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幽霊人形の買取を請け負うベンチャー企業の話など/南山 宏のちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2022年5月号、第457回目の内容です。

文=南山宏

大文豪の迷作

 名作『怒りの葡萄』や『エデンの東』で知られるノーベル賞作家ジョン・スタインベックは、まだ無名のころ、長編小説を3作書いたものの、いずれも出版を拒否されて、うち2作は自分で破り捨てたが、『満月の殺人』と題する狼男もののホラー小説のタイプ原稿233ページ分だけは、処分できずに亡くなるまで隠し持っていた。
 現在その原稿は、米オースティンのテキサス大学ハリーランサム・センターのアーカイブに保管されていて、昨年5月、スタンフォード大学の米文学専門学者ギャヴィン・ジョーンズ教授が再発掘に成功し、現在、出版してくれる版元を捜しているという。
 20世紀を代表する大文豪の幻の作品なら、引く手数多となりそうだが、現実はそうそう甘くない。
 この作品が陽の目を見たらかえって大文豪の名に傷がつく、という反対論も出されて、現在に至るもなお、名乗りを上げる出版社は出ていないそうだ。

イタチ弾

 英ノースヨークシャー州ハロゲート郊外の森に5年前から住み着いた男が、ビールをへべれけになるまで飲んでは、家の前を通過する車の騒音がうるさいと、飼っているイタチ数匹を入れた段ボール箱を投げつけるようになった。
 ときにはボンネットの上に飛び乗ってフロントガラスを叩き割ったり、一度などは同乗を断られた腹いせに、運転者を殴り倒した。
 おかげで全部で9台の乗用車の持ち主が、高額な修理代を払わなければならぬ羽目になった。
「サン」紙2020年3月14日付によれば、森の住人ブラッシュ・バロウズ(25歳)は、暴行傷害と器物損壊容疑、さらに動物愛護法違反容疑で逮捕され、懲役1年9か月の実刑を受けた。
 イタチたちは王立動物虐待防止協会の手で無事保護された。

幽霊人形

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