容量1KBPCの備忘録 その22 出資者(じゃない人も)は無理難題を仰る

自動車業界で去年末から今年の頭にかけて常に話題に登り続けていた話がある。それは新型ランクルの納期問題だ。当初は2〜3年待ちという話で「んなアホなw」と笑っていたが、今は日本仕向は5年待ちというから真顔になるしかない。

それに対して「なんでこんな事態になっているんだ」という批評も相次ぎ、作る側も売る側も心苦しいだろうと心中察するばかりだ。

現在の市場においては都会派と言われたSUVの人気がある程度落ち着き、ジープやGクラス、ランクルなどの本格派SUVへと人気がシフトしつつある。流行は輪廻転生するものだと車を見ているとよく分かる。
話を戻して、ランクルの納期問題についてだが、これに関しては正直どうしようもない、というのが結論となる。
ご存じの向きも多いかと思われるが、ランクルの最大の消費地は中東だ。日本と違い、「目的地に向かい、戻るべき場所へ戻る」事のハードルが一層高い地域でのランクルの信頼性は群を抜いている。ランクルは元来その為の車であるしその役割を最大限全うする土地が中東というわけだ。

では日本ではどうだろうか。道の途中に大穴が空いていたり、地雷があったり、砂地の急斜面があったりするような場所を移動することがあるだろうか?
然るべき場所へ行けばあるだろうが一般的な道路にそんなもの、現代日本の道路事情からすれば全て無いと断言出来る。

つまり、日本ではランクル以外でも大丈夫だろうが、中東に行けばランクルじゃないとダメ、というお客様が数多くいる事は間違いない。
そのような重要性の高い需要がある土地に然るべき供給を行うというのは、企業として、経済活動として、なんら間違いではない。

それを理解せずに、なんで日本ではこんな事になっているんだ、と批判するというのは実にナンセンスだ。トヨタは真っ当な経済活動を行なっているだけなのにそれをかなぐり捨ててまで日本に供給をしようというのは、やりたくても他に優先すべき事柄が多すぎて土台無理な話なのである。

真に批判されるべきは、納車待ちという弱みにつけ込み、プレ値で販売しようとする一部の醜悪な業者達なのだから。

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