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奇書「契丹古伝」が語る「辰国」の謎 /MUTube

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ムー2022年5月号の「奇書「契丹古伝」が語る「辰国」の謎」

2021年11月、イギリスの名門科学誌「ネイチャー」に驚くべき論文が発表された。
「トランスユーラシア語族の諸言語は中国東北部にルーツをもつ」という。論文の発表者はドイツのマックス・プランク人類史科学研究所を中心とした研究チーム。チームにはドイツの他に日本・中国・韓国・ロシア・アメリカなどの言語学者・考古学者・人類学者ら、総勢30人以上が名を連ねている。そしてこの論文には「日本語のオリジンは中国の東北地方、いわゆる満州で発生した」と書かれているのだ。

日本語や韓国語・モンゴル語など98言語から構成されるトランスユーラシア語族は、英語や漢文などと違って「目的語の次に述語がくる」という特徴がある。
通説は、トランスユーラシア語族のルーツは中央アジア大草原の遊牧民が起源とされており、彼らが東から西へと移動したことで各地に広まったという考えだった。
だが、言語学・考古学・遺伝学の3分野のデータをもとに学際的に検証したところ、初期新石器時代にあたる約9000年前の中国・遼河流域の農耕民の言語が、トランスユーラシア語族の起源であるというのだ。

だが、この発表は厳密には「新説」ではないのだという。なんと、今からおよそ100年も前に、ひとりの日本人がその先触れとなるような説を論じていたのだ。
その人物の名を浜名寛祐という。
浜名は元治元年の生まれ。陸軍経理学校を卒業し、日露戦争で中国東北部のラマ教寺院に宿営していたところ、現地の僧侶が解読不可能だという古書を持ってきた。浜名はその全文を書写し、帰国後も解読を続けたが難航してしまう。そんなとき、一部の単語が日本の古語として読み解けることに気づき、全文が解読できたのだという。

解読によれば、この古書はかつて中国東北部にあった遼という王朝が編纂した史書であった。後世、この奇書が「契丹古伝」という通称で知られることとなる。
「契丹」とはモンゴル系民族のひとつの称で、契丹族は古くから遼河流域を本拠地としていたが、12世紀はじめに女真族の金に攻められて滅亡している。そんな契丹族の神話と古伝承をまとめたものが、この「契丹古伝」なのだ。そして、浜名の解釈によると、この契丹古伝には日本神話との類似点も多く見られるのだとか。

契丹古伝の本文は、原初神である日祖アメウシフウカルメは、東海の清悠の気が満ちたところで、日孫アメミシウクシフサスサナミコを生んだ。シウクシフとは、「東大国皇」の意だという。日孫が成長すると、日祖は神使の鶏に命じて日孫を地上に天降らせた。日孫を神祖と奉じる民族シウカラは四方に移住していった。そのうちの二大族が朝鮮半島のシウ氏と中国東北部のシウ氏で、それとは別に支族のアシウス氏が東海に現れ、その後裔がニギシである。
日本や朝鮮、満州、蒙古の諸民族はみなこのシウカラから分かれ出たものである。
また、浜名の解読によれば、アシウスは「産霊」と同義で、日本人のことをさし、ニギシとは天孫瓊瓊杵尊のことであるという。
学際的な検証・分析による最新の研究と、100年も前の奇書の解釈が一致するというのは実におもしろいといえるだろう。

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