Pythonで天鳳位到達確率をシミュレーションしてみた

こんにちは、mura0です。

今回は算数オタク向けの記事です。

麻雀というゲームは、一日単位での勝った負けたでは正確に実力を把握することが難しく、長期のスパンで成績を見る必要があります。

中でも、オンライン麻雀ゲーム天鳳は成績管理に優れており、勝ち負けによって段位が上下するシステムになっているため、数千、数万半荘単位で打てばその段位が実力の証明になり得ると言えるでしょう。

天鳳では、一番上の段位に到達すると天鳳位という全プレイヤーの頂点であることを示す称号が与えられ、殿堂入りの扱いを受けることになります。天鳳プレイヤーの永遠の憧れの称号であり、天鳳が主催するイベントに呼ばれたり、何個かのプロ団体にはリーグ戦の特別編入の権利つきで入会が許されたり等、非常に目指す価値があると言えます。

今回はこの誰もが憧れる天鳳位について、一体どれだけの実力があればなることが可能なのか、ということを考察して行きたいと思います。実力がある平均順位(安定段位)のプレイヤーが一定の半荘数を打った場合、天鳳位に到達する確率は〇〇%である、という風に結論を出します。

方法としては、Pythonというプログラミング言語を用いて、同一水準にある対局者集団を仮想的に用意し、多くの回数をシミュレーションさせることで求めました。また、検証にはみーにんさんの先行研究を参考にしました。

では、始めて行きます。


1.仮定


シミュレーションの仮定は以下のように置きました。

鳳凰卓7段原点の状態からスタート

・サンプル数(打ち手の数)は10,000人

・対局数は5,000半荘、全て東南戦。7段以上は全て鳳凰卓で打つとする。(天鳳位の、新人からの平均到達試合数が5554.5試合だったので、それを考慮しました。)

・着順分布は1位>2位>3位>4位の順に、等差数列に従うものとする。※1

・鳳凰卓と特上卓以下では、平均順位が0. 1違うものとする。

・最終到達段位は小数点以下まで出すとする。8段原点なら丁度8段、以下ポイントが増えたり減ったりするごとに線形補間をした。

(例→ 最終到達が 7 . 5段の場合、7段: 2100 / 2800pt or 8段: 800 / 3200pt を指す。)


以上の仮定で、平均順位 2.500 / 2.475 / 2.450 / 2.425 / 2.400 / 2.375 の6ケースそれぞれについて、①天鳳位到達人数、②段位標準偏差(バラつきの度合い) 、③鳳凰卓チャオ人数 を算出しました。

※追記( 2020/8/4 ) 「鳳凰卓チャオ人数」とは、5000半荘後の最終結果で6段以下になっているサンプルの数を表します。それまでの途中経過(一度チャオったが、7段以上に復帰しているサンプル)は考慮していないので注意して下さい。


2.結果


実際にシミュレーションを行った所、次のような結果になりました。


画像1

※1 安定段位:7. 0 鳳南平均順位:2.500

鳳凰卓で全ての着順を均等に取る実力の場合です。この場合30%弱のプレイヤーがチャオっており、天鳳位に到達する者はほぼ居ないと言えます。


画像2

安定段位:7. 5 鳳南平均順位:2.475

安定7段と比較してチャオ人数は結構減りましたが、天鳳位到達までは程遠そうです。


画像3

安定段位:8. 0  鳳南平均順位:2.450

安定8段、鳳凰卓でそこそこ戦えているレベルの結果です。天鳳位の到達人数は100人中3~4人と言った所でしょうか。かなり運が良ければなれるけど……って感じですね。同じくらいの割合でチャオも発生しています。

また段位のバラつきから詳しく計算すると、安定8段の実力であっても、天鳳位到達を含めて大体6人に1人は9段以上に居座れるようです。5,000半荘やっても結構ブレるんですね……


画像4

安定段位:8. 6  鳳南平均順位:2.425

安定段位8. 6と言うと、鳳南の着順分布が 27.25%-25.75%-24.25%-22.75% になります。文句無しの勝ち組じゃないでしょうか。所謂鉄強と呼ばれるゾーンはこの辺りからな気がします。この辺りのレベルになると天鳳位到達が6人に1人、いよいよ現実味を帯びてきます。


画像5

安定段位:9. 2  鳳南平均順位:2.400

かなり天鳳位があり得る水準じゃないでしょうか。2人に1人以上、コイントスに賭けてみるくらいの価値はありそうです。

また鳳南を5,000半荘近く打っている天鳳位の安定段位を調べた所(※2)、この安定段位8. 6 ~ 9. 2のレンジに収まっていることが分かりました。何人かの例を挙げます。

(敬称略。カッコ内は打数。)


おかもと : 8.84(5,378) 

独歩 : 8.75(4,677) 

タケオしゃん : 8.84(4,898)

太くないお : 8.94(5,813)


この内、仮定で置いた等差数列型の着順分布に最も近かった太くないお氏の成績 ( 27.5% - 25.7% - 24.5%- 22.3% )  (平均順位 : 2.413) をモデルにして追加でシミュレーションを行った所、天鳳位到達確率は約33%でした。


以上のことから、もし現実的な打数と実力の範囲内で天鳳位を目指すならば、打数は月150半荘を3年間、実力水準は安定段位8. 9 ~ 9. 2(平均順位 2.413 ~ 2.400)を目標にし、じゃんけんかコイントス程度の運に賭ける、が一つの戦略と言えるでしょう。天鳳位を目指すにもある程度の運は必要、麻雀で勝つことに最低限の運が必要なのと似ています。


画像6

安定段位:9. 8  鳳南平均順位:2.375

一応出しました。天鳳位到達確率は約90%でほぼ確実ですが、安定段位9. 8 ってどんな化け物だよという話になってきます。今までの天鳳位を調べてみると、高い成績を出している者でも、 ASAPIN : 9.91段 (1,584半荘)、藤井聡太: 9.51段 (2,609半荘) であり、これはあくまで2,000半荘程度の成績なので、人間が長期でこの成績を記録するのは困難と言えます。参考程度と言った所でしょうか。ちなみに安定9 .8段で2,000半荘のシミュレーションを行った所、天鳳位到達確率は47.6%となりました。


いかがだったでしょうか。天鳳位に求められる実力水準は相当高いもの、その上で多少の運も必要であること、5,000半荘やっても想像以上にブレること が良く分かったかと思います。また、自分でやってみたいという人の為に下にソースコードを用意しました。使用したツールは Jupyter Notebook です。どうぞコピペして使って下さい。もっとコード綺麗にしたり、複雑な分析を行ってみて下さい。


3.まとめ


5,000半荘安定8. 6~9. 2 の鉄強レンジの実力水準を目標にし、人並みの運(1/3 ~ 1/2)が備わっていることに賭ける。
安定9. 8麻雀星人なら2,000半荘での天鳳位到達も十分可能。

シミュレーションの正確性についてはみーにん氏の先行研究と比較しながら十分検討したつもりですが、ご利用は自己責任でお願いします。



4.参考


※1 安定段位別天鳳位タッチ率 /  みーにん著

※2 天鳳IDログ検索


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