎賓館で撮影された新作MVのご紹介」tetsu◇映像作家
14小説「をんなをんな祭り」みこちゃん
15写真「四角の視覚」さかもツインねね
16掌編小説「最新AI導入! 完全無人対応で安心安全な旅館!」くにん
17短編小説「俺の男の名前の刺青」千本松由季
18写真「湯けむりが隠したかったものは」さかもツインねね
19漫画「飲泉ノススメ(カルマティックあげるよ ♯77)」MAYBECUCUMBERS
20小説「足の親指の爪垢を肴に吞む話」民話ブログ.
21小説「(S)AKASIMA」ウネリテンパ
22エッセイ「10月29日 ケータリングで待ってて」inarinaofumi

解題

01イラスト「海沿いの列車」Auzenismo(羽雲けむ)

うぜんいずもさんは以前のアンソロジーでは音楽で取り上げましたが、日頃はイラストを描かれております。旅情溢れる絵が多く、描かれるのは江ノ島電鉄、小田急線、それに湘南の海。
電車は一路西に向かってその先は。箱根登山鉄道、伊豆急行、鉄道を乗り継いで温泉が待っています。
秋の佳き日に鉄道に乗って。本アンソロジーも温泉旅行に出発です。

02コラム「東京発、1泊2日の温泉旅行。『箱根か熱海』以外の選択肢を全力で提案する」ながち

「温泉オタク」のながちさんは温泉に特化したライターさんです。各記事には温泉オタクの矜持があります。
この記事では東京から一泊二日圏内の名湯をご紹介。知ってるお湯も知らないお湯も何処をとっても名湯です。ああ、旅に出たくなりますね。素敵な記事です。

03音楽「防波堤の上で」ヤチダモの幹には、空の卵が4つ

湘南の海と云えば。
本アンソロジーで人気を博したわたむしさん(ヤチダモの幹さん)。noteを引退されておりますがアカウントが残っておりますので、その後も本アンソロジーでは時折楽曲をご紹介しております。
この曲はネムキリスペクト「猫」のアンソロジー用に作られたもので、防波堤で日向ぼっこをする歌。
わたむしさんが好んだ由比ヶ浜の海が目に浮かびます。防波堤に寝転んだ背後に電車が通り過ぎますよ。旅は始まったばかりです。


04小説「夫婦十年水入らず」海亀湾館長

海亀湾館長さんの書き下ろし小説。
夫婦で旅行に行く話。結婚10年を記念した温泉旅行。楽しい旅の筈が薄曇りに暗雲立ち込めます。
海亀湾さんのご紹介する温泉旅行は蔵王。良いお湯と美味しいご飯のおもてなし。素敵な宿です。

ところで結婚記念日の数え方。ご存知の方も多いでしょうが、小説中のご夫婦が結婚10年との事なので、おさらいしてみましょう。

出典はWikipediaです。

以下はイギリス式で、15年目までは1年単位、以後は5年単位で祝う。

1周年:紙婚式
2周年:藁婚式、綿婚式
3周年:革婚式、糖果婚式、草婚式
4周年:花と果実婚式、(絹婚式、リンネル婚式)、皮婚式(皮革婚式)、書籍婚式
5周年:木婚式
6周年:鉄婚式
7周年:銅婚式
8周年:青銅婚式、ゴム婚式、電気器具婚式
9周年:陶器婚式
10周年:アルミ婚式、錫婚式
11周年:鋼鉄婚式
12周年:絹婚式、亜麻婚式
13周年:レース婚式
14周年:象牙婚式
15周年:水晶婚式
20周年:磁器婚式、陶磁器婚式
25周年:銀婚式

と、Wikipediaからの引用です。これを見るにつけ毎度思うことに。銀婚式に辿り着くまでの「おめでたくない感」たるや凄まじいですね。結婚10年目はスイートテンダイヤモンド
、とそんな年の筈ですが式の名前はアルミ婚式です。
特に8年目などはカオス。祝う気が失せると思うのですがどうでしょう?
ま、野暮は申さず愛する二人には皮でもゴムでも記念日は嬉しいものです。


05小説「人妻小説」みこちゃん

先日までCOOLノーター賞という大きな企画を主宰していたみこさんが、この度本企画に初参加されています。どうもご参加有難う御座います。
みこさんの温泉旅行は人妻温泉。結婚ゼロ年目の婚約段階です。
先程の結婚記念日の1年目は紙婚式。ではゼロ年目は?

