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イランで未来予測マシンが開発された?という話など/南山宏・ちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2014年1月号、第357回目の内容です。

文=南山宏

登山ハムスター

 英ウスターシャー州キドミンスターのドン・コーマン(仮名)家のペットハムスター、ワイルドマット君が真夜中に逃亡した。
 翌朝、ハムスターが入ったままのプラスチック製回し車が、近くの丘の頂上付近で見つかった。
 どうやらワイルドマット君は、回し車を漕いで高さ274メートルの斜面を登りきったらしい。


宇宙は地球がいっぱい

「″重力マイクロレンズ効果″を利用した最新観測法で、銀河2000億の恒星のそれぞれには、例外なく惑星が1個以上回っている可能性が高いことがわかった!」
 南米チリのヨーロッパ南天天文台(ESO)で交代制で観測するパリ天体物理学研究所のダニエル・クーバス博士ら総勢43名の国際研究チームが、科学専門誌〈ネイチャー〉2012年1月12日号で、数百万もの恒星をチェックした6年がかりの太陽系外惑星探索プロジェクトの最終結論を発表した。
 われわれの太陽系のように、母星(恒星)を惑星が回っているかどうかを調べる目的に従来使われてきた方法には、主としてドップラー法とトランジット法がある。
 ドップラー法は、惑星の重力に母星が引っ張られて揺れる周期などから推定する。トランジット法は、母星の手前を惑星が通るたびに光が遮られ、周期的に暗くなる現象を精密観測して割り出す。
 だが、いずれの方法も、母星に比較的近くて質量の大きい系外惑星しか発見できないのが欠点だ。
 それに比べ、背景の恒星の光が前景の恒星の重力に曲げられ増幅される、光学レンズによる光の屈折と似たような″重力マイクロレンズ効果″を応用すれば、質量の大小に関係なく、母星から遠く離れた惑星でも容易に発見できる。
「太陽系外にも地球型の岩石惑星ははたして存在するのか? という長年の疑問は間違っていた」
 チームリーダーのひとり、アルノー・カッサン博士は告白する。
「おそらく銀河系では惑星は恒星よりありふれた存在なのだろう。それどころか今回の観測データから類推すると、地球やスーパーアース(質量が数倍まで)級の軽い惑星のほうが、重くて巨大な惑星よりずっと多いにちがいない」
 米カリフォルニア大アーヴィン校の天文学者ヴァージニア・トリンブル博士の話では、太陽系外惑星の探索方法はこれまで17通り考案されたが、実際に試されたのは以上の3法を含め5法だけとか。
「将来はますます多数の惑星が発見されて、当然その中には、生命存在可能領域(ハビタブル・ゾーン)に位置する地球型岩石惑星も無数に見つかるだろう」
 夜空に輝く満天の星にそんな生命惑星が無数に存在するのなら、当然ET文明やUFOだって――。


ブラックスワン

 米イリノイ州シカゴ市郊外の小さな湖で、2012年4月15日、怒り狂ったハクチョウが監視員のアンソニー・ヘンズリー氏(37歳)をカヤックから水中に蹴り落し、しつこく攻撃して溺死させた。
 ヘンズリー氏は農産物に有害なガンの大群を寄せつけぬように、ハクチョウとイヌを利用している専門会社の職員で、当日も湖中にカヤックを乗り入れてハクチョウを観察中、なぜか機嫌を損ねた1羽のハクチョウに襲われたらしい。
 ガン(カモ)類は、日本ではほとんどの種類が絶滅危惧種だが、大群で繁殖する北米やユーラシア大陸北部では、甚大な農業被害をもたらしており、近年問題化している。
 救助隊が引き揚げたときにはもうアンソニーは絶命していたが、
「ハクチョウの営巣地に近づきすぎて、親鳥を怒らせたのだろう」
 と鳥類専門家は話している。


イラン式タイムマシン

「デイリーテレグラフ」電子版2013年4月10日付によれば、イランはテヘランの国営戦略発明局のアリ・ラゼギー管理官(27歳)が、このほどファーズ国営通信社を通じて「画期的な″タイムトラベリングマシン″の発明に成功した」との重大発表を行った。
 もっとも実際には時間旅行ではなく、ユーザーのタッチから読み取った数値をプリントアウトして近い未来を予知する装置という。
 どうやら指紋か手相を読みとる機械らしいが、発明者の説明によると″ワンセットの複雑なアルゴリズムによって動く″装置で、ユーザー個人の未来生活を5年から8年分ぐらいまで、″的中率98パーセントの正確さで″予言する。
「10代から10年を費やして発明したこの機械は、パソコンサイズのコンパクトなもので、政府が採用してくれれば、近未来を的確に予知して無用な戦争も回避できる。個人用も組織用も早く量産体制に移りたいが、ただ現段階ではアメリカや中国に盗用されて、コピーを作られないよう用心が必要だ」
 ただし残念ながら、家族や友人を含め、関係者の全員から相手にされず、国営通信社のサイトからもたちまち削除されてしまった。


似た目同士

 愛犬と飼い主は目つきが似る?
 関西学院大の動物心理学者・中島定彦博士が、英学術誌〈アンスロズーズ〉2013年12月号電子版にユニークな論文を発表した。
 まずトイプードルや柴犬、パグなど純血種のイヌ40頭とその飼い主40人の顔写真それぞれ40枚を、正しいペア20組と故意に違えたペア20組とにグループ分けする。
 写真を見せるパターンを、顔全体、飼い主の目を隠す、飼い主の口を隠す、イヌの目を隠す、飼い主とイヌの目だけを見せる、の5通りにして、20歳代から70歳代の学生とイヌがテーマの講演会の参加者合わせて547人に、似ていると思うペアを選んでもらった。
 結果は、目を隠すパターンだとどの場合も、正答率は50パーセント前後だったのに、顔全体を見せた場合は67~80パーセント、イヌと飼い主の目だけを見せた場合も69~76パーセントと急増した。
「飼ううちに似てくるとはよくいうが、目の色など遺伝性の特徴が似ているのなら、そうではない」
 中島氏は実験結果を分析する。
「パッチリ目とか彫りの深い目などの特徴が似ている場合は、飼い主が無意識に自分に似たイヌを選んで飼っている可能性もある」
 今後は、さらに「性格も似ているか」という面にまで踏み込んだ研究を続けるつもりだそうだ。


(月刊ムー2014年1月号掲載)

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