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「スペース・マウンテン」リニューアルに違和感

ウォルト・ディズニー同様にアカデミー賞も受賞したジョン・ヘンチのデザインであったこと、トゥモローランドのアトラクションは直線的「アール・デコ調」であると個人的に思い込んでいたので変更は残念です。
 
【公式】東京ディズニーランドのアトラクション「スペース・マウンテン」および 周辺環境の一新について|東京ディズニーリゾート・ブログ | 東京ディズニーリゾート (tokyodisneyresort.jp)
 
リニューアルの目的は収容者数を増やすこと。ステーションをビッグサンダー・マウンテンのように2ステーションにしてロケットの定員を現在の12人から16、18人にして運営すれば、1時間当たり700人から1000人増やせます。室内キューエリア(列)も拡張することによりパークの収容力向上とパークの混雑感緩和が期待できます。
 
さて、今日のnoteは1996年のスペース・マウンテン運営に関する事です。あなたの職場でも役立つモチベーション向上情報になれば幸いです。
 
■「スペース・マウンテン」のキャストのレベル低下
 
 私がスーパーバイザーとしてスペース・マウンテンのトレーニングを受けていた際、放置できないことが何点かありました。
 
第一点は、アトラクションが停止した時のキャストの作業手順です。すべてに安全性が優先されます。急ぐ状況でも「歩く」必要があります。しかし、このアトラクションではステーション内をキャストが走っていました。さらに管制タワーのキャストは、「遅い!遅い!」と復旧作業に当たるキャストを急かすような口振りです。
 
その他にもこのアトラクションには改善点が見受けられました。ディズニーランドでは、キャスト間で呼び合う時「さん付け」をすることになっています。このアトラクションではそれができていませんでした。プライベートの時間やバックステージまで徹底しなさいとは指導しませんでしたが、さん付けの土壌があるのか、ないのかは大きな問題です。このアトラクションには「さん付け」の土壌がありませんでした。その他にも、必要以上の館内ナレーション、必要以下のスピールが気になりました。
 
■ワーキングリードの教育方法の基本
 
ワーキングリードは店長です。アトラクションを任され、大きいアトラクションになると一〇〇人以上のキャストの指導監督を行います。幸いこのアトラクションにも優秀なワーキングリードがいたので早速話を聞きました。彼も他のエリアからロケーション変更になったワーキングリードでした。
 
「指摘を受けた内容は理解しています。でも時間をください。一〇年前とはキャストの性質も変わっています。指導方法も変わってきています」と前置きした上で、次のような話をしてくれました。
 
「ワーキングリードがキャストを良い方向に向けていくには、キャストから信頼されることが必要です。それにはキャスト一人ひとりを把握することから始めなくてはいけません。指示命令するだけの一方通行ではほとんど効果がありません。誰と誰が一緒に旅行に行くかまでもを把握した上で、どのキャストとどのキャストを組み合せるといい仕事をするか、あるいは手を抜くかなどを知らなくてはなりません。普段の仕事ぶりや朝礼や終礼での発言内容をじっくり見極め、一人ひとりに別々な指導をしています。そうすることによってはじめて、キャストからの信頼が得られるのです。今はまだその段階です。一人ひとりへの指導が行き届いた後、アトラクション全体を変化させます」
 
 彼は課題と解決のための方策をよく理解した上で、果敢にチャレンジしていたのです。
 
■子供の成長と同じです
 
一度出来上がった土壌や風土、インフォーマルなネットワーク、人間関係から派生する問題は、通達や指示命令を出してもすぐ良くなるものではありません。
やる気にさせることも同じです。時間をかけ、部下の信頼を得た人間しか、部下をやる気にさせることはできません。
 
モチベーション向上の基本は、成長に気付いてあげることです。子供の教育と同じなのです。昨日三〇分かかった作業が二五分でできるようになる。これも成長です。
日々の変化や成長に気付き、認め、褒め、励まし、叱る。そのことが信頼に結びついていきます。信頼を得た人だけが人々をやる気にさせる「資格」を有しているのです。この資格を有している人の一言や指導が働く人を刺激し、やる気にさせるのです。
 
反対に、信頼の得られない人や外部の人たちは、決して人をやる気にさせられません。イベントとしてのモチベーションアップセミナーは一時的な効果しか得られません。セミナーで効果があるとすれば「ものの見方、考え方」に関するセミナーくらいでしょう。

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