容量1KBPCの備忘録 その20 そろそろいいでしょ 破

一年も経てば許されるだろうと思い、エヴァについて考えてみたいと思う。
と言っても考察してナンボの作品であるが故、テーマは幾らでも転がっている。なので今回は「マリの特質性」をベースに色々と考えてみたいと思う。

真希波・マリ・イラストリアス。真希波は旧日本海軍夕雲型駆逐艦五番艦巻波から、イラストリアスは旧イギリス海軍のイラストリアス級航空母艦一番艦イラストリアスから取られている。駆逐艦から名前が取られているのはレイも式波アスカも同じだが、2人が綾波型から名前が取られているのに対し、マリは夕雲型から名前が取られている。太平洋戦争に置いて初期から活躍をした綾波型に対して、戦争後半に主力駆逐艦として活躍をした夕雲型の名前を使うというのはマリの登場タイミングを考えればある意味当然と言えるが名前からして2人とは違うのだという事が分かる。
しかしイラストリアスは航空母艦であり、ラングレーも航空母艦である。その点は共通している部分である。
まとめると駆逐艦と航空母艦の名を持つが要素が異なる、という事を考えると共通項の多いレイと式波アスカとは明確に持つ役割が違うという事ではあるが、アスカとは何かしらの関わりを持っている事が名前から考えられる。

マリの初登場は破の最序盤、ベタニアベース迎撃戦。封印を解いた第三使徒に対し急造の試作5号機で立ち向かう。
腕部に直接マウントされたランスの一撃で仕留めたかに見えたがコアを外し身動きが取れない状況に。マリの咄嗟の判断でランスを切り離しアーム部分でコアを握り潰し第三使徒を倒した、というものだ。

端的にまとめればこのようになるが、全てが終わった今見ると重要な情報が点在している事がわかる。
ベタニアベースの外にあったのは封印柱だし、封印柱があった所に加持が居た=加持の封印柱の情報ソースはベタニアベースだった事が分かる。
試作5号機が急造品の機体であるにも関わらず、外へと逃げようとする使徒に対し、準備よく外部への飛行手段を持っていたのは外部で決着をつける必要があったから(当時のタイミングで使徒の消滅時には爆発が伴う事が分かっていた)であるが、それは恐らく表向きの理由で、ゼーレの目的は補完の邪魔になる封印柱を消す事にあり、その為に試作5号機を使徒の爆発に巻き込まれたように見せかけ自爆させたのだ。それもこれも「織り込み済み」という訳だ。
ここでのマリに触れるとその当時では何か事情を抱え込んだエヴァパイロットという印象しか持たなかったが、ここでマリは自分には目的がある事を視聴者に伝えている。
明確な目的を持ってエヴァに乗っているパイロットはカヲルとマリであり、どちらも「解っている」キャラだ。エヴァに乗る事が至上命題でその先の目的が無かったレイアスカやQまでは言われるがままに乗せられていたシンジとはこういった所も異なる部分である。

次の登場シーンは、空中から密入国したマリがシンジとぶつかるシーン。シンジと直接対面するのがこれが初めてであり、以降シンで再会するまでは顔を合わせる事は無かったが再会する時に思い出すキッカケとなる重要なシーンだ。
それだけではない。物語においてシンジと殊更に重要な関係性を持つに至るキャラには必ずSーDATに関わる何かしらの出来事がある。
有名な話ではあるが改めて言えばループを繰り返していたSーDATがマリとぶつかった事により、ある意味「破壊」され次の曲へと進んだのだ。過去から止まっていたシンジを新しいステージへと導いたのがマリ、というのは大変に意味のある事だ。

次に触れるのは第十使徒戦。破の目玉パートである。
ここでのマリは封印された弍号機で立ち向かう。制御パターンの書き換えが行われていたかどうかは描写がない為明言出来ないものの十中八九パターンの書き換えは行われていると思われる。
これまた初搭乗にも関わらず高い戦闘パフォーマンスを見せるマリと弍号機だったが、第十使徒からの攻撃で左腕、脇腹、頭部を大きく損傷する。N2ロケットによる特攻を仕掛けた零号機のフォローに回るも、第十使徒のシェルターに阻まれ敗北した。
その後ネルフの管理するシェルターにいたシンジと遭遇。逃げるように諭すもドグマへと駆け出すシンジを見届けて充電切れになっている。

ここでのポイントはドグマ内の設備をマリは把握していたという事だ。可能性として近くにある武器を表示するようなインターフェイスがある、という線が考えられなくもないが、その場合周辺の武器が多すぎる場合、情報が煩雑化してしまう可能性があり現実的ではない。またエヴァは人間である為、基本的にパイロットの操作が第一で、遠隔操作は緊急性の高い停止信号やプラグの強制射出信号等しか行えない事からも、マリがそこに武器があると分かっていて使用していたと考えられる一因となる。
つまりマリはユーロネルフに所属していながらも本部施設についても理解があったと考えられ、基本的に武器は装備状態ないし、戦闘直後に配備された物を使用していたレイシンジアスカとは大きく異なる。
ここからマリはネルフの中でも様々な情報にアクセス出来る環境が整っていた、もしくはそのレベルにまでサポート出来る人員がいたと判断できる。どちらにせよそれだけ重要な人物だという事がこの戦闘シーンから分かる。

と、破で得られた情報をまとめてみただけでもマリの特質性が十分に分かる。ここからまた語りだすと冗長になりそうなので、次回はQのマリについて考えていこうと思う。

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