容量1KBPCの備忘録 その25 じゃあ誰に買ってもらう?

今年はBEVの豊作年だ。言うまでもなくトヨタ/スバルがbz4x/ソルテラ、日産/三菱がアリア/サクラ/ekクロスEVをそれぞれ発売したからだ。

某ウイルスが無ければアリアの方が先出しされていた筈だが、遅れに遅れた発売によって結局トヨタ/スバルとサイズ感含め顧客レベルでガチンコ勝負をする事になった。

走行距離やらデザインやらインテリアやらは今購入を検討している方々に判断してもらうとして、今後購入を検討ないしオススメ出来るような客層や普及の為に必要な事はどういった事か?
自分なりに考えてみようと思う。

第一にお勧め出来るのは新築一軒家を建てるタイミングかつ次の車を検討しているような方だ。
ピンポイントだがそれ故オススメ度合いも高い。
どうしても付き纏う充電という問題は新築で200V系統の構築をしてしまえば解決。電気代も太陽光で回収可能。新しい家に未来感たっぷりのインテリアを持ったアリアやサクラはベストマッチと言える。旦那さんはアリアやbz4x、奥さんの足や近距離での移動用としてサクラ/ekクロスEVという選択はメーカーもある種の理想として掲げるカスタマー像だろう。

次の想定顧客は自治体関係。更に言えば避難所となるような役場や小中学校などの教職員だ。
理由は明確。有事の際の緊急用電源としての役割を持たせるためだ。勿論、現状避難所に指定されるような場所では緊急用電源は備えているだろうが、重いため機動性に欠ける。
だが車が給電してくれるのならば機動性の問題は解決する。複数台所有しておけば更に複数の場所に電源を供給したり、長時間の供給も可能だ。電源車が来るまでの時間稼ぎとして申し分ないだろう。行政側が保有をする事で一次対応のスピードも速くなる。
普段は公用車とするのも緊急時の電源供給の為と言えば住人も文句を付けにくかろう。
充電スポットも役場の待ち時間を有効利用してもらうという付加価値に転換させる良い口実だ。

またこれは嫌らしい話ではあるが、BEVに助けられた経験が回って自らBEVを所有する、という事にも繋がるだろう。このような電源供給はガソリン車になくてBEVにある大きなメリットだ。そのメリットを実際に体感した経験というのはBEVに対する好意的評価に間違いなく繋がる筈だ。

次に考えるのはラストワンマイル輸送に特化したタクシー。BEVの特性を考え10-30キロ圏での移動に限定し輸送を行う。そこまで限定すれば利用者も行き先も自ずと限定される為、色々な場所へ動き回る必要性も薄れる。道路の習熟も早まり事故の危険性も相対的に減る。
利用者としても任意のタイミングで利用できるバスで他の乗客に配慮する必要性も無し。止まっている場所を固定すればわざわざ危険な道路上で呼び止める必要もない。
供給側も変動の大きい燃料価格に比較的影響されずに安定的かつ計算建てもしやすい電気により実際の金額設定も低く抑えられる事だろう。

また上記と関連付けて考えるとするならば、こういったラストワンマイル輸送の想定顧客は高齢者やアシ車を持たない主婦層だ。この層は特に意思決定において重要な役割を果たすという事は言うまでもない。実際に乗ってもらう機会を増やせばそれだけ乗り心地の違いや高い静粛性、運搬能力に大きな差がない事を理解して頂けると思う。

話は脱線するが自治体側もこういった自治体だけではフォローしきれない細かい需要に対して応える業者への補填は行うべきと考える。本気でBEVを普及させたいと考えるなら尚更だ。

総合すると、今必要の事はBEVに触れる機会を増やし、提供することにあると思う。
事日本においては少数派より多数派に属する事が基本路線であるため、まだまだ少数派であるBEVはデメリットばかりが先に立ち、そもそも選択肢とならない場合が多いように感じる。
故にある程度の(勿論経費という制限はあるが)選択の自由がある法人や自治体が積極的にBEVを採用し、BEVのメリットを提供すればそれだけ民間側もメリットを理解する経験も増える。
良いところが知れれば選択肢にもなろうというものだ。

まあ、そもそもカーボンフリーの電力どうすんだ?という議論から始めないとBEVが真の意味でのゼロエミにはならないので正直元も子もないのだが、それはまた別のお話。

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