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HubSpotの無理のない導入6パターンと難しそうな導入4パターン

HubSpotは、WebマーケティングやSFAの機能を備えたクラウド型のCRMプラットフォームとして、日本でも導入する企業が増えてきました。

私たちディレクターバンク株式会社では、HubSpotの正規パートナーとして、HubSpotの導入を検討している企業に対して、コンサルティングや実際の導入のお手伝いをしています。

今回、そんな支援経験をふまえて、個人的な独断と偏見ですが、
「HubSpotの無理のない導入6パターン」と、
「難しそうな導入4パターン」
について書いてみました。

最後に、HubSpotをうまく活用していくための導入の仕方について、大切だなと思うポイントを3つ紹介したいと思います。

これからWebマーケティングや営業体制を強化するにあたって、HubSpotの導入を選択肢として検討されている方にとって、何らかの参考になれば幸いです。

無理のないHubSpot導入の仕方6つのパターン

HubSpotを導入する際、無理のない始め方として以下の6つがあると思います。

1.既存集客サイトに組み込む「問い合わせフォーム」「資料ダウンロードフォーム」として導入

王道なのがこのパターン。これがホント無理のない導入のステップ1だと思います。

自社のWebサイトで、サービスや製品の紹介ページに、新規リードを獲得する仕組みとして、「お問い合わせ」「資料ダウンロード」のフォームをHubSpotを使って実装するパターンです。

HubSpotのトラッキングタグを既存サイトの全ページに埋め込むことによって、リードの行動履歴を取得することが可能。どういった流入経路とサイト回遊をしてリードになったか、またリードになった後もWebサイトに再訪しているのかなど、細かく分析することができます。

まずこのあたりからHubSpotのCRM機能を体験し、学習しながら、他の機能の使い方を考えていくのが、一番無理がないかなと思います。

2.広告運用とLP制作のCMSのとして導入

リスティングなどで広告出稿をしている方で、自力でLPを制作しながら随時チューニング(LPO)していきたいというパターン。

HubSpotのいいところとしては、ページ制作がほぼノーコード、ドラックアンドドロップで制作できる点と、デザインテンプレートの雛形もHubSpot内のマーケットプレイスでいろんな方が提供されている点があります。

デザインテンプレートについては、無料と有料がありますが、個人的には無料版で十分じゃないかな、と思います。

それとLPにはABテスト機能やコンテンツの出し分け機能もついているので、LP最適化のためのPDCA運用が可能です。(ヒートマップ機能はないので、必要だったら他社のヒートマップサービスを契約してタグをHubSpotで制作したLPに埋め込めばOKです)

また、広告出稿については、HubSpotの管理メニューから「Google広告」「Facebook広告」「LinkedIn広告」の出稿管理も可能。HubSpotのレポート機能でどの広告で誰がコンバージョンしたのか具体的に把握することが可能です。

3.自社ウェビナーの申込み管理のCRMとして導入

自社でウェビナーをやっていく時のウェビナー参加申込者の受付、管理機能としてHubSpotを利用するパターン。

「その1.既存集客サイトに組み込む「問い合わせフォーム」「資料ダウンロードフォーム」として導入」の応用パターンです。

HubSpotで自社ウェビナーの申込みページ(&管理)をするメリットとしては、前述の通り、ユーザーの流入分析ができる点と、マーケティングオートメーション(MA)機能を使うことによって、受付対応メールや、前日のリマインドメール、参加後のフォローアップメールなどの自動化ができるメリットがあります。

また、定期的に実施しているウェビナーなど複数ウェビナーを運営している場合は、HubDBというHubSpotのデータベース機能を使うと、実施日ごとの告知ページを都度制作する必要なく、動的に告知ページを自動生成していくようなページ更新体制も可能になります。

4.顧客との商談の日程調整ツールとして導入

HubSpotの便利なツールのひとつに、日程調整ツールがあります。

これはGoogleカレンダーやマイクロソフトのOutlookなどのスケジュールツールと連携させることによって、自分のミーティング可能な候補日時を相手にお知らせすることができ、ミーティングの予約を受け付けることができる機能です。

お客さんと商談の日程調整を日々おこなっている営業部門やカスタマーサポート部門にとっては、かなり使用ニーズが高いと思います。

HubSpotの無料版でも1対1の日程調整はできるのですが、複数メンバーの都合をマージしたカレンダーを出したり、複数メンバーの誰か一人でも都合が合う日時候補を出したり、といった利用には、HubSpotの有償版を使う必要があります。

すでにもっているリードや顧客リストを、まずHubSpotのCRMにインポートして、メールマガジンなどを配信しながら、リードナーチャリングをおこない、日程調整ツールを使って個別オンライン商談を作っていく、といった使い方がよくあるパターンになります。

5.サービスサイトを新規で立ち上げるためのCMSとして導入

自社のWebサイトとは別に、サービスや商品紹介用のWebサイトを立ち上げるためのCMSとしてHubSpotを導入するパターン。

前述したようにHubSpotのCMSはノーコードでWebページが作れるメリットと、リード獲得のための様々なWebマーケティング機能が備わっているメリットがあります。

リード獲得については、ページ埋込み型の問い合わせフォームの他に、ポップアップ型のフォームや、チャットボット機能なども備わっています。

また、コンテンツを動画で配信したい場合のホスティング機能もあります。

サービスや商品の認知を上げながら、リードを獲得していきたいといった具体的な目的があるWebサイトの場合、HubSpotはとてもマッチするソリューションだと思います。

6.コーポーレートサイトのリニューアルでWordPressからのリプレイスとして導入

今までWordPressで構築しているコーポーレートサイトのデザインが古くなったから、デザインリニューアルを考えているんだけど、合わせて今後の運用の効率化を考えて、WordPressではなくHubSpotベースでWebサイトをリニューアルしたいといったパターン。

