観光マーケティング 後半

観光コンテンツ開発のための環境分析SWOT分析

本日の講座の目標は、申請様式1における課題の解決方法について具体的なイメージを持てるようになることです。SWOT分析を観光コンテンツ開発に活用していただけると幸いです。

SWOT分析とは何か?

SWOT分析は、自社の取り組みの方向性を戦略的に考えるための情報整理フレームワークです。前回は三C分析について学びました。今回は、その情報を基に、自社の戦略的な方向性を見極めるSWOT分析に焦点を当てます。

SWOT分析は、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の四つの要素で構成されます。これらを組み合わせて、観光コンテンツの大枠の方向性を定めます。

SWOT分析の要素

  • Strengths(強み): 自社が持つ内部的なポジティブ要因。例えば、独自の文化体験や特殊な製法を使った商品などが該当します。

  • Weaknesses(弱み): 自社内で改善可能だが、現状ではマイナスとなる内部要因。例えば、地元との連携が薄い、専門ガイドの不足などです。

  • Opportunities(機会): 自社のコントロール外だが、利用することでプラスとなる外部要因。例えば、観光資源の豊富さやアクセスの良さなど。

  • Threats(脅威): 自社のコントロール外でマイナスとなる外部要因。例えば、近隣の観光施設の不足や競合地域の市場優位など。

SWOT分析の応用:クロスSWOT分析

SWOT要素を活用して、具体的な戦略方針を考案します。例えば、強みを活かして機会を捕まえる戦略や、弱みを改善し脅威を回避する戦略などを定めます。これにより、自社の観光コンテンツ開発に最適な方向性を見つけ出します。

まとめ

SWOT分析とクロスSWOT分析を通して、観光コンテンツの開発方向性を戦略的に考える方法を学びました。これらの分析を行うことで、開発する観光コンテンツの方向性を明確にし、より実現可能な計画を立てることができます。

観光コンテンツのためのマーケティング戦略立案

本日の講座の目標は、申請様式1のターゲットとそのニーズ、そして課題の解決方法に記載する内容を具体化することです。これまでの講座で得た知見を基に、実際の記入内容を決定していきます。

これまでの講座では、環境を包括的に整理する三C分析と、自社の取るべき戦略の方向性を明確にするSWOT分析を行ってきました。今回は、これらの分析を基に、具体的なマーケティング戦略を立案する方法を学びます。

マーケティング戦略立案の流れ

  1. セグメンテーションとターゲティング: まず、市場をいくつかのセグメントに分割し、その中から自社にとって最適なセグメントを選び出します。分け方には、地理的特性、人口統計学的特性、心理的特性、行動パターンなどがあります。

  2. 価値の設計: ターゲットが持つニーズと、自社の商品が提供できる価値の接点を見つけ出します。顧客のニーズは顕在的なものと潜在的なもの(インサイト)に分けられます。

  3. ポジショニング: 自社の商品と競合商品とを比較し、それらをマッピングによって相対的な違いを表現します。これにより、競合との差別化が明確になります。

  4. コンセプト化: 戦略の要点を一言でまとめる段階に進みます。これは、マーケティング戦術の立案を容易にするためのステップです。

ワークシートの活用

  • ターゲティングシート: このシートを記入することで、狙うべきターゲットの明確化ができます。

  • ポジショニングマップシート: このシートを使用することで、競合も含めた市場内での自社の位置づけを明確にできます。

  • コンセプトシート: コンセプトを明確にすることで、戦略を具体的な実行計画に翻訳するための基盤を作ります。

マーケティングミックス

本日の講座の目標は、開発する観光コンテンツの具体的内容、マーケティング戦略に基づいた反響開拓計画、効果的な販売促進、情報発信計画の記載内容を決定することです。

マーケティングミックスとは

マーケティングミックスは、実効策を考える際に重要な、製品(Product)、価格(Price)、場所(Place)、促進(Promotion)、人(People)、プロセス(Process)、物的証拠(Physical Evidence)の7つの要素からなります。これらは観光コンテンツの場合、7Pとして計画されます。

  1. Product(製品): 提供する観光コンテンツの体験の種類を設計します。コンセプトをもとに、具体的な体験内容を考えます。

  2. Price(価格): 観光コンテンツの価格を設定します。原価、市場価格、顧客の支払い能力を基に価格を算出します。

  3. Place(場所): 観光コンテンツを販売する場所、つまり流通の計画を立てます。ターゲット顧客にとって最も便利な販売場所を考慮します。

  4. Promotion(促進): 観光コンテンツのプロモーションを計画します。メディア選定と強力なメッセージングを通じてターゲットにコンテンツを知らせます。

  5. People(人): 提供する体験に必要な人材の種類と役割を考えます。従業員のトレーニングや役割分担を含みます。

  6. Process(プロセス): 顧客がスムーズにコンテンツを体験できるように、運用フローを設計します。

  7. Physical Evidence(物的証拠): 顧客が触れるすべての物的要素を考慮し、体験の一貫性を高める要素を設計します。

ワークシートの活用

本講座では、振り返りと計画立案のためのワークシートを提供しています。これにより、具体的な観光コンテンツの戦術設計を進めることができます。このワークシートを活用して、7Pの各要素について具体的な計画を立ててください。

目標設定とPDCAサイクルについて

本講座では、事業計画とその後の試作プラニングフェーズで実施する内容、つまりPDCAサイクルの理解と実践を目的としています。特に、事業や施策をプランニングする際の目標設定の重要性、その設定方法、そして事後の評価と改善のプロセスに焦点を当てます。

なぜ事前に目標を設定することが必要か: 施策の目的が曖昧になることを防ぎ、効率的な施策実施を目指すため、適切な目標設定が不可欠です。目標設定には、コンテンツ全体で目指すべきKGI(目標達成指標)、その実現に必要なKSF(重要成功要因)、そして実施すべき施策と評価指標であるKPIの設定が含まれます。

KGIの設定: KGIは、コンテンツが目指す最終目標を示し、自治体の観光計画との整合性を考慮して設定します。具体例として、自治体の目標「3年間で観光消費額50%アップ」に対応し、それに基づく自社の売上目標を設定します。

KSFの設定: KSFは、KGIを達成するための具体的な成功要因を定義します。マーケティング戦略から導き出した要因を基に、新規顧客の獲得、リピート客の増加、1回来訪あたりの単価の上昇などが挙げられます。

KPIの設定: KPIは、KSFの実現度を測るための具体的な指標です。具体的な施策の効果測定に重要であり、計測可能な数値に設定する必要があります。

PDCAサイクル: 目標設定後は、PDCAサイクルに従い、計画(Plan)、実行(Do)、チェック(Check)、アクト(Act)の各フェーズを経て、施策の有効性を評価し、改善していくプロセスを繰り返します。これにより、継続的な事業成長を実現します。

ワークシートの活用: 講座の最後には、KGI、KSF、KPIを策定するためのワークシートを提供し、具体的な目標設定とPDCAサイクルの実施を支援します。

ありがとうございます。 よろしくお願いします。