紙より軽くて、そうねきっと最も輝いているもの。皆様のセンスでゼロ年目の記念日を考えてみて下さい。
私のセンスでは〇〇〇〇〇とか、〇とかですね。〇なんてのも良いかもしれません。夢ある時期です。


06漫画「熱湯いっぽん / 1本目」コーポ学び屋

コーポ学び屋さんの漫画は面白いですよ。山陰の温泉旅館が舞台となっております。卓球少年の青春を描く「熱湯いっぼん」と同じ温泉場の天才芸妓少年の覇道を描く「鉛色ヤングジェネレーション」が同時進行で進んでいます。この度は「熱湯いっぽん」の第一話をご紹介。温泉×卓球×青春!是非続きもご覧下さい。


07エッセイ「あこがれの『常連さん』」平沢たゆ

電車は小田原を過ぎて湯河原に到着しました。湯河原って何県ですか?神奈川?静岡?と熱海・湯河原は時折地理上の混乱を招きます。明治初期には熱海・湯河原は小田原を中心地とする「足柄県」という一つの県だったんですね。それが明治政府の目論見によって明治中期に分断されてしまった。湯河原、熱海近辺の曖昧な県境はそんな事情を反映しているそうです。
と、雑事は程々に。たゆさんオススメのお宿に到着しましたよ。
このお宿は文学宿。小説家が作品を書き終わるまで帰れない「缶詰」気分を味わう事ができるという変わったサービスが名物です。
浮世を忘れて執筆漬け!なんと楽しそう、いや苦しそう?濃厚な思い出ができそうです。


08小説「私を熱海に連れてって」りりかる

湯河原の温泉宿で一泊した後はお隣の市町でである熱海に到着。東洋の蛍籠、ATAMIです。
熱海開湯の縁起は役小角にあると云われており、熱海は古代から人気のある温泉地です。元々の地名は阿多美でしたが、「魚が焼け死ぬ程の熱い海」の意から江戸時代に熱海に改名されております。当時の江戸は地獄極楽ブームだったようで「熱海」という地獄的なネーミングセンスが受けたようです。
そんな熱海にはかつての観光地である面影と復興した新しい熱海の二面性があります。
バブル期の特需景気で増大した熱海観光産業はバブル崩壊とともに自壊していき、90年代にはゴーストタウンと化しました。近年になって熱海市行政と民間企業が提携し、新しい熱海の魅力づくりに取り組み始め、非協力的だった観光組合も動き出すようになり…とドラマがあるのですが、以前のアンソロジー解題で書いたこともあるような気がするので詳細は割愛。熱海には衰退以前から残っている観光地と近年になって新しく作られた観光地があるんですね。全国的にも旧態する昭和の観光地の再興事例は珍しいもののように思います。と、前置きが大変長くなりました。
りりかるさんの温泉旅行は熱海でございます。白蛇様の緊縛縄という性愛具を片手に幸せな二人の観光旅行は続きます。
お二人を見ているとこれで良いのか?と疑問を呈さざるを得ない所ですが、幸福の形は他人には推し量れないものです。また幸福の尺度は自らが決めるもの。当人が幸福だと思えば幸福。不幸と思えば不幸。身辺に転がる路傍の幸福に感謝して、「私は幸福だ」と云いながら暮らせる人間になりたいものです。

ところで、私の熱海観光のオススメは近年オープンした「いちご専門店ボンボンベリー」です。


09朗読 「私を熱海に連れてって」りりかる

(本記事は諸事情により公開停止?の模様。18禁だったからでしょうか?解題だけ残しておきますので、ご想像でお楽しみください。)

前出のりりかるさんの変態コメディをtaccoさんが朗読しております。
小説の文量が多いので録音や編集は大変だったと思います。結局再生時間は約50分。大作です。もはやラジオドラマですね。
変態部分も情感たっぷりに熱演しておられますので人前で聴くのは止しておきましょう。朗読は自分が読むのとまた違った魅力を感じますね。生き生きとしておられて楽しかったです。

