ヨルダンからのバトン


"僕は無関心なあなたを傷つけたい"なんて生意気なタイトルをつけた本を出版した。

今日、宣伝のために出版社のダイヤモンド社でインタビューを受けてて、その中でこんな質問があった"社会問題に関心を持ち出したきっかけは?"と。

なぜ被災地に行く、なぜ沖縄に行く、なぜかと聞かれたら"知りたい"のとそれが"たまたま"なんだろうけど、そのたまたまってのはなんだろうと考えていたら、また今日、"動くきっかけ"がやってきた。

"松永晴子"さんて女性を過去に紹介されたことがあった。彼女は情熱大陸なんかに取り上げられたことのある女性らしく、いま中東のヨルダンという国で隣のシリアから逃れてきた難民の子供たちに勉強を教えてると聞いた。シリアは内戦があってイスラム国なんかも絡んでて、空から市民めがけて爆弾が落ちてくるようなところだ。市民は夜も寝られない日々を過ごしてる。そんなところから、たくさんの人たちが隣の国に逃げてきた。彼らはキャンプというところで過ごし、支援で成り立ってる団体の人たちが、その子供たちに勉強を教えたりしてる。そのひとりが"松永晴子さん"だ。彼女は面白い人だ。愉快な女性でちょっぴり卑屈な匂いなんかもしないわけでもないんだけど、人間味があって、楽しい人。

一度、帰国した時に、飲ませてもらった。そこでいろんな話を聞いたんだけど、現場で体験してる人の話は面白い、聞けば、クラスの子供たちの班長みたいなのを決めようとしたら上から「選べるということを教えるな」みたいなことを言われたらしい。独裁国家、シリアに戻った時に、選べるという発想は、国がおかしいと思ったら、違う政治家を選ぼうとして、民主主義のない国では、大人になってからテロリストになるかもしれないからだ。"選べるということを教えるな"選べるけど選ばない国に住む僕には痛烈な言葉だった。そんな彼女は僕のzoomの独演会によくきてくれる。

ネットはすごい、遠くのヨルダンから生でライブを見てもらえるんだから。ヨルダンで日本の笑いに飢えてるのか、寂しいのか、たまにきてくれては、笑ってくれる。

彼女は控えめな性格で人に物を頼むのが苦手なんだろう、最近、共通の友達から彼女が今困ってると聞いた。

それは"コロナでシリア難民の子供たちが学校に通えず、働きだしてる"らしい。

オンラインなどの設備などもお金がかかり、先生たちの給料も払えず、このままでは子供たちが、勉強する機会が奪われ、仕事をすることになる、と。

コロナは酷いものだ。日本でもそうなんだけど、いつも最初に被害に遭うのは立場の弱い人たちから切られていく。

仕事だって命だって。

彼女はいまクラウドファンディングてのをして、そのお金を集めようとしてるんだけど遠くヨルダンの話だから、痛みの実感は薄く、苦戦してるらしい。

あと100万円ほど足りないらしく、おれが彼女にそれを聞いて、助けを求めてきたのが一昨日とかで、25日の締め切りまであと1週間しかなく、しかも僕へのお願いが"リツイートしてほしい"だけだったから、もっとガツガツ行かないととも思った。(いやガツガツこられたら引いてたかもしれないけど。。)

100万円寄付をしてもクラウドファンディング達成しなかったら、0になる。

僕は残り1週間で100万円の寄付をしたかった。それは僕だけでは無理だ。無理だし、いろんな人たちに、これに関わってほしいと思った。その理由は3つあって、まず、一番大きな理由が、知ってしまったから、そして、いま同じ時代を生きてるから、というのがある。

数年前にドイツに行った時に"アンネフランクの家"というところを見学した。アンネフランクというのはユダヤ人で戦時中にナチスドイツに、収容所に入れられ亡くなった少女だ。

彼女が兵隊から隠れてた家が資料館になっててそこに行った。そのことを日本に戻ってきてから人と話してたらその人は「わたしもアンネの日記のファンなのよ、アンネにもこの平和な時代を見せたいわ」と言った。

