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「きっかけ」

監督・脚本 きむらりお

登場人物
カズキ(18):主人公。大学生。SNSで愚痴るのが習慣。一緒にいる友達に溶け込めていないと思っている。
カエデ(15):ヒロイン。公園で写真を撮っている少女。学校に通っていない。
トオル(18):ユウキのクラスメイト。大学生。わりとチャラい。クラスの中心人物でもある。
ユウキのことは嫌いではないがいてもいなくてもあまり変わらない。
タツヤ(18):ユウキのクラスメイト。大学生。トオルとは仲が良い。トオルがユウキと交流
があるからたまに一緒に行動するが、あまり仲が良いとは思っていない。

エキストラ:4、5人ほど。同じ授業を受けているクラスメイト。

※【】内はSNSでの投稿内容

1、学校内ベンチ
カズキ(18)、1人でベンチに座っている。

T  「きっかけ」(タイトル)

スマホを手にTwitterで【だるい】と投稿。立ち上がり授業に向かう。
向かいながら再び
【学生うるさい自重しろ】

2、教室
カズキ、クラスメイトと授業を受けている。こっそりスマホをいじる。
【帰りたい】
今までのツイートを眺めるが、すべてネガティブなものばかり。

授業が終わり、教室を出ようとする。
【やっと帰れま】
打ちかけたところでトオル(18)とタツヤ(18)に声かけられる。

トオル 「カズキ!飯一緒に食わねぇ?」
カズキ 「え、」
トオル 「最近あんま話してなかったしな」
タツヤ 「まぁ授業で会ってはいたけどな」
トオル 「いいじゃんほら座れって」
カズキ、うなずく。
カバンを置き、席に着く。
そのまま教室で食事するが、あまり盛り上がることもない。
カズキ、一度会話に入ろうとするが失敗し黙り込む。

トイレに行くふりをして2人から離れる。置いたままのカバン。
【会話入れないし断ればよかった】
【戻りたくねー】
ため息をついて戻ろうとするとトオルとタツヤ盛り上がっている。
カズキ、そっと離れる。

3、校門前
カズキ、スマホをいじりながら歩いている。
カバンをかけなおそうとして、教室においてきたことに気が付く。
(挿入)教室で荷物を置く、
   話をしているとき隣にある、
   席を立つとき放置した、
   3つの映像フラッシュバック
あきらめて学校を出る。

4、公園前
カズキ、ぶらぶらと歩いている。
スマホをポケットから取り出す。
【学校出たけど遊ぶ友達もいないww】
【別に群れたいわけじゃないけど】
投稿を終え、顔を上げると見知らぬ公園にたどり着く。
【ぼっち は 公園 に たどり着いた】
スマホを仕舞い中に入る。

5、公園内
公園を歩いていると、突然目の前に靴が飛んでくる。
カエデ 「わっ、ごめんなさい!!」
驚いて声のするほうを見ると首からカメラを提げたカエデ(15)がブランコから謝っていた。

       ×  ×  ×

カズキ、ブランコに座っている。
カエデもその隣に座り会話が続く。
カエデ 「ごめんね、靴の飛ばしっこしてて」
カズキ 「…飛ばしっこ?」
カエデ 「ま、1人でなんだけどね」
カエデ、1人でいひひと笑う。
カズキ 「ふうん」
カエデ 「君はよくここに来るの?」
カズキ 「いや、初めて」
カエデ 「ふうん。私はね、よくここにくるんだ。これで、写真撮ってるの」
カエデ、カメラを手にする。
カエデ 「これ、おじいちゃんにもらったんだ。そのうちちゃんとした一眼買おうって思ってたけどおじいちゃん死んじゃって」
カズキ、思わずカエデを見る。
カエデ気にせず明るく続ける。
カエデ 「だから形見みたいでほかの使いづらくて。壊れるまではこの子愛用かなぁ」
カズキ 「やっぱり、一眼とは違うの?」
カエデ 「全然違うよ!…ってゆっても、私これしか使ったことないからよくわかんないけどね。
でも、コンデジでも結構いい写真が撮れるんだよ。おじいちゃん、センス良かったんだ」
カエデ、ブランコから降り写真を撮り始める。
カズキ、ブランコからその様子を眺める。

カズキ、カエデの撮る様子を囲うように指でフレームを作る。
不意にフレームの中でカエデが振り返る。
カエデ 「撮ってみる?」
カズキ、おそるおそるカメラを受け取る。こわごわとカメラに触れて写真を撮り出す。
カエデ、楽しそうに眺めている。
カエデ 「身近なとこで良い写真が撮れるもんでしょ。でもさ、自分から動いたり近づいたりしてみないと気付けない画って多いと思うんだ」
カズキ、動きを止める。
カエデ 「そこが、いいとこだよね」
カズキ、ふとカエデをみる。
カエデ、眩しそうに空を見上げている。
思わずカエデの写真を撮る。カエデは気付かない。写真を確認し、満足そうな顔のカズキ。再び写真を撮り出す。

       ×  ×  ×

カズキ、カエデそれぞれがカメラを構えている。
2人で写真を確認している。

6、公園入口(夕)
カエデ 「今日はありがとね!楽しかった!」
カズキ 「いや…俺こそ。」
カエデ 「まぁなんだ、私はよくあの公園にいるからな!暇なときはきてよ」
カズキ 「うん。またいく」
カエデ、笑顔でうなずくと去っていく。
その背中を見守るカズキ。
カズキ 「ねぇ!」
カズキ、後ろ姿に話しかける。
カズキ 「俺、自分から近づいてみる」
カエデ、振り向かず親指をたてる。
カズキ、満足げに笑うと反対方向へ。

7、帰り道(夕)
カズキ、歩いている。
トオル 「あー!カズキいた!!」
タツヤ 「お前まじどこいたんだよ!」
カズキ 「え、」
タツヤ 「探してたんだからな!」
トオル、カズキに荷物を掲げて見せる
トオル 「お前荷物置いてっただろ」
カズキ 「え、あ!」
トオル、ほら、と荷物手渡す。
タツヤ 「連絡しようにもLINE知らないしさ」
トオル 「ほんとそれな」
カズキ 「ご、ごめん」
トオル 「まぁ、会えたしよかったよ」
タツヤ 「次は忘れんなよ」
トオルとタツヤ、立ち去ろうとする。
カズキ、見送りかけて何かに気づいたかのように引き止める。
カズキ 「あ!つか、」
2人、いぶかしげに振り返る。
カズキ 「LINE、教えてくんね?」

8、階段(夕)
カズキ、1人で階段を上っている。
満足そうな顔。SNSを開く。
【今日は、楽しかった】

9、公園前
数日後、カズキは再び公園に向かう。
遠くにカメラを構えているカエデが見える。
カズキ、カバンからカメラのパンフレットを取り出すと公園に入っていった。

T  「END」


#脚本 #授業課題 #学生映画 #構想

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