で、熱海のボンボンベリーの話なんですけれどね、「苺串」なる商品があっていちごパフェを食べ歩き用に串にしたものなんですけれど、コンセプトに無理があって面白いですよね。そのような奇抜さがないと人気に繋がりません。
奇抜と云えば某御茶県には正式名称は知られておりませんが県民誰もが「おっぱいまんじゅう」と聞けば「ああ、あれか」と思い浮かぶ郷土銘菓がございます。味も見た目も卑猥です。

これ。
物議を醸す初見殺し。おっぱいじゃん、と突っ込まざるを得ない。
もっと攻めた商品がこちら。

おっぱいじゃん!
冬季限定です。

このおっぱいまんじゅうはボンボンベリーでも開発されておりました。

うむ。

某県のおっぱいまんじゅうの話でした。
写真は公式サイトからお借りしております。


10写真「赤い色情」さかもツインねね

おっぱいの話はさておき。
さて、この度のアンソロジーのテーマは「温泉旅行」です。おっぱいではないんです。
「温泉旅行」といえば殺人事件。
前フリが活きています。

というわけでさかもツインねねさんの「死んでる系」のお写真です。
さかもツインねねさんのアカウントは「火曜サスペンスごっこ」に特化しており、何処まで遡っても火曜サスペンスごっこしか出てきません。云わば日本一の火曜サスペンスごっこサイトと言えましょう。世界戦も夢ではないです。
今回は膨大な数の火曜サスペンスごっこを遡って「浴場の火サス」ベスト3を決めました。(勝手に)

この後のマガジンにもさかもツインねねさんの画像が差し込まれますので、お楽しみ下さい。
赤いドレスの女が赤タイルの浴室で死んでいる。事故に美学というものがあるとすれば、それはこういうものだろうと思います。赤は生命の色。死んでいて尚、命は燃えています。

11官能小説「足の指の思い出」みこちゃん

みこさんの2作目です。人間から社会性を剥ぎ取って全く私人となった時に、人間はひとりとして真っ当な尊厳を持ち合わせた人物などいない。須らく人間は社会から逸脱している。

最近、室生犀星の「夜までは」という詩を読みました。人間は狂気を宿し、それを外套に隠して昼を生きている。狂気は両下肢の間にぶらんぶらんしており、静かに夜を待っている。夜までは人間。夜までは。と解釈すればそんな詩。

みこさんの描かれた「女性」はそのような意味合いで人間の皮が剥がれている。
人皮が剥がれて獣となっている。官能とはその人皮が剥がれる事を呼ぶのだろうと思います。奥底に潜らねば見つける事が出来ない秘密を誰もが持っております。


12短編小説「いとやはらかに温泉まんぢうがありまして」ムラサキ

で、わたし。
先日ある方から「おぱーい」が好きなんですね!と言われました。そうですね、普通です。普通程度には、好きです。


13音楽「大正浪漫漂う迎賓館で撮影された新作MVのご紹介」tetsu◇映像作家

既に本アンソロジーで紹介するのは何度目かのシンガーソングライター「奥西菓折」さんのMVを作成しているtetsuさんです。
奥西菓折さんは今春に新作を発表されております。それがここに紹介される「また別の機会にと言ったはずだ」。
和装に身を包みエレキギターと云う奥西的正装は健在です。tetsuさんが好んで使われる古民家的、温泉旅館的ロケ地も良い雰囲気です。
奥西さんの唄は人の心を揺さぶります。
歌に余裕がない。
余裕なんてあって溜まるか。
ギリギリなんだ、いつも。
奥西さんの歌は高みを目指して岩壁を登ることに似ている。
岩壁を登って山頂から見える景色に似ている。

「日本中を旅して回るなら四季の折々を歌に乗せ、言葉巧みに映し出し、手前のこの腕を手前で越してみろ」


14小説「をんなをんな祭り」みこちゃん

みこさんの三作目。
「おんな」「をんな」「女」

男は自分の性別を意識することは無いように思います。自分が「おとこ」であると感じる事はない。少ない。
女性は違うように思います。
いつも女性である事を意識している。女である事を識っている。だから、性別というものは女性だけが獲得している。
女性としての有り様は人それぞれかもしれませんが、性を奉戴できるのは女だけ。
原始、女性は太陽であった。今もまた燃える太陽です。をんなをんな祭りという言葉には逆巻く炎柱を見るかのようです。