僕はシリア人の少女が、いまTwitterをやっていて、空爆されてる街で友達が亡くなったりしてることをツイッターで書き、世界の人たち助けて、と書いてる女の子がいることを伝えた、シリアにもアンネフランクみたいな女の子がいるよ、と。彼女はしばらく固まり、"あー、そうなんだー大変だねー"と話が終わった。

僕は時間が経ち、物語にならないと、それを見れないのか、現実は時間が経ち物語にならないと直視できないのかと思った。戦争映画は観るけどいま世界で起きてる戦争は見れない。SNSで世界中のことは見れるのに、いざ見るのは過去の物語。

いまアンネフランクの生きてる時代なら日本人は#ヒトラー最低 とツイートしてたんだろうか。それもしてしまうと、日本とドイツは仲間だったから、バッシングされるかもしれない、捕まるかもしれない、と黙るんだろうか。僕は今日もうまいワインと高い肉を食う。同じ時間に違う場所で、命からがらシリアから逃げてきたのに、やっと手にした学ぶことを諦めさせられ、労働しないといけない小学生ぐらいの子供達がいる。

これは映画ではなく、過去のことではなく、僕たちの生きてる時代に"起きてる"出来事。

あとは"学ぶ機会"に対してだ。僕は高校を辞めてる、貧しさからではなく、ただの勉強嫌いのわがままだ。中卒の僕は、笑いでご飯が食べれなかった時はバイトをした。バイトも中卒ということで全然雇ってくれなかった。いい歳をして、みんなが学んできたことを、学んでないからわからなかった。

ありがたいことに、たくさんのひとたちが、いろんなことを教えてくれる、そのおかげで僕の人生は豊かになってる。まあ、要は、ヨルダンに住む難民の子供が、僕らが当たり前にある学べる権利すらなく、小学生で働くことになることを防ぎたい。学んで知識が、豊かになって、自分のやりたい仕事を選択できる大人になってほしい。国や大人たちのせいで、未来を制限させたくない。そして、最後の一つは松永晴子さんが困ってるからだ。

松永さんはヨルダンからオンラインでライブを見てくれてるんだけど、遠くのヨルダンで、外国人として過ごし、難民の子供たちに勉強を教えることは、孤独でもあると思ってる。人間、日本にいても孤独だろう、ただ、暖をとるかのように、ぼくのzoom独演会を選んでくれたら、それは僕も彼女のことに協力したい。彼女は彼女自身のことではなく、彼女はシリアの難民の子供たちのことを我がごとのように考える。それはおそらく、正義とか社会問題ではなく、その子供たちのことを好きなんだろう。俺は未婚だし子供もいない、今日、目の前の坂で下校途中の小さな男の子が転んで腰から少し血を流した。

大丈夫?帰れる?お父さんとお母さんは?家にいるの?と聞くと、二人とも家にいない、と言った。鍵っ子というやつなんだろう。冬の寒い夕方、夕方だが、あたりは真っ暗だ、真っ暗な部屋に彼が一人で帰ることを想像したら胸がギュッとなった。その想像はできるが、国が変われば、その景色を見てない僕は彼らの人生を偽善でしか想像できない。

僕は協力できることはないかとチャリティーライブをオンラインでやろうと決めた。

恥ずかしながら、アーティストの友達はいないし、こんなときだけ、無理やり誰かを誘うのも気がひける。

僕はウーマンラッシュアワーだ。だから相方のパラダイスにお願いして、オンラインで漫才をやることにした。

そのあと、松永晴子さんに、"松永晴子さんがみた難民の子供たち"の話を根掘り葉掘り聞こうかと。

集まったお金は全て彼女の活動に寄付したいと思ってる。社会問題に関心を持つきっかけと言われれても、友達が困ってるから、と、そんな子供がいるということを知ってしまったから、あとは今日700円のポテトフライを少し食べて美味しくなかったから、捨てたからだった。


なんと言ったらいいかわからないけど、繋がりを信じたいのです。ヨルダンからバトンが来た、手を伸ばせる人だけ、それを掴んでほしい。今余裕がない人は無理せず、

12/17 22時から

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