読書メモ(ネットビジネス進化論2/3)

◇感想

・ネットビジネスにおいて先行者優位が非常に大きいということを改めて感じた。個人的には楽天とアマゾンが全く別の価値を提供しているという点が非常に驚きだった。プラットフォーマーになるためには顧客が知らない価値やそれを獲得できなかった顧客の獲得という対価で示すことが重要である

◇作者と概要

・作者は尾原和啓。マッキンゼー、リクルートなどの企業を経て現在IT評論家として執筆を行なっている。ここ数年で急速に拡大したネットビジネスの成功要因を分析している本であり、そのビジネスモデルやうまくいった要因などが記されている

◇よかったインプットメモ

・ヤフオクが圧倒的1位を誇ったのは相互ネットワーク効果によるものである。これはたくさん集まった売り手が買い手を呼び、たくさん集まった買い手がさらに売り手を呼ぶという循環のことである。ヤフオクはとにかくスピードを意識したことで他者よりも早くティッピングポイント(一気に買い手と売り手が回る地点)を越えることができた。また、スピードを重視するなかで出品無料などの施策を行ったyahooに対して、eコマースの常識にとらわれ有料で対抗した楽天は負けることになった。近年出てきたメルカリはスマホの普及と目的買いではなく探索をするユーザー層をターゲットにしたサービスであり実はターゲットが全く異なる

・相互ネットワークをうまく回すにはユーザーにとって良い情報が得られるかどうかが肝である。アマゾンが伸びたのはリアル店舗では相手にされなかった中小出版社を取り込み、結果的に大手も追随せざる得ない状況を作ったことが大きい。また、アマゾンの場合それと別に規模の経済がうまく作用し低コスト構造+送料無料という圧倒的な低価格を実現できている点が大きい。

・今後コマースはアマゾンの検索型と楽天の探索型に大きく別れる。検索型はよりスピードが求められる完全自動化へ、探索はコマースとコンテンツの境目がなくなるエンタメ化が進んでいく

・在庫化がオンライン予約を加速させる。座席数や予約数に上限のあるサービスにおいて予約枠を1箇所で管理して重複を避ける在庫化がオンライン予約と非常に相性がいい。

・プラットフォーム事業者にとって重要な流通総額に対して何%のマージンを取れるのかをテイクレートという。これを上げるにはユーザーの隠れたニーズを拾い上げ元々は獲得できなかった顧客を獲得できるようにすることである。これがないと競合サービスや自社HPなどの流入でまかなえる状態になった時にサービスの継続利用をしないという意思決定が起きてしまう


◇その他インプット

・機能価値に特化したアマゾンに対して感情価値に重きを置いた楽天と実は両者の戦略は全く違う。また、楽天は楽天カードと楽天ポイントのエコシステムを作っておりそこも差別化のポイントになっている

・顧客獲得単価が最もかかるとされているのが金融で、クレカを作ってもらうのに8000円かかっている

・元々ぐるなびはケコン式の二次会や宴会会場の斡旋企業であり、HP製作代行会社だった。



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