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【レガシー】誰がバント石鍛冶を殺したのか【2021年総括】

レガシーにとって2021年は激動の1年だった。いや、ここ数年激動でなかった年なんてなかったというのが正直なところだが、来年こそは『エルドレインの王権』のフィードバックが反映されるであろうということに加え、下環境に大きく影響を与えそうなセットも無さそうなので、ようやくレガシーにも安寧が訪れるのではないだろうか。

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大丈夫…だよね?

2021年の出来事①禁止

2021年の大きな出来事と言えば、まずは《王冠泥棒、オーコ》《アーカムの天測儀》《戦慄衆の秘儀術師》の禁止が挙げられるだろう。《アーカムの天測儀》はマナベースの秩序を著しく乱していたし、《戦慄衆の秘儀術師》は低マナ域クリーチャーの選択肢を狭めていたので禁止も極めて納得がいく。

問題は《王冠泥棒、オーコ》で、もちろん悪い側面がほとんどではあったが、「どんなに弱いコンセプトのデッキでもオーコを入れるだけでデッキになる」側面があったこともまた事実だ。映画『ジョーカー』でジョーカーが社会的弱者の反旗の旗手として描かれていたように、《王冠泥棒、オーコ》もまた、Tier最下層民にとってのジョーカーだったのかもしれない。

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最近3テフェよりマシだったんじゃないかと思うようになってきた

禁止前に愛用していたバント石鍛冶も正にそれで、決してTierの最下層だという認識はなかったが、《王冠泥棒、オーコ》がデッキコンセプトの底上げを担っていたんだということをいなくなってから痛感する。


2021年の出来事②新録

もう一つ、今年を語る上で外せないのは『モダンホライゾン2』の面々だろう。《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》《濁浪の執政》に関しては、最早大会で見ない日がないという状況だ。

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特にラガバンは、先手《目くらまし》で守り抜く戦略の凶悪さから、登場直後から禁止を求める声が多く挙がり、レガシー人口減少の一因とされ、ボイコット騒動にまで発展した。

結果としてボイコットは行われず、ウィザーズも11月のエターナルウィークエンドの結果次第で何かしらアクションを起こすような示唆はあったものの、12月現在ラガバンは過疎化した村を元気に走り回っている。村民も常態化した猿の襲来に完全に慣れた様子だ。1ターン目に除去はあるか?なければ《思案》でいらないカードを積み込めばいい―。

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ラガバン常態化の裏で、ひっそりとブロッカーにならない1マナのクリーチャーは息絶えたのであった。

2021年の出来事③バント石鍛冶の死

バント石鍛冶と言えば、1ターン目《貴族の教主》から《真の名の宿敵》または《王冠泥棒、オーコ》をキャスト。それを《目くらまし》でバックアップするのが王道のムーブだった。しかしその両翼の一端を担うカードが禁止され、肝心の《貴族の教主》はその価値を大きく落としてしまった。いやしかし、待ってほしい。それでも《真の名の宿敵》はまだいるじゃないか。


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最強の装備品の担ぎ手がまだ残っている。こいつは生きている―"そう考えていた時期が、僕にもありました"。残念ながら、こいつもまたモダンホライゾン2に殺されてしまった被害者の一人だ。そしてこれが殺された原因こそ、バント石鍛冶の死因の最たるものだ。その死因とは、こいつだ。


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登場当初こそファンデッキ用の1枚と思われていたし、実際そうだったはずだが、ノーリスクで《ウルザの物語》を対策できるうえ、あまりにも増えすぎたETB能力持ちを"ついでに"対処できる汎用性の意外な高さから、コントロールが《終末》を減らして入れるようになってしまった。ちなみに《真の名の宿敵》のキャストに合わせられると、もれなく永遠の3/3/1バニラの誕生である。

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死んでなお他人に迷惑をかけ続けるおっさん。


石鍛冶は死んだのか

モダンホライゾン2でバントカラーが得たものはあるにはあるが、《虹色の終焉》も《忍耐》も、どれも防御的なカードばかりだ。バント土地単に見られるように、バントカラーをやるなら石鍛冶である必要がなくなっている。

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到達じゃなくてトランプルが欲しかった

《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止されない現状、あえてバントカラーに拘る必要なないというのが最終的に至った結論だ。そしてマナ食い虫である石鍛冶は《ウルザの物語》とも相性が良くない。(2ターン目にサーガから石鍛冶を出した時のことを考えてほしい)

つまるところ、現状石鍛冶を組むのであれば、ジェスカイかエスパーしか選択肢はない。そして仮にジェスカイを組むならば、所謂ジェスカイラガバンとの差別化を図らねばならない。どのようにジェスカイラガバンと差別化を図るか―それはまた次の機会ということにしておこう。

石鍛冶は死んでいない。ただバントでやる必要がなくなった、それだけなのだ。

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