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家内はお喋りなんだ

家内はお喋りだ。


側にいる時には常に何か話し掛けてる。 

日常の他愛ない出来事や
どうでもいい内容の話しなんだけど
楽しそうに、
時にはなんだか嬉しそうに。
常に話し掛けてるんだ。 

だから、
俺の毎日は
家内のその明るいお喋りに
溢れていて
そして
助けられてるんだ。



家内はお喋りだ。 

なので
俺は子供が出来て
話し相手になってくれる様になったので
色んな意味で
少し楽になったんだ。
だから、
家庭って大切なんだ



家内はお喋りだ。 

毎朝
おはようは、
寝惚けてる俺に向かって、
「うん」とか「ああ」とか
返事をするまで言い続け、
それから
今日の気温や天気の話しから、
何を着たら寒くないか
暑くないか。
洗濯物は外に干しても大丈夫なのか。
喋りまくるんだ。


家内はお喋りだ。 

それから
出掛ける間際まで
交通状況やら
朝見たテレビのニュースやら
ごちゃごちゃと話し掛けて、
行ってらっしゃいやら
気を付けてねを繰り返し
言い続けてるんだ。


家内はお喋りだ。 

負けじと我が家の猫も
お喋りだ。
家内と猫が纏わり付く中を
俺は玄関口までたどり着くんだ。


家内はお喋りだ。 

通勤途中には俺は一人だ。
誰も俺に話し掛けはしないから
物凄く静かなんだ。
ただ黙々と会社を目指す。
俺は家を一歩出てしまえば
会社までは寡黙で穏やかなんだ。



家内はお喋りだ。 

毎日、仕事から帰ると
玄関先のお帰りから始まり
暫くの間は俺の側を
くっついて歩きながら
今日の出来事を喋っている。
それを毎日見ている娘が
呆れた顔をして
この血を引いてると思うと
ちょっと恐いわと
嘆いていた。
しかし、そう言っている娘も
家内に負けないくらいに
お喋りなんだ。



家内はお喋りだ。 

セックスを始める寸前まで喋っている。
てか、
体位を変える、ふとした瞬間にも
隙をみて喋り出す。
だから逆に
喋らない時には
そこそこ感じている証拠になるんだ。


家内はお喋りだ。 

付き合い始めてから今まで、
家内とは余りキスをした事がないんだ。
話しが途切れなくて、
向かい合ったとしても
ずっと喋ってるから
そんな雰囲気にはならないんだ。



家内はお喋りだ。 

向かい合って雰囲気を作るのが
難しい彼女だったので
ゲリラ的に横からいきなりキスを
してたんだ。
お喋りの彼女も
流石に
喋っていてはいけない場の雰囲気は
読める様になったのだが、
俺と一緒にいるのに
喋れない彼女は
なんだか寂しそうで
どことなく可哀想なんだ。


家内はお喋りだ。 

毎晩、ベッドに入ってから
眠りに着く寸前まで喋ってる。
突然に静かになったと思ったら
寝息を立てて眠ってる。
なので
俺は家内より先に眠った事はないんだ。



家内はお喋りだ。 

俺が真剣にテレビドラマを
観たい時なんかでも
隣に来てペラペラと喋り出すんだ。
なので
俺がテレビに集中したい、
そんな時には
家内には、
俺のモノを
咥えさせてしまう事があるんだ。 

だけどそれでも時々、
勝手に股がって来たりもするので
結局俺は
テレビを視られなかったり
してるんだ。


家内はお喋りだ。 

どうでもいい日常の
出来事を話している合間に
ふと重要な伝達事項を
サラッと喋っていたりする。
それ、何度も話ししたじゃん。
と言われても
家内のお喋りは
もはや俺のBGMなんだ。
余り真剣に聞いていないんだ。



家内はお喋りだ。 

なので
機嫌の悪い時は直ぐに分かるんだ。
軽く斜めの時には、
愚痴気味のお喋りをしているけれど、
本気の時には無口になるんだ。
まぁ滅多にないんだけど
静かな家内はちょっと恐いんだ。



家内はお喋りだ。 

スーパーで
一緒に買い物をしている時にも
常に俺に話し掛けている。
だけど、
時々俺が離れてしまっている時にも
一人で喋ってたりしてる。
傍目で見てると変なオバサンが
独り言を喋ってて、
周りの人が怪訝な顔を
してたりするんだ。
ちょっと危ないオバサンに
見えるんだろうね。


家内はお喋りだ。 

家内は俺に話し掛ける事が
家内の愛情表現なんだ。 

だから俺は、
必要のない時以外には
滅多に
家内のお喋りを止めたりしないし
嫌な顔もしないんだ。 

全部の話しを
ちゃんと聞いている分けじゃないけど
俺自身も
家内の喋り声を隣で聞いてる時が
何故かほっとしていられるんだ。
まあ、時々は
うるさいと思うし、
鬱陶しい時もあるんだけど
そんな人なんだと分かった上で
彼女と結婚しちゃったんだから
しょうがないんだ。


家内はお喋りだ。 

そんな家内と
長年一緒に連れ添えてる俺も
多分
相当に変なオジサンなんだろうな。
とは自覚している。

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