15写真「四角の視覚」さかもツインねね


火曜サスペンスごっこの二枚目。
一枚目は赤の殺人。二枚目は黄金の殺人。遺体の収まる四角い湯船は額縁のようです。審美です。殺人犯はその美しさに見惚れるのでしょうか。


16掌編小説「最新AI導入! 完全無人対応で安心安全な旅館!」くにん

くにんさんの小説です。
「へえ、AI」
AIって万能なんでしょ?
ねえSiri?
「サア、ワタシニハワカリマセン」
SiriってAIじゃないんですよ。データベースの中から質問の答えを探しているだけで、自分で考えているわけではありません。
Siriは対話型入力装置です。
AIは自分で考えて行動します。
ん?
「この話は【人形】のアンソロジーでもしたっけ?Siri?」
「サア?」

Siriは自我を持たないので滅多な事はしませんが、AIは思春期の少年のように何をしでかすか分からない怖さを感じます。

そうそう、最近「海底鬼岩城」を観たんですよ。AI搭載のバギーが出てくるのですが、映画ではバギーの台詞が時折ゆっくりになってリバーブがかかります。「オヤ、シヌンデスカ?ニンゲンハフダンイバッテイテモ、コウナルトダラシナイデスネ」

このリバーブは「ハル」だ!
「ハル」は思春期だから怖いです。
くにんさんの温泉を切り盛りする「AI」の正体は?読んでみてのお楽しみです。


17短編小説「俺の男の名前の刺青」千本松由季

千本松さんのBL温泉旅行です。
面白かったですね。主人公の男はホモセクシャルでセックス依存。頭に蛆が湧いております。蛆が脳髄食い散らかして、大脳基質はスポンジ状にスカスカです。そのスカスカ脳による一人称語り。
やはりそれはスカスカです。その欠落が心地良いです。欠落ぶりが私のチャンネルに合っているのかも知れません。

18写真「湯けむりが隠したかったものは」さかもツインねね

本アンソロジーでご紹介するさかもツインねねさんの火曜サスペンスごっこもこれで最後です。いかがでしたか?温泉地を巡る先々で遭遇する殺人現場。
温泉は湯治。死から免れる場所。その温泉で死ぬるという事は生命の逆行現象で、そのさかしまに文学を感じるのかもしれません。
浴場の床に描かれた模様は白と黒の市松模様。鯨幕が交差して作られたチェッカーフラッグ。勝利の女神が微笑む死です。


19漫画「飲泉ノススメ(カルマティックあげるよ ♯77)」

MAYBECUCUMBERS
マニアックな絵柄が人気のMaybeCucumbersのエツさんです。良い黒です。
ここに描かれたのはエツさんの親友にしてMaybeCucumbersの盟友、伝説の奇人コセさんです。
足湯を飲んでおりますね。噂に違わぬ奇行ぶり。流石です。
「まだ飲んでるんですか?」とコメント欄で尋ねたら、もう飲んでないそうです。ええ、良かったです。


20小説「足の親指の爪垢を肴に吞む話」民話ブログ.

と、コセさんの奇行に続きまして登場するのは“ エース”民話ブログ氏です。迷いなく淀みない安定の語り口。現代の語り部です。民話ブログさんの「足の親指の爪垢を肴に呑む話」。奇行です。小説は大変面白いですが、足の親指の爪垢を?
理解に苦しむ所ですが、民間信仰とはそのようなものなのかもしれません。信仰は自由であるべきです。
小説の内容はリビングデッド系のロードムービーなのですが、タイトルはこれで良かったのでしょうか。まあ良かったのでしょう。恐らくこの小説をジャンル分けすれば「グルメ」です。ハッシュタグはキャンプ飯とか貧乏飯とかが付く筈です。
究極の貧乏飯が最も美味しく食べられるシチュエーションがリビングデッドパンデミックであっただけです。
その目算が大当たりして、本作に語られる貧乏飯は大変に美味しそうです。お腹空きました。類まれなる描写力。羨ましい限りです。
ちなみに民話ブログさんは本アンソロジーに登場すれば必ず互選で優秀賞を勝ち取る「締切に間に合えば無双」という特殊スキルの持ち主です。ジンクス通りにこの度も優秀賞の栄冠を手にする事は出来るでしょうか、なんてハードルを上げてみたり。
民話ブログさんが最近行った姓名判断で、名前に一画付け足す必要があったようで今回からアカウント名に「.」が付いております。この一画、吉と出るのか凶と出るのか、互選結果が楽しみです。


