見出し画像

01号 自然体で生きるためのメソッド(4)

誰もが歌えるようになる

村上 亜紀子(※1)


思いがけない再会

 人生には時々素敵な出会いが到来しますが、私にとってのそれは、卒業以来お会いすることのなかった、同じ音楽の学び舎で同級生として声楽の勉強していた日原さんとバッタリ、トマティスセンターでお会いしたことでした。
 メソッドをご指導いただくうちに、内容の素晴らしさにぐいぐいとひかれていくだけでなく、その間、日原さんのお口から何度となく発せられた「私はこのメソッドを人に伝える役目を果たさなくては」というお言葉に、自分にも何かお手伝いできることはないだろうか…との想いが自然に生まれてきました。

教え方は千差万別

 音大を出たといっても、演奏家になりたいという思いは強くなく、音楽を一生学び続けていきたいぐらいのことでしたので、結婚しご近所のお子さんにピアノをお教えするぐらいの、のんびりしたピアノの先生をやっていました。
 私のこれまでの少ない経験の中でも、ピアノに関してはいろいろなシステムがあり、そのシステムの構造を理解し、段階を踏むことで、演奏のレベルを上げていくことがある程度可能になるように思えました。もちろん天性の恵まれた条件の違いはあるにしてもです。
 ところが、声楽に関してはそれが難しかったのです。私自身が今まで指導を受けた国内外の声楽の師は十四名、その十四名の先生がそれぞれ学んで来られた経験の中から確立された歌い方を教えて下さるので、メソッドとして捉えることが難しかったのです。

誰もが歌えるようになるメソッドがある

 ところがこのトマティス博士の考案なさったメソッドには実にはっきりした理論が確立されていて、受講者がどのような状況に置かれていようと、例外なくこのメソッドの導くままに従い受け入れていくことで、誰もが歌えるようになるという素晴らしい導き手であると認識しました。
 私の好きな言葉に「森に綺麗な声の鳥だけが歌っていたら森は寂しい」という言葉があります。
 人はそれぞれが与えられた楽器を持っています。誰もがその楽器を使って人生を楽しみ、森を生き生きと飛び回って欲しい。
 その為に誰でもがんばり過ぎずに、楽しく、身体に優しい発声をおぼえて歌えるこのメソッドを広めるお手伝いを始めました。
 ある方が「私は教会の礼拝に出ているのだけれど、一曲目の讃美歌はまあ良いけど二曲目になるともう声が枯れて痛くなってしまうの」と言われました。それが、今は合唱団に参加し、二時間ぐらいの練習も平気で、「今度は第九を歌うのよ」とにこやかです。 

 このメソッドにたくさんの方が出会ってくださいますように。

(※1)村上 亜紀子
声楽指導、聖歌隊指導など。
トマティスメソッドカウンセラー資格取得。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?