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『青天を衝け』第18回「一橋の懐」(2021年6月13日放送 NHK BSP 18:00-18:45 総合20:00-20:45)

天狗党討伐を決める慶喜(草彅剛)。成一郎(高良健吾)には原市之進(尾上寛之)から慶喜の密命を託される。いつの間にやら成一郎は一橋家で重用されるようになっていたのだ。一方、篤太夫(吉沢亮)はいつぞや藤田小四郎(藤原季節)に言い放った言葉を思い出して、天狗党の乱のきっかけの一つが自分の言葉にあったのではないかと思うのであった。

いよいよ天狗党討伐に出征する一橋軍。その中には慶喜の弟(斉昭の18男で慶喜の16歳年下の異母弟)である松平昭徳(のちの徳川昭武、パリ万博に将軍名代として参加。水戸藩最後の当主。板垣李光人(1))の凜々しい姿も。一方、天狗党はすでに幕府追討軍との戦いで疲れ果て、越前・敦賀の冬に凍えていた。成一郎からの密書を読み、憤る小四郎と「もはやこれまで」と諦める武田耕雲斎(津田寛治)。結局、天狗党は幕府に下ることを決断する。

さて、篤太夫も小十人並に出世し、血洗島の千代に文を認める。血洗島では篤太夫たちのリクエストに応えるべく、色々と楽しそうに準備するのだが、やはり埼玉。干し芋は欠かせなかったようだ。長女の歌(歌子)もかなり大きくなってきた。今回は後半で歌のまだ生まれぬ妹・琴(琴子)の将来の舅である阪谷朗廬(山崎一)も登場する。また惇忠(田辺誠一)の「ゆうも糸繰りが上手くなったなぁ」とわざとらしい台詞も。惇忠ときせ(手塚真生)の娘であるゆう(勇 和田葵)はのちに惇忠が工場長を務める富岡製糸所の工女第一号として歴史にその名を残すことになるので、その前振りである。ちなみに尾高家の庭先で剣術の稽古に励む平九郎(岡田健史)を心配そうに見つめる千代(橋本愛)。別に岡田健史を心配しているのではなく(2)、平九郎の行く末に対する不安であることは言うまでもない。

幕府に降参した天狗党に対する処置は苛烈であった。慶喜は耕雲斎らの引き渡しを要求したが、天狗党征討総督の田沼意尊(田中美央)はそれを拒否し、天狗党一党の首を刎ねた。それを篤太夫に報せる成一郎。結局、金のない一橋家は「幕府に侮られたんだ」という成一郎。成一郎は「これから一橋を守るために生きる」と宣言するが、篤太夫は優秀な兵や家臣を増やすには一橋の懐を豊かにすることこそが重要だと気づくのであった。

ここで徳川家康(北大路欣也)の解説が入り、場面は江戸城に切り替わる。幕末の一大傑物である小栗上野介忠順(武田真治)登場である。幕末の幕府でもっとも急進的な改革を進めた一人。フランスと結んで横須賀造船所や製鉄所の建設、コンパニー設立の策を練っている(3)と家茂(磯村勇斗)に告げる。その後、英国に急接近し軍備を整えようとする長州の情勢が外国奉行・栗本鋤雲(池内万作)からもたらされ、幕府はいよいよ第二次長州征伐へと舵を切るのだった。

一方、篤太夫も一橋家の兵力増強策を慶喜に進言。あっという間に「軍制御用掛 歩兵取立御用掛」に任命され、備中の一橋領(井原)に出向く。しかし、井原の代官のサボタージュによって人集めの仕事はうまくいかない。そのような状況で篤太夫は「ゆっくりいくべえ」と構え、私塾を開き、多くの若者が集ってきている漢学者・阪谷朗廬(山崎一)を訪ねた。朗廬はかつて篤太夫もその読本を読んでいた浜田兵衛の話を引き合いに出しつつ、お互いに利を得ることになる貿易を振興すべきでもはや攘夷などは時代遅れだと告げるのであった。

さて阪谷の知遇を得、井原の代官を半ば恫喝して若者たちを集めさせることに成功した篤太夫。慶喜から褒美をもらうのであるが、入り用はこれからも増えるのだから、米の入札払い、播磨の木綿、備中の硝石を戦略物資としての殖産興業を進言する。これに対して父・斉昭を思い出した慶喜は「渋沢よ、もはや腰掛けではあるまいな。ならばやってみよ。おぬしの腕をみせてみよ」ということで、次週「勘定組頭 渋沢篤太夫」へとつづく。

注)
(1) 板垣李光人ファンの皆さん、今回はチラッとしか登場しませんでしたが、パリ編では多分活躍しますのでお楽しみに・w
(2) 所属事務所とトラブっている様子の岡田健史さん。途中降板とかになりませんように(祈)。
(3) この構想は三井の三野村利左衛門を巻き込んで兵庫商社案となるが、実現はしなかった。坂本竜馬の海援隊もこの構想からヒントを得て生まれたと言われている。

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