HubSpotがWordPressより優れているポイントは、

  • ページの制作がしやすい。(ほぼノーコードでページが作れる)

  • サーバーの面倒(ソフトウェアのアップデート、セキュリティ対策)を見なくてOK

  • リード獲得のためのマーケティング機能が充実している。

の3点だと思います。

  • 社内にページ制作のスキルを持った社員がいない

  • 社内にシステムの面倒を見れる社員がいない

  • 自社のWebサイトをリニューアルを機に、もっと問い合わせを獲得できるWebサイトとして運営を強化したい(と考えている)

場合は、HubSpotに移行するのも有効な選択肢だと思います。

意外に難しそうなHubSpotの導入の仕方4つのパターン

一方で、HubSpotを導入する際、始めからかなりの工数がかかる(&失敗確率があがる)始め方として以下の4つのパターンがあるかな、と思います。

1.マーケティングオートメーション(MA)のツールとして導入

「MAを導入して、ターゲットごとに精度の高いマーケティングを実施したい」といった主旨のご相談を受けることはありますが、かなり目的が曖昧だったり、マーケティングの対象や資産が少なすぎて、MAを導入する以前のステージだったりするケースがあります。

この場合、戦略仮説や要件定義といった上流工程にかなりの工数がかかり、初期導入に工数がかかってしまうケースが多いです。

MAを導入する場合は、すでにある程度のWebトラフィックやリード資産が存在して、手動での運用実績がある方が、それを自動化に置き換えていくといった形で導入をしていくのが現実的かなと個人的には思います。(実績がゼロベースの状態から、いきなりMA利用というのがハードルが高いかな、と思います)

2.ステップメールなど、リードごとにカスタマイズしたコンテンツ配信をする仕組みとして導入

MAのパターンの類似ですが、すでに保持しているリードに対して、これからメールでナーチャリングをしていきたいのだけど、ステップメールやリードごとにカスタマイズしたコンテンツを配信したいので、HubSpotを導入していきたい、といったケース。

まずは、保持しているリードがアクティブなのかどうか、メールアドレスのスクリーニングが必要ですし、そもそも今までメールを送っていなかったとしたら、ある種エンゲージメントを取り直す必要も出てきます。

このような場合、「はじめは一斉メルマガからはじめませんか?」とアドバイスさせていただくこともあります。

3.とりあえず営業のSFAツールとして導入

営業部門で、商談リストや商談状況の共有を目的として、とりあえず全社的にHubSpotを導入していきたい、といったケース。

SFAツール全体に言えることかもしれませんが、リストや商談の共有だけの漠然とした目的だけだと、あまり導入するメリットは少ないかな、と思います。

例えば、コンテンツマーケティングとセットで営業がオンライン商談していくといった、具体的な施策や手法とセットで、かつ、スモールスタートで導入していくことをおすすめしています。

4.はじめから他のシステムとの連携ありきの導入

大きな組織ではよくあるのですが、はじめから、他の基幹システムやSFA、Webマーケティングツールとの連携ありきで導入したいといったケース。
これも初期導入にかなりのパワーが必要となるケースです。

システム的に問題なく連携できるのか?という視点と、連携した結果、ちゃんと仮説通りの成果が出せるのか?という視点の2軸で考えながら、導入を進めていく必要があります。

HubSpot単独だったら、導入後、柔軟に変更したりカスタマイズしたりしながら、ROIを上げていくPDCAがまわせるので、スモールスタートで導入していけばいいのですが、他のシステムと連携が前提になると、この自由度が効かなくなる場合が出てきます。

個人的には、ある程度HubSpotを学習した後に、他のシステムと連携させていくようなステップをおすすめしています。

まとめ

6つの無理のない導入パターンに共通するのですが、HubSpotの導入をうまく成功させるには、以下の3つの考え方が大切だと個人的には思います。

1.スモールスタート。学習しながら成長させていくつもりで始める。

始めから壮大な仕様を実現しようとしないことです。(出口が見えなくなるので)

HubSpotの成功には、導入してから、現場の担当者が自ら試行錯誤しながら使い方を学習していくプロセスがとても大切だと思います。

2.直近のリード獲得や商談獲得に結びつくところから始める。

目に見えるシンプルな入り口(成果目標)から始めるので、無駄なプロセスや議論を踏む必要がない、といったメリットがありますし、なにより、導入した実感が湧きやすいです。

少しずつ成果を積み重ねて、社内で実績をアピールしながら、適用範囲を広げていくのが、堅実なアプローチだと思います。

3.独自のカスタマイズをできるだけしない。できるだけあるものをシンプルに使っていく。

はじめから自社向けに細かくカスタマイズすると、改善・修正するのに手間がかかるのと、メンバー内で知見を共有するにも手間がかかります。

大きな組織にありがちですが、自分たちの仕事に合わせてクラウドサービスを細かくカスタマイズしがちなのですが、本当はデファクトスタンダードなクラウドサービスのワークフローに合わせて自分たちの働き方を変革するほうが、本質的な生産性向上に結びつく場合があります。

「カレーライスは、買ってきたルーのパッケージに書いてあるとおりに作るのが一番美味い」という都市伝説?もあります。

HubSpot導入を機に、そもそもの自分たちの働き方自体を見直す、というのも、ある意味、導入メリットになるのかもしれません。

ということで、何らかの参考になれば幸いデス。

弊社では、HubSpotの導入支援や運用代行を行っています。

もし、自力のHubSpotの導入やコンテンツ運用が難しい場合は、お気軽にご相談いただければと思います。

HubSpot導入支援


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