21小説「(S)AKASIMA」ウネリテンパ

さかしま。
先程ご紹介した民話ブログさんの「無双スキル」。目下の強敵と目されるのが本作ではないかと私は思っております。
登場する小説家の名前は小目路虎彦。
太宰治の「人間失格」に「コメ・トラ」の言葉遊びが出て参りますが、コメはコメディ。トラはトラジティ。喜劇と悲劇。世俗を悲劇喜劇に分類する遊びです。
登場人物がコメ、トラの二つを名前に持つように本作は悲劇喜劇の攪拌で、其処から生まれるものはさかしまの恐怖。
怖いながらも笑えて泣ける悲喜劇です。
話の途中で拙の撮影した彼岸花の写真を使って頂きました。有難う御座います。
彼岸花の異名は捨て子花。
球根を掘れば分球したあまたの球根が見つかります。親も持たず殖え続ける子どもたち。殖えていきます。悲劇も喜劇も分球して。

小説中に登場する湯の中で満開となって咲く曼珠沙華。なんと妖しく恐ろしげな光景でしょうか。赤に赤を重ねて真っ赤となった温泉の旅です。

今年。我が家の庭にいづくより来たものか彼岸花が咲いたんですよ。ひとつだけ。でも殖えるんですかね、来年にはもっと?
再来年にはもっともっと?


22エッセイ「10月29日 ケータリングで待ってて」inarinaofumi

私がnote内で追っかけているアーティスト様は前出の奥西菓折さんともう一人が稲荷直史さん。
稲荷さんはnoteに名文の数々を発表しておりますが本業は音楽家。2018年に解散したスリーピースバンド「リコチェットマイガール」の元バンドリーダーです。
その稲荷さんが2年間の時を経て今夏に新プロジェクト「nishinoko bayashi」を結成。現在、nishino kobayashi のinari naofumiとして活動中です。
この10/31にnishino kobayashiの2ndシングルが発表されました。
リコチェットマイガール時代よりもぐっと大人らしさを増した稲荷さんは必聴です。

「いつか離れて暮らすあなたと」

ここにご紹介した記事は稲荷さんがちょうど1年前に投稿された日記。温泉が好きだ、という内容で熱海や湯河原に行きたいと綴っております。それから1年。温泉旅には行けたでしょうか。

「いつか離れて暮らすあなたと、たとえ今日が忘れるものになっても。いつか離れて暮らすあなたと。」

別れは必定。愛別離苦。結んだ契りは確かに其処にあったもの。

人生は旅。旅の中で人は異邦人となって束の間の非日常を暮らします。旅は短くまた日常は始まりますが、その幻想の記憶は確かに其処にあったもの。このアンソロジーも同じですね。見知らぬ者同士が一つ屋根の下に仮宿しております。隣部屋の名も知らぬ隣人たちと時に交流が生まれますが、旅はいつしか終わるもの。朝が来ればそれぞれがそれぞれの生活に帰っていきます。

この度の湯けむりに霞む温泉旅。皆様にとって良い出会いはあったでしょうか。旅の思い出は大切に。

読者アンケート

恒例の読者アンケートです。今回所収された作品からお好きな作品にご投票下さい。複数投稿された方への投票はひとつにまとめてあります。投票締切は11/9月曜日18時です。

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次回テーマについて

次回テーマを投票で決めております。ご興味のあるテーマにご投票下さい。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfgHEwknTgqf8RdtG-cOsuWxru64Zy6bfxAjUopQjLuSrd_EA/viewform

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というわけで、皆様しばしのご歓談をお楽しみ下さい。
当月もお疲れ様でございました。

アンソロジーはこちらから。

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーまとめはこちら。

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