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大切な人が大切にしていることを大切にする

こんなこと初めてなんだけど、
本にサインしてもらった。

毎朝やってる黙読会で、『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』
という本を誰かが読んで、雑談に花が咲いた。
「その本読みたかった」「その本読みたくなった」
だけではなく、
「その本のお店いったことある」「その本の著者を知ってる」「その本の著者のお母さんを知ってる」、などなど、つながりもどんどんでてきた。

東京浅草かっぱ橋商店街、料理道具や食器や店舗関連、飲食にかかわる食材以外のすべてがそろう商店街で、「聖地」といわれている「飯田屋」。
創業100年、本の著者飯田結太さんは6代目の店主。
老舗だからといって順風満帆なわけはなく、
飯田結太さんが6代目になってからしばらくして、経営は最悪に。
売り方、従業員の働き方、経営者としての心構え、
すべてが負のスパイラルにはいってどうしようもなかった。

そこから、どうやって「聖地」となったのか。

わたしは本を読んで、実際にお店にいってみた。
いってみたらたちまち飯田屋のファンになってしまい、
黙読会で「いってみたらたちまちファンになった」報告をしたら、
「じゃあみんなで飯田屋ツアーをしましょう」
ということになり、
福岡から岩手から、シンガポールからも集まって、
飯田屋ツアーをした。

社長の飯田結太さんは育休に入っていて不在、
でも、お母さんの飯田敬子さん(会長、5代目店主)が、
とても丁寧に対応していただけた。
(もちろん、あらかじめアポイントはとってからのツアーだった)

その際に、もろもろ感激したので思わず、
普段やったこともないことをしてしまった。
「サインください、社長の」
と、『リアル店舗の奇蹟』を敬子さんに差し出してお願いした。

敬子さんは、本を買ってくれたこと、本を読んでくれたことに、
ものすごい感謝の意を示していただき、
「大切にお預かりします」
といって、サインをしてくださいお願いを引き受けてくれた。
幸せな気持ちになって、ツアーは大成功のうちに終わった。

数日後、サインができましたメッセージがきたので、
岩手から上京する日を決めて、受け取りに行った。
「レジのところに置いておきますのでいつでもどうぞ」
ということなら、早いにこしたことはない。
いましも早う! と思い勇んで飯田屋へ。

ある日、飯田屋着。
本を取りにしました、というわけにもいかないので、
ひとつ道具を買うことにして、レジに向かった。
それは「エバーピーラー」、
飯田屋の名物オリジナル商品の中でも最もメジャーなもので、
持ちてと歯の部分に30度の角度がつけられていて、
無理なく無駄なくらく〜に使えて、
しかも刃が超硬質ステンレスの上に替刃まで用意されてて、
つまり永遠に使えるピーラーという「エバーピーラー」。
を手にしてレジにいき、支払いが終わってから、
「あの〜〜」
とサインしてもらった本を受け取りに来ましたと切り出したら、
従業員さんは一発で理解していただき、
レジスターを挟んでわたしと正面に対峙していた姿勢から180度振り向き、
棚を開けて、大切にしまっていただいたわたしの本を取り出した。

211027大切な人が大切にしていることを大切にする2

敬子さんの「レジのところに」とはそういうことだったのか、
と感激している最中にその店員さんが手渡してくれたわたしの本には、
まるで新品の料理道具のように、ピシッとセロファンの袋に包まれていて、
しかも、「浅草かっぱ橋商店街」と書かれたシールで袋の口が止めてあり、
しかも、そのテープが真っ直ぐに、ホントに綺麗に貼ってあった。

今日、noteでそのことを書こうと思って、
『リアル店舗の……』のページをめくっていたら、
廃業寸前の飯田屋を立て直すことができた、
飯田屋さんが大事にしている言葉のひとつが目に入った。

「大切な人が大切にしていることを大切にする」

一度読んだときは、気にしていなかったフレーズだった。
さっそく、マーカーで線を引いた。
「大切な人が大切にしていることを大切にする」