見出し画像

「ゴメン」の意味わかりますか?

いきなり何の質問?…ですよね。
この記事では「他人の言動の背景や心理を読む」ことと、「大胆な言説の効果」について、述べてみます。


辞書の定義

ごめん‐なさい【御免なさい】
連語
自分のあやまちをわびるときの言葉。「—、もう二度としません」
自分の失礼に対して許しを乞 (こ) うときの言葉。「お忙しいのにお邪魔して—」

goo辞書:デジタル大辞泉(小学館)

そんなこと、誰でも知ってますよね。
でも私は、「ごめん」と言っている場面の多くで、その人の本当の意図は違うことに気付いたんです。
どんな意図だと思いますか?

背景(余談)

UI/UXデザインや、ユーザーテストやアンケートなどの調査をやっていると、「言葉」には敏感になっていきます。ある意味職業病です。

UI設計内では、多くの機能名称やメッセージを作ります。いかにサッと読めて、意味が伝わるか、誤解しないか、不快にならないか…

「ユーザーは嘘をつく」でも触れたように、ユーザー調査では、本心と異なることを話されることもあり、行動や表情など、あらゆる情報を動員して「裏」を読みます。


では「ゴメン」の意図は

私の体感上、7割以上の場面で「ゴメン」は

の意図で使われているんです。

反発歓迎 ♪

「そんなことない! 常に謝り、許しを請うている」と思う方、「他の意図もある! 穿った考えだ」という方も多いでしょう。それでもいいんです。
理由は

  1. 「黙れ!」意図の場面に気付けるようになる

  2. 新たな思考・考察を促す

  3. 他人の言動の、背景や心理に近付けるようになる

まずは、私がなぜそう考えるに至ったか、下記をご覧になった上で、上記1~3を楽しんでいただけたら嬉しいです。

事例1:娘の怒り

娘が小学生の頃、学童での出来事を不満げに言いました。

「私がウッカリぶつかって、ごめんねって言ったのに、Aちゃんはまだ怒るんだもん、ひどい!」

細かい経緯はわかりません。
ただ、娘にとって"「ごめんね」を言えば即、許して追及をやめてくれるのが当然" なんだと気付かされました。

(待てよ、自分も「謝ったのに怒り続ける人」に腹を立てること、あるかも)

事例2:姉との口論

私は姉との二人きょうだいですが、この姉が不思議な人でして、若い頃から会話が成立せず、ぶつかってばかりです。

数年前も集中治療室前で、意識不明の母の今後について、姉が強引な主張をして面食らいました。
端から順に、理詰めで反論していたら…

突然、手のひらを私の眼前に突き付けて、「ゴメン!ゴメン!私が体調落ちると、繋がってるお母さんにも響くから」と。
「いや、あなたが言い出したことだけど」にも「ゴメン!もうやめて!」
不利な状況で、相手の発言を止めたいときに、姉は「ゴメン!」を連呼するんだ…という実感が、私に深く刻まれました。

(そういえば、誰かが話しているところに「ごめんなさい」とか「スミマセン」って割り込むことあるな)

その後も

これらの事例から、私は「もしかして、ゴメンには、相手の追及や発言を断ち切りたい意図があるのかも」と気付きました。そしてその後も「ゴメン」の利用場面に出くわすたびに、この考えが強くなりました。
みなさんも今後、「ゴメン」を聞いたとき、それが「黙れ!」に当たるかどうか、是非確かめてみてください。
※これが、前述の反論歓迎理由の1番「使用場面に気付ける」です。

ちなみに、「スミマセン」も、「黙れ!」の意図で使われますが、それより「おーい!」とか「こんにちは」の意図の場面が圧倒的ですね。

※この記事を書き上げて推敲していたら、テレビから「スミマセン!」の連呼が… 自民党の某T氏の「謝罪会見」でした。Tさん、タイムリーによい事例をありがとう!w

語源

そもそも、「ごめんなさい」は「御免」+「なさい」とう成り立ちで、正に事例1のイメージが浮かびます。
字面だけ見ると「ゆるしなさい」。ずいぶん高飛車な!
実際は「許してください」程度のニュアンスらしいので…偶然でしょう。
「済みません」はぜんぜん命令形ではないですしね。

家族に感謝(また余談)

このように私の周囲…特に家族には、とても極端な個性を持つ人がいます。
※私自身も個性的なので「同じ穴のムジナ」ですが…
そんな個性的な人々のおかげで、私は多くの学びや気付きを得て、今に活きる財産になりました。
周囲の人々から得た貴重な財産は、今後も折に触れご紹介します。

新たな思考・考察

反論歓迎理由の2番です。
私は元々、決断するのが嫌い…というか不得意です。
つい、「こういう可能性もある、ああいう可能性も」と広げて、ひとつに絞ることができません。
なので「ゴメン=黙れ!だ」なんて聞かされたら、昔はきっと反論しまくったでしょう。
それが、とある経験で、バッサリ切ることの効果を知って以来は、敢えてやってみるようにしています。
(長くなるので、その経験はまた今度)

この記事で、最初に「黙れ!」という文字(わざと画像で貼りました)を見たとき、何が起きましたか?

「どうして"黙れ"なんだろう?」
「一理あるな」
「いや、全然別の意図がある、あれもある、これもある…」

などの考えが浮かびました?
いずれの場合でも、あなたの思考の回転数が、少し上がりませんでしたか?
他にも、辞書を調べたり、反例を探す行動に出た方もいませんか?

つまり、極端な言説に出会うと、それを刺激に、新たな思考や考察が促される…という効果があるんです。

言動の背景・心理に近付く

反論歓迎理由の3番です。
上記のように、大胆な仮説と、思考・考察を繰り返す内に、私はユーザーテストやインタビューで、ユーザーの発する「嘘」や「その発言の背景」に気付きやすくなりました。

それが正解とは限りません。ご自身が気付いていない/認めたくない部分なので、聞いても教えてもらえません。測定もできません。
なので「近付く」としか言えませんが、少なくとも「鵜呑み」よりはずっと多くの考察が得られ、活かせます。

条件付き肯定

記事が長くなってきたので、例を1個だけ。
ユーザーテスト後のインタビューでよく聞くキーワードがあります。

これは便利な機能ですね。慣れれば毎日使うと思います

これを「この機能は受容された」と報告する人が多いですが、私は「否定された」と捉えます。

お気づきですね。「慣れれば」です。

このキーワードは、テスト内で「つまづき」があった方がよく使います。そして年齢層が上がるほどよく出ます。

「上手く使えなかった自分」を繕いたい心理があるのでしょう。「きっと使いこなせるようになる」と自分に言い聞かせたいのかもしれません。

こういった「言動の裏側」まで推測し、さらに仮説⇔考察を繰り返すことで、本音や深層に近付いていくのは、まだAIには不得意ではないでしょうか。
ユーザー調査をするためだけではありません。日常や仕事上のコミュニケーションでも、重要なスキルになっていくでしょう。
※AI時代で最も重要になる分野については、また別途述べたいと思います。


まとめ

  • 「ゴメン」の裏の意図を、大胆に解釈してみた

  • 大胆な言説は、新たな思考・考察が促される

  • 大胆な仮説と思考・考察を繰り返すと、人の言動の背景・心理に近付いていける


※ 記憶があいまいで、時期や出来事の詳細には誤りや偏りがあるかもしれません。関係者の皆様、ご迷惑おかけしたら申し訳ありません。ご指摘いただけたら訂正します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?