見出し画像

自然体で生きるためのメソッド

日原先生と初めてお会いしたのは、2002年の12月。
当時暮らしていた札幌で新たに立ち上がった合唱団に東京から指導に来てくださっていたのが日原先生だった。
日原先生の指導はとても新鮮で、合唱団で記録係をしていたわたしは、レッスンの復習のためのダイジェスト映像を編集しながら何度も見返し、感動を新たにしていた。
何がそこまでわたしをひきつけたのだろう?

日原先生のこの指導方法を後世に残さないのはもったいないという使命感に勝手に駆られて始めたのがこの耳と聲プロジェクトだ。
2009年にひたちに移ってフリーの身になったことをきっかけに開始したこのプロジェクトも、今年で13年目になる。
その間、月1回は打合せのために上京していたので、打合せ回数はゆうに100回は越えている。
2013年から2014年にかけて小冊子『耳と聲』を制作していた時には、月に2回上京して打合せし、3か月で1号の冊子を作成し、18か月で6号の冊子として刊行を完了した。
http://ear-voice.info
トマティスメソッドの言葉をみなで図解にまとめたり、トマティスメソッドの発声法のワークショップCAVでやることをまとめた図解も作った。

トマティスメソッドを学び実践するだけでなく、後世に伝えるために形に残そうと試行錯誤する中で、トマティスメソッドの言葉と思考の枠組みはわたしの中に深く根づいた。
日々の暮らしのあらゆる場面でトマティス博士や日原先生の言葉が思い出され、その言葉を元に判断し、行動している自分がいることに気づく。
トマティスメソッドとは何かを説明する際には、聴覚と発声の訓練法だと言うことが多いけれど、わたしにとってトマティスメソッドは自分のベースとなる思考の枠組みなのだと思う。

その中でも「頭と心と体が一致したときに最高のパフォーマンスが得られる」というトマティス博士の言葉は常に頭にある。
頭と心と体が一致した状態であるかをいつも意識している。
頭が先行して、心と体から離れていないか?と常に自分に問いかけている。
頭が先行し、浮きそうになると、心と体につなぎとめるため、横になったり、掃除を始めたり、何らかの手を打つということを自然としている。

朝起きると、トマティス体操をいくつかやって身体を目覚めさせ、ハミングと音読をして走りに出かけることを朝のルーティンにしている。
この朝のルーティンは、頭と心と体が一致したニュートラルな状態に自分をリセットするための時間なのだろう。
この朝のルーティンができていれば大丈夫。
何か心乱れることがあっても、このルーティンでニュートラルな状態に戻せるという安心感がある。

わたしにとってトマティスメソッドは、自然体で心穏やかに日々を送るための暮らしのメソッドのベースにある考え方なのだと思う。
その部分をどうやって形に残し、伝えるかがテクニカルライターとしてのわたしの課題なのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?