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あなた『僕のコートニー・ラブについて』


僕のコートニー・ラブについて

煮え切らない態度で何か話してる
興味のないことまで話聞かされてる
ヤる気はないけど
抱きしめたくなるから
好きでもないなら 「♡」 は使うなよ

白ワンピースはまるでコートニーのようで
僕のジーンズは少しグランジに近くなる
ハッピーセットもう
食べるの飽きたから 欲しくもないなら
「可愛い。」とか言うなよ

感情の裏側から愛情が滲んできて
こんな気持ちはいつぶりでしょう
眠れぬ夜も悪くないんだぜ

心臓を貫かれそうだ

感情の裏側から愛情が滲んできて
声に出すならこう言うでしょ
「眠れぬ夜も悪くないんだぜ」
感情の裏側から愛情が滲んできて
こんな気持ちはいつぶりでしょう
眠れぬ夜も悪くない


【解説】
元々の曲自体は
実は『素晴らしい日々』くらいにはあって、
ライブでやってもしっくりこないなという感じで、
ずっとそのまま放置されていた曲。
特にばんがこの曲をあんまり好んでなかったので、
少しずつ消えかけていた中、
僕だけ
「ニューメロコアというか、
これ結構いいと思うけどなあ。」
という気持ちがずっとあって、
何度かスタジオで再提案して、
リアレンジを繰り返し、
ようやく『あなた』で収録されることになった。
そして今ではある意味、
明日、照らすと言われると
多分この曲のイメージなんだろうな
と思うくらいの定番の曲だとは思う。
僕の感覚は間違ってなかった。

割と曲に自信がある時や
曲がキャッチーだと思う時ほど、
歌詞がめちゃくちゃになってる傾向があって、
そういうところが多分売れないんだと思う。
(ここは笑ってくれ)
タイトルもノリで付けたというか、
「〜についてとか、
映画のタイトルみたいでいいな」
と思っただけで深い意味がない。
モチーフになってる女の子がいて、
その子はよくワンピースみたいな服を着ていた。
当時の僕は今よりも服にこだわりもないので、
古着屋で着古されてワゴンで
1,000円とかになってる
ケミカルウォッシュのジーパンをよく履いていて、
それこそ新しい古着のジーパンを買うと
そのままお店で
ビリビリに敗れて穴が空いた
履いていたジーパンも捨ててもらっていた。
そんなジーパンを履いている僕と
ワンピースを着ている彼女がある日、
「俺たち、
あのコートニー・ラブとカート・コバーンみたいなんじゃない?
もしかしてお似合いなんじゃない?」
と思ったら急に嬉しくなって、
いきなり自分が恋をしてる事に気がついたという曲。
もちろんコートニーまで
彼女のワンピースは破れたり、
汚れてなかったけど、
単純に1人で浮かれていたんだろうと思う。
それくらい恋をしてると
なんかよく分からない話を
強い熱量で話されても、
興味がないこと聞かされても
別に苦にならない。
むしろもっと聞いてたいとすら思う。
ただあくまでも冷静な自分もいるから
「興味もない事まで話聞かされてる」
みたいな表現にはなった。
そういうふとしたタイミングで、
自分の感情の裏側から
少しずつ愛情が滲んできてる事に気がついたりする。
歌詞でコートニーを出すなら
カートも出したいところだけど、
なんだかそれだと芸がない感じがして、
あえてカートは出さないで、
「グランジに近くなる」
という表現に変えた。
ジーパンとワンピースさえ
歌詞で遂になっていれば、
音楽が詳しくない人でも
この2人が何かの歪なペアには聞こえるかなと思った。

歌詞全体では
そのモチーフの彼女だけのイメージというより
他の女の子の事も書いてて、
メールでハートの絵文字を使われて
勘違いするという男子あるあると
昔付き合っていた彼女が
ハッピーセットのスポンジボブを集めていて、
「何回食べてもアレが出ない!」
と嘆いていたのを聞いて、
僕を1人で食べてみた思い出をプラスした。
そういえばそのハッピーセット、
僕も参加したもののなかなか欲しがってるスポンジボブが出ず、
チーズバーガーばっかりもそんなに食べられないから、
欲しかったスポンジボブを
ヤフオクで探したらすぐに出てきて、
落札してプレゼントしようと思ったけど、
渡す前にその話をすると
「なんで!?当てたの??」
と聞かれたので、
ヤフオクの経緯を話したら
「そうなんだ。ありがとう。」くらいで
彼女には全然喜ばなかった。
彼女はちゃんと自分で努力し、
僕も努力して手に入れたかったんだろう。
あの時、
男子は結果だけを楽しんで、
女子というものは
何事も過程込みで楽しんでるんだと初めて思った。

あと人によっては
すごいどうでもいい部分だとは思うけど、
「ヤる気はないけど」のヤる気を
どこまでカタカナするかどうかは
かなり最後まで悩んだところではあって、
もちろんここはそういう男子的な
卑猥な意味ではあったけど、
そのまま「ヤる気はないけど」
だと聴く人によっては
ちょっと下品かなということも思ったし、
だからと言って
「ヤル気はないけど」
だとなんか
「頑張る気がない」みたいな意味になるし、
それでも意味は通じるからいいけど、
やっぱひよってる感じもしてきて、
最後は当初の意味を大切にして
「ヤる気はないけど」に決めた。
結果的に特に気が付かれなかったのか、
「友哉さん、
このヤる気って歌詞は
明日、照らすのイメージ的に大丈夫なんですか?」
とNO CASTERSの武田くんくらいしか言われなかったので、
単純に彼と僕だけが下品なんだろうなと思った。

サビで何回も出てくる
「眠れぬ夜も悪くない」
という表現は、
ありきたり過ぎて、
当たり前すぎて最初は抵抗があったけど、
こんなけ個性的な歌詞になったから、
一つくらいは普通のパートがあってもいいかなと思って、
これも最後にこの歌詞で決めた。
なんかファッションでも
全体的にどれだけヘンテコにして
外してもいいけど、
靴だけ新品とか
コートだけハイブランドとか
そうやって一ヶ所だけちゃんとしてると
まとまるという話を聞いたことがあるけど、
歌詞とかもそういうのに近いのかなと思う。
ただそんな気持ちで昔、
上下スウェットで靴だけ新品履いて美容院に行ったら、
「寝起きですか?」
と聞かれて、
咄嗟に
「…ふぁあーあ、最近、寝不足で。」
と空あくびした事を今思い出しました。





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