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スリランカを旅してわかった、今を感じて生きることの素晴らしさ

私はこの春、12年務めた会社を辞めました。

それまで楽しく充実していた私の職場環境は、会社が買収されたことで一変。
全く尊敬できない上司。
意見することのできない組織。
以前は、アイデアを求めるリーダーの下、チームで考えゴールに向かって努力する喜びに溢れていました。
それでも、何か学びになることがあるだろうと、つまらないながらも1年は頑張ってみようと心に決め、仕事を続けました。
そんなこんなで半年くらいが過ぎた頃、原因不明の腰痛が始まり…
お値段の高い整骨に通っても一向に治らないし、レントゲンでも原因は見当たらない…

ちょうど梅雨時でなんとなくクサクサして家でゴロゴロしていた時、Prime videoで、楽園写真家の三好和義さんのRAKUENを見ていました。
撮影地はスリランカ。
私は海外旅行が好きだけど、これまで全く興味を持ったこともないスリランカ。
どういうわけかこの30分程度の画像を見終わった時、「スリランカに行かなくちゃ」という気持ちになっていました。

ところで、スリランカって何があるの?
と自問した時、真っ先に思い浮かんだのがアーユルヴェーダ。
とはいえアーユルヴェーダのことで知っていることといえば、“おでこにオイルを垂らすやつ”というくらい。
でもなんか身体に良さそうだし、前にアーユルヴェーダしたっていう会社のお姉さまもヤバいっていってたし、とりあえずスリランカにアーユルヴェーダを受けに行くぞー!
ということになりました。

2019年1月、いよいよ出発。
どうでもいい情報だけど、スリランカ航空のヒンズーミール(私はヒンズー教徒ではないが)はスパイシーでしっかり辛くてかなり美味しかったのでオススメ。
同日の夜にコロンボに到着。
1時間ほどタクシーに乗って最初に2泊するコロンボ市内のB&Bへ。
この翌日乗ったタクシーでもそうだったけど、運転中とにかくずーっと、「滞在中の移動をワタシに任せてみないか」という売り込みが続きます。
コレコレ、アジアな感じ。
観光地を回る旅ならお願いしても良かったんだけど、今回はゴメンなさい。

翌日は丸1日コロンボを散策。
レトロかわいい電車に乗り、トゥクトゥクでホコリを感じながら爽快に風を切り、市場で目が回るような色と音とにおいに包まれる。
久々のアジア旅行。
この活気と熱量と緊張感が楽しすぎる。
コロンボの人々、一見真顔で怖い感じがするのですが、ちょっと話すとみんな超ステキな笑顔。
男性も女性もとってもチャーミングで、すごく癒される。

3日目、ついにアーユルヴェーダ施設へ移動。
うっすら予感していた通り、お願いしていたお迎えの車が来ない。
係の人と電話で話した結果、自力でタクシーを手配して来てくれと…
そもそもコロンボから車で4時間とかかかる場所なので、このタイムロスで出発が大幅に遅れ、そのせいで夕方の渋滞に巻き込まれて5時間以上かかって到着。
アーユルヴェティックな生活を送るための施設ですから、電気の類は最低限。
真っ暗でココがどんなところなのかよくわからないし、迎えに来なかったことを全く悪びれてないし、なんだかなーと思いつつとりあえず今夜はシャワーを浴びて眠ろう。
そして、シャワーからはお湯ではなく蟻が大量に出てくるというホラーで幕を閉じた3日目でした。

翌朝、深い霧の立ち込める中、話すことを話してやっと私のアーユルヴェーダ生活がスタート!
部屋は満室のため、1日だけそこを使ってくださいということだったので、ちゃんとお湯の出るお部屋に移動しました。
基本情報として、時計、テレビ、もちろんWiFiもお部屋にありません。
共有スペースである食堂も同様。
施設のマネージャー的存在のおっちゃんのオフィスにはWiFiがあって、「どうしてもというなら来てもいいよ」という感じ。
でも行こうとするとやんわり追い返される。
これは意地悪ではなくて、せっかくここに来たのだからデジタルなものからなるべく離れて欲しいという、アーユルヴェーダ的な優しさなのです。
さらにあたり一帯は森で、街までは車で30分ほどという場所。
何もないことはわかっていたので、なるべくたくさんの本をKindleに詰め込んで挑みました。

以下は1日の流れ。

6:00 施設の方が起こしに来る
6:10 コラキャンダというハーブ粥をいただく
6:30−7:30 森の中でヨガ
7:40 朝食
9:00−9:30の間で10分くらい コンサルテーション(問診)
9:00−11:30の間で⒈5時間くらい 朝のトリートメント(施術)
12:00 昼食
14:00−16:00の間で⒈5時間くらい 午後のトリートメント(施術)
16:00 ミルクティーとジンジャークッキーのお茶タイム
19:00 夜食

以外と忙しいんです。

トリートメントって何をするのかというと、毎朝まずは頭から始まって全身のマッサージ。
マッサージといっても、オイルを体内に入れ込むことが目的なので、手のひらで擦り込まれている感じ。
皮膚からオイルを染み込ませて、体内の毒素を浮き上がらせることが目的。
その後、スチームバス(1人用サウナみたいな箱に入る)かハーブバス(何種類ものハーブを入れたお風呂に入る)で汗をかいて、オイルで浮き上がった毒素を排出する。
これが基本のトリートメント。
午後は各々の体調に合わせて、目玉にオイルを流し込む施術や、おでこにオイルを垂らすお馴染みのやつ、ハーブを詰めたお饅頭みたいなものでボンボン叩く、などなど日替わりでいろんなことをしてもらいました。

まだ薄暗い霧の中、ヨガで身体が目覚める。
敷地内で育てられたお米と、旬の野菜を使った何種類ものカレーを朝昼晩とたらふく食べる。
鳥の啼き声、太陽の暖かい光を感じながら、毎日全身オイル漬けになって、眠るでもなく意識の遠いところをさまよう感覚。
午後の柔らかい日差しの下で、本を読む、まどろむ。
“私、今を生きてるんだ”と感じて、自然に涙が溢れてきた。

東京で仕事をして過ごしていると、どうしても未来ことを考えていることが多くなります。
次のコレクションはいつ発表?
このプロジェクトの期限はいつ?
スケジュール通りにこなしていかなきゃ…
プライベートな時間も限られるので、休日を有効活用するために予定を詰め込んでしまう。
いつも次の予定が気になって、今していることに集中できない。
もう何年も、そんな自分が当たり前になっていました。
それがどんなに不自然なことだったのか、スリランカを旅して気づくことができたのです。
アーユルヴェーダの施設にいる時だけではなく、コロンボでの何が起こるかわからないドキドキや、シーギリヤロックを目の前にした時の驚き、その先のことにとらわれることなく、今この瞬間を大切にできた旅。

帰国後、私はたくさんアーユルヴェーダの本を読みました。
施設に入ってトリートメントをしてもらうという、特別な体験だけがアーユルヴェーダではなく、食事や毎日の生活に取り入れることができる身近なものだとわかり、もっと勉強したい!と思うようになりました。
そしてすごく前向きな気持ちで、会社を辞めることができました。
“誰か”とか“何か”のせいではなく、私が今どうしたいかに耳を傾けた結果です。

私は今、アーユルヴェーダのセラピスト講座に通っています。
これを仕事にするかどうかはわかりません。
そんな先のことはわからない。
今やりたいことをしているだけ。
今を感じて生きています。




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