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ラーメンを食らう旅へ行く(4)

念願のワンタン

そもそも、いま山形へ行く理由は、二つあった。
一つは、9月に台風で欠航したジェットスターのバウチャー(電子金券)の有効期限が近くなってきたこと。
もう一つは、たまたま9月に行こうとした時と同じ庄内空港便の航空券が、セールで安くなったからだ。

庄内に行くなら酒田に行かねばなるまいと、決めていた。なぜかと言うと、以前、とある先輩から聞いたことを覚えていたからだ。

山形・酒田の酒田ラーメンとかも、魚介ですっきりしてて美味しかった。
地元の人に連れて行ってもらったんだけれど、やたらワンタンを推してくるんですよ。
(神奈川に住んでいて)ワンタンに思い入れある?ないでしょう?
ワンタンなんて具の少ない餃子みたいな認識でしょう? 
でも酒田に行くと、やたらワンタンメンを推してくる。
ホントかよと思っていたら、うしろから肉体労働系のお兄さん達がメニューも見ずに「ワンタンメン大盛り2つ」とか言ってるし、隣に座ってた年配のお婆ちゃん二人に「ハイ、ワンタンメン2つお待ちー」って持って行ってる。
おお、みんなワンタンメン頼んどる。じゃあ、ワンタンメンで。って頼んだんだけど、いや美味かったね!!
トゥルットゥルのワンタン。餃子と一緒だろ、と思っていたの、ごめんなさいって思った。ワンタンはワンタンです。うまかったですね。全く新しい概念でした。

ずいぶん前に聞いて、行こう行こうと思って、3年以上経ってしまった。
ともあれ、そんなわけで、酒田駅に着いて早速、駅東の三日月軒へ向かった。

早速注文して待つこと暫し。念願のものが目の前に登場した。

難しいことは分からないが、あっさり系の醤油系のスープで、遠くに魚介系のような風味を感じる。ガツンと来るわけでは無いので、カツオ節なのか、コンブなのか、何かはハッキリとは分からない。

お目当てのワンタンは、滑らかでつるんとした食感。喉越しと言ってもいい。湯葉のような食感だけれど、麺と同じく小麦の旨味を感じる。
熱いので、ハフハフしながら口に頬張り、喉を一瞬で通過していく。美味い。

食べ進めると、下に麺が隠れていた。

メニューには、ワンタンとワンタンメンがあったが、どっちなのだろう
僕は「ワンタンで」と頼んだが、「ワンタンメン」と聞こえるような調子だったかもしれない。マスクしてたし。

肝心のところで、このザマである。
どっちなんだ、このワンタンは。値段も同じで、支払いでも分からない。
今更、「これはワンタンですか、ワンタンメンですか」と聞く勇気もない。分からないけれど、とにかくうまい。勢いに任せて食べ進めていると、間も無く食べ終わってしまった。

お会計を済ませて店を出ると、12時にもなっていない。今日の旅は日帰りだ。飛行機に間に合うバスは、13時半頃。さて、どうしよう。

地酒の普通酒

ひとり旅と合わせて、時々やっている趣味がある。それは、旅先のスーパーに寄って、その地域で飲まれている普通酒を買うことだ。

例えば、長崎なら「六十余州」。神奈川県のスーパーなら「いづみ橋」か「澤乃井」あたりが置いてある。後は今名前がパッと出てこないけれど、ともあれスーパーがよいのだ。地元の人がスタンダードな酒として飲むもの、それを知りたい。

果たして、すぐ脇にあったスーパーのト一屋(といちや)で、緑色の瓶に、ラベルすら貼っていない、文字が直接書いてある「菊勇(きくいさみ)」の小瓶を見つけたので、それを自分用のお土産として購入。こういうのがよい。

山居倉庫へ行く

それでも1時間半も時間をつぶせるわけでは無いので、少し観光してみよう、という気分になった。

経験則上、ちょっとだけ観光したいと思った時に、「〜館」と名前のつくところに行くのは鉄板だ。大抵、歴史的な建造物が「〜館」と名前を変えている場合が多い。小樽の金融資料館は日銀の旧小樽支店の重厚な建物だったし、川越の蔵造り資料館なども思い浮かぶ。

酒田の地図を見て「庄内米歴史資料館」という名前が目に入ったのでそこに行くことにした。おあつらえむきに、iPhoneによると、すぐ近くのバス停からコミュニティバスが間も無く出るらしい。

酒田市福祉乗合バスるんるんバスに乗って、中央公園前まで。そこから歩いて、立派な市役所の横を抜けると、川が見えてくる。

何か、ある

歴史的な建造物の香りがプンプンする。
川沿い、日本海側、北前船、倉庫か!
連想ゲームが一瞬で脳内を駆け巡り、他人から見たら挙動不審の男が1人。

いま冷静になって思えば、観光パンフレットを見るか、少し下調べすれば、山居倉庫という有名な観光地であることは瞬時に分かるのだが、今日の僕はひたすら欲求に忠実で、直感的、動物的に行動していたため、まるで宝島を発見したようなリアクションになってしまったのだった。

ともあれ、荷揚げするスロープや、歴史的な建物(しかも現役とか)、併設されたお土産どころの「酒田夢の倶楽」を楽しんで見ていたら、最初に目的としていた庄内米歴史資料館に行くのを忘れた。というか、どこにあったんだ?あれ。

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