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桜が咲いたからスイカを食べよう

熊本のアニキから、スイカが届いた。

スイカは夏の果物だと思っていたら、
熊本では4月半ばから5月にかけてが旬ならしい。
しかも、果物ではなく野菜に分類されている、と。
知らなかった。

熊本の盆地の地域では寒暖の差が大きく、
それがスイカの甘さを増すことになって、
じつは熊本は日本一のスイカの産地なんでそうで。
これも、知らなかった。

熊本のアニキは実兄ではなく、
ノハラケンジという農家さん。
若いころさんざんやんちゃをして、むちゃくちゃやんちゃをして、
やんちゃの限りを尽くしたやんちゃで、
でも実家は厳しく、学校のほかに仕事の手伝いもさせられ、
やんちゃしながらビジネスを実地で学び、
根性も忍耐もビジネスの実地で学び、
正義とか悪とか義理とか人情とかはやんちゃで学んだけど、
社長業もびしっとできるように育ってきた。

年下への面倒見がよく、年上からも頼られる。
困ったことがあったら、すぐに駆けつけてくれて、
いっしょに悩んだり笑ったり泣いたりしてくれる。
だからみんな、ケンジくんのことをアニキと呼んでいる。

そんなアニキは社長を兄弟に譲り、
自分は家族で農業をやるようになって、
農を通して若者を育てる塾も始めた。

農を通して、じゃないな。
人が食べるものをつくることを通して、人を育てる。
食べるものをつくる、ということがどんなに非効率なんだろうか。
でも、食べるものをつくることで、どんなに学ぶことができるだろうか。

アニキのスイカは、芽が出て花が着いたら、いっさい水をあげないそうだ。
スイカは自分の力で、空気からと土の中からとで水分を取り、
自ら養分を蓄えて大きくなっていく。

水は一滴もあげないけど、愛情たっぷりの手でひとつひとつ育てる。

ときには厳しくしないといけない。