歯科医師国家試験117D14(HPV感染症)

ヒトパピローマウイルス〈HPV〉の感染が疑われるのはどれか。1つ選べ。

a 骨腫
b 血管腫
c 線維腫
d 乳頭腫
e 神経鞘腫

解答:d

問題と直接は関係ありませんがa.b.cは非上皮性腫瘍です。非上皮性腫瘍は正常組織の上皮組織下の結合組織、筋層、骨(非上皮性要素)のどの部分が増えているかを考えることが重要です。
HPVは腫瘍ウイルスとして子宮頸癌や中咽頭癌の発生に大きく関与します。これはSTD(Sexually Transmitted Disease)だからです。
口腔癌ではその関与も指摘されていますが喫煙や飲酒、不適合な義歯などのリスクファクターが主体です。
感染細胞の形態的変化としてコイロサイトーシスがありますがHPVがDNAウイルスであり、細胞内でウイルス粒子が作られていると考えれば自然です。
神経鞘腫は末梢神経細胞のグリア細胞であるSchwann細胞が腫瘍化したものです。
Antoni A型とB型があり、Antoni A型では核のPalisaidingとVerocay 体が認められます。 
神経膠細胞と神経細胞の正常な位置関係をイメージ出来れば病理所見の理解も容易くなると思います。
神経鞘腫に類似した疾患として神経線維腫がありますがSchwann細胞以外の間質細胞も増殖しているため神経鞘腫とは病理組織学的所見が異なります。



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