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「あなたは10年後、どうなっていたいですか?」

黙読仲間のアイちゃんは、就職面接でこう聞かれてたじろいだらしい。

そういえば最近、学生たちがグループワークをつくるときに、
「10年後、20年後の自分を考えよう」
とか、
「50歳になったら」
みたいなことをテーマにしていた。

10年後、わかるわけないやん笑

わたし自身、10年前20年前には、
「10年後のことを考えて生きていく」
「そのために、5年の中期目標をたてる」
なんて生き方をしていたし、
学生たちにもそう教えていた。
(聞かれたら答えていた)

「あなたは10年後、どうなっていたいですか?」
と聞かれてたじろいだ、と聞いて、
はっとした。
いまもう、そんなこといってる場合じゃないな。

10年後の計画を立て、設計図を描き、
それに向かって一歩一歩努力を重ねていく。
……間違ってはいないだろうけど、
その途中にとんでもないことが起こる、
ということは、はっきりしている。
いまのコロナ、10年前の東日本大震災、20年前の9.11、
その間にどんなことが起こったか。
自然災害やらテクノロジーの進化やら、
人の感情やら意識の変化やら。

ようは、想定外のことが起こったときに、
どう対応するか。
対応する能力をトレーニングにするほうが、
先を見通して一歩一歩努力するよりも優先するんじゃないか。

と思っていたら、関西のイケダセンセから、
『佐渡裕とスーパーキッズ・オーケストラ2021』という番組の、
見逃しURLがメッセンジャーで送られてきた。

スーパーキッズ・オーケストラを指導する佐渡裕さんは、
キッズたちのいい感じで奏でている演奏を途中で止めて、
ちょっと間をおいて、
「ベース、弾いて」
と、ウッドベースだけ音を出させた。
「チェロ、乗っかろうか」
と、ベースの音に、チェロの音を重ねた。
「セカンドバイオリン、乗っかろうか」
さらにバイオリンをいれて、
「ビオラ、乗っかろう」
そして、
「ファーストバイオリン、乗っかって」

空間をイメージしてね。
あったかい音、透き通った音が響き合って、
ハーモニーをつくっていく。
それをイメージする。

画面はキッズへと代わり、
「さどさんに魔法をかけられた」
とキッズはいった。
指導の前とあととでは、みんなが出す音がまったく違って感じた、と。

ハーモニー、調和させること。
想定外のことが起こったときに、
どうやって他人やチームや社会とハーモニーを奏でることができるか。

「ボクらにとって、楽譜は大事やけど、
その先にあるもの、作曲家がどんな世界を描いたのか。
楽譜から出て、妄想することはもっと大事」

計画や設計図も大事だけど、設計図を超えていくことはもっと大事。

ということなのではないだろうか。