今週の日経ビジネス(6/29)

今週気になった記事は、喫煙リスクについてだ。

世界から遅れを取っている日本は、オリンピック開催を期に健康増進法を改正し、室内での喫煙防止を強く義務付けて世界標準を目指した。

ただ、飲食店においては忖度がはたらいて徹底的な排除に至っておらず、45%程度のカバー範囲となる一定規模以上の店舗のみが対象となった。

これでは範囲が狭すぎると反発した小池都知事は、条例で84%を対象店舗とした政策に乗り出したわけだが、なぜ喫煙リスクについての風当たりが強くなっているのかというと、受動喫煙が原因と思われる国内の死亡者数が年間で1万5千人にものぼるとされているからだ。

ご存知のように、全世界の生活様式を一変させてしまった新型コロナウイルスが原因の死亡者数は現時点で国内で1,000人程度と、喫煙リスク関連のそれよりも少ない。

世界に目を向けると新型コロナ関連の死亡者が50万人であるのに対して、直接・間接的な喫煙関連の死亡者はなんと800万人にものぼる。

今回のコロナ騒ぎで改めて喫煙リスクに注目が集まったというわけだ。

喫煙者からすれば税金も高くなってるし、社会的な肩身の狭さでも十分に制裁を受けていて、これ以上イジメないでくれという気持ちは元喫煙者なのでよくわかる。

一方で、これだけ喫煙者に対して攻撃しているのにまだタバコが吸いたいかねという気持ちも非喫煙者としては当然ある。

誰しもが人様に迷惑をかけずに生きていけないのは事実だが、喫煙については非喫煙者からすれば一方的な暴力を受けているような話なので、その他の迷惑行為とは意味合いが全然違う。

喫煙者からすれば、喫煙所や喫煙コーナーが設置されていたら、そこは公に認められたところだから、タバコを吸って何が悪いという気持ちなのだろうが、タバコを吸ってない人から見れば、誰がそこでタバコを吸っていいと許可したんだというところが喫煙コーナーになっていたりするので、とても迷惑に感じることも多い。

喫煙者からすれば自宅で吸って何が悪いという意見は最もだが、じゃあそこから出た煙が隣家に入っていってもなんの責任もないのかと侵入された側は思うわけだ。

結局のところ双方の立場の人間がいる以上、双方が100%納得する形で決着することはありえないわけだが、ただ単純に取り締まってタバコを吸えない場所だけを定めていくのではなく、一定の感覚で喫煙所の設置義務のようなものを定めていかないと共存は難しいのではないだろうか。

タバコを吸わない人はとにかくタバコの匂いを一切嗅ぎたくない。

タバコを吸う人はとにかくタバコが吸えれば最終的にはどこでもいい。

ここに的を絞って法整備すれば解決の糸口は見えるような気がする。

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