第284回 日本センチュリー交響楽団定期演奏会
【過去の演奏会より】
日時:2024年09月21日(土)14時から
場所:ザ・シンフォニーホール(大阪市)
ヴァイオリン:前田 妃奈
ハープ:山地 梨保
指揮:太田 弦
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
【演目】
ブルッフ作曲 スコットランド幻想曲 作品46
マスネ作曲 タイスの瞑想曲(アンコール)
ウォルトン作曲 交響曲 第1番 変ロ短調
先々月にも前田妃奈さんのヴァイオリンリサイタルを聴きに行ったが、今回は3回目のオーケストラとの共演。シンフォニーホールの最前列近くで聴いた。
前田さんの力強く推進力のあるヴァイオリン演奏は素晴らしく、数メートルの近さで聴いても音が会場中に響き渡っているのがよくわかった。すすり泣くような微弱音から全身全弓を使っての表現は全曲圧倒され続けだった。楽器はストラディヴァリウスの1700年製のドラゴネッティと紹介されていた。もちろん銘器であると思うが、彼女の情熱あふれる音楽性は、ヴァイオリンのキャパをも超えている感じがした。
ハープも山地梨保さんは発音の良い演奏で、テンポが崩れやすい難しい部分も難なくこなし、前田さんとアンサンブルでもオーケストラとのセッションでもしっかり主張する美しい演奏だった。
指揮の太田弦さんは明快でオーケストラを引っ張るというよりもパフォーマンスを引き出すような指揮ぶりで、大袈裟な表現などが全くない、的確でシンプルな指揮だった。スコットランド幻想曲ではソリストとオーケストラとのバランスを取り、交響曲になると一転、全開でエネルギッシュなオーケストラサウンドを演出していた。ステージマナーも好感が持てるもので、これから楽しみな若手指揮者だと思った。
日本センチュリー交響楽団は年配団員も見かけたが、とても音や響きがクリアで力強いオーケストラで、弦管打とも上手かった。最近は派手なパフォーマンスが目立ちがちなコンマス・コンミスの中で今日のコンサートミストレスの会田莉凡さんはとても落ち着いていて、音楽の呼吸を大切にしているよく行き届いたリーダーだった。オケメンバーもこの指揮者とコンミスだとたいへんやりやすかったのではないか。以前に聴いたコンミスの松浦奈々さんもとても印象的で、日本センチュリー交響楽団はいいリーダーとメンバーを集めていると思った。
話は逸れるが、ザ・シンフォニーホールは大阪の福島にあるが、近くには将棋会館もあり、ホール内に有名プロ棋士の姿も見えた。お声がけをすると気持ちよくご挨拶をしてくれたのがとても印象的だった。まさか対局中ではないと思うが、厳しい棋戦を闘い続ける棋士の心を、クラシック音楽が支えていることを嬉しく